前編
朝日が昇る公園。そこにはまだ子ども達の姿は無く、代わりに異様な光景が広がっていた。
心臓をナイフで刺された女の死体。傍らにはテディベアが添えられていた。鑑識が慌ただしく動く中、1人の男が隣の男に溜息混じりに言った。
「これで3人目ですね。同じように殺された死体。同一人物の犯行ですかねやっぱり」
180を越える長身にがっちりとした肉体。だが幼い顔立ちのせいか何処と無く大型犬を思わせる。名前は大神 亘。この春刑事になったばかりの新米である。
「……テディベアの件はマスコミには伏せてあるからな。その可能性は高いだろうな」
大神の言葉に応えた男は、身長は大神より10cm程低く、体型は平均的。顔立ちも普通である。名前は川口 駿介。こちらも刑事である。
大神の言う通り、同じような殺人事件が立て続けに起こっている。
場所は公園。ナイフで心臓を一突き。そして傍らにはテディベア。警察は同一犯の犯行として犯人の行方を追っているが、未だ犯人に繋がる情報などは見つかっていない。
駿介の脳裏に、ある男の姿が過ぎる。あの男なら、もうすでに犯人の目星が付いているのかも知れない。
駿介は大神と別れ、1人とある場所へと向かった。