後編
駿介が目を覚ますと、白い天井と、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔をした大神の姿が見えた。
「ここは……」
「ぐすっ。病院ですよ。先輩っ」
「ぐっ……」
上半身を起こした駿介を、大神が思いっ切り抱き締める。かなり苦しい。
「心配したんですからね!先輩一人でどっか行っちゃうし!!俺の事忘れないで下さい!!」
「分かった分かった……俺が悪かった……だから離れてくれ……」
子供のように泣きじゃくる大神を宥める。勝手に一人で行動したのは事実なので素直に謝った。
「そうだ、鍋島は?」
「それが……俺達が駆け付けた時には気絶していて。先輩がやったんじゃないんですか?」
「…………」
駿介は何も言えなかった。
大神が帰った後、駿介は鏡で自分の状態を確認する。殴られた頬は腫れはひいていたが、紫色に変色していた。歯が折れなかったのが不幸中の幸いか。
「……ん?」
ふと、首筋に鬱血痕があるのに気が付いた。鍋島にはそこは触られていない。
と、いうことは。
「…………」
病院を抜け出し、白い部屋へ入る。
「やあ、駿介。傷の具合はどうだい?」
白田はいつものようにそこにいた。
何で外に出れたんだとか。
痕を付けたのはお前だろうとか。
言おうとした口は、白田のそれで塞がれた。
「っ」
入って来た舌が、塞がりきっていない傷口に触れる。ビリッとした痛み。
お仕置きだ。と言われているような気がした。
終