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8話 ギルド

 門には、商人の馬車や冒険者風の人達が並んでいた。


「紹介状を持っている人はこちらに来てください」


 騎士みたいな甲冑の人が列の後ろで整理していたので、言われた通りに並ぶ。あと5組くらいで自分達かな?

 紹介状無い方は10組以上かかるかな?馬車多いな。


「テメエ、後から来て、前に来んな!」


「確かに、お金は払って……」


「そんな金なんて知るか!」


 紹介状が無い方で前の組、冒険者風な男達と豪華な馬車を牽いている神官風な男が言い争っている。騎士の人が困っているな。冒険者が剣に手をかけ……


「待ちなさい」


 馬車の中から、薄いピンクの腰までストレートな髪で、銀の軽鎧を付けた美少女が出てきた。身長は低いな、雰囲気が大人びてて凛々しい感じだ。


「テメエが主か!部下の管理くらいしておけ!」


「この人は急用のある私を、早く街に入れほしくて行動してくれたの。だから、責任は私にあるわ」


 少女が言い返す。凛とした子だ。


「ヘエ〜お嬢さまがどうかするってかい?」


「それに、あなたがお金を払えば順番を譲ってくれると言い出したのでしょう?」


 そうなのか、まああの顔はお金を返す気はないな。悪人面?


「そんなこと知らねえなー。金なんて、もらった憶えないぜ」


「皆、騎士達も見ていましたよ。それに、渡した金貨は偽物で、今、魔法で溶けてきますよ?」


 偽物かよ!魔法で溶けるって何だよ!


「まじか!もらったのこの金貨だったはず……」


「嘘です、そんなの持ってる訳無いですよ」


 だが、マヌケは見つかったようだぜ!

 効果音があればドドオーーーンて感じ?

 これだけ大勢の前じゃ、もう隠せないな。あとは、逃げるくらいしかできないと思うが。海に飛び込む?海ないけど!


「うるせえ!とりあえずテメエは一緒に来い!」


 男が少女に剣を向けて脅す。男の仲間も少女に向かっていく。

 俺は周りに気づかないように、魔法 『風刃』 壁ドンver(見えない空気を壁ドンのような威力でぶつける、斬れない)を男達に放つ。


「嫌です、生理的に無理です、ごめんなさい」


 少女が告白して来た男を断るみたいに、剣を向けていた男を斬る。速い!!ひょっとしたらセアより。しかも、殺さず手加減してる。

 そいつ以外は俺の魔法で吹っ飛ぶ。まあ、5人しかいないけど。


 倒れた男達を騎士が捕縛していく。

 そろそろ俺の組の順番だな、行こう。


「ありがとうございます。魔王様。いずれ、また」


 別れる寸前に少女が笑顔で言った。ウインク付きで。笑うと可愛いな。でも関係ないよ、俺、魔王じゃないし。


「サエ様、優しいですよね〜女性に!あの子、可愛いかったですね〜」


 関係ないよ。関係ないから機嫌直してください。セアさん。



▲▲▲▲▲▲▲▲▲



 あの後、街にはすぐに入れた。

 街に入って、輪御亭を探した。そして、気づいた。文字が違う!なんか日本語で横に訳が書いてある。魔王に訊くと……


「当たり前だよ、異世界なんだから。言葉も違うよ。我が通話機能を訳してたんだよ」


 だそうだ。魔王が文字と言葉を翻訳している。

 ちなみに人前なので、スマホはズボンのポケットだ、念話で魔王も話せるし。


 で、セアに案内され輪御亭に着く、結構大きい宿だ。セアさん不機嫌オーラ出てますよ。恐い。

 中に入り、森狩りの人を呼んでもらった。中央の食堂で待ちながら、ついでに昼飯にする。

 ミートソースパスタだ!名前も、色も緑で違うが、味はミートソースパスタだった。食べているとカゴ男が来た。


「ヒィッーー!!」


 再会して初めての会話が悲鳴だった。え?視線の先はセア。その纏っているオーラは人を殺しそうだ。


 カゴ男が落ち着いたのを待って、会話する。昼飯はすでに済んだ。


「本当に、本当に、本ー当ーに、姉御は攻撃しないですね?サエさん」

「さん?」


 お願いだからセアさん、落ち着いて。


「『多分』平気だよ、それよりこれを見て」


「多分?俺の命が懸かって……これは!俺らが捜している金甲虫!!」


 虫かごクワガタ入り(セアがどこからか出してくれた)を机の上に取り出す。暗黒草は危険なのでストレージへ。


「いくら出す?」


「サエさん、それは……」

「い・く・ら?」

 

「……じゃあ金貨2枚で」


 まあ、金貨の価値とか知らんけど。いいか。


「あと、飯代で。それと、金を稼ぐ所を知らない?」


 旅するのに金は必要だ。


「わかりやしたよ。稼ぐならギルドが良いですね。また、紹介状書きますよ。」


 その後、カゴ男にギルドの場所を訊き、金貨2枚を虫かごと交換した。

虫かごはあげた、鳥カゴ壊しちゃったし、カゴ男だし。違うか。そういえば名前訊かなかったな。好い奴っぽいけどな。


 宿を出て、ギルドに向かい歩く、途中でセアの視線が露天で売っている花のネックレスに向く。


「かわいいね」


「ええ、とても」


 セアのオーラが弱くなっている、値段を見ると金貨1枚、全財産の半分、よし。


「このネックレスください」

「えっ?サエ様、待ってください。私はあの人みたいに─────」


 店員さーーーーん!速く、速く、急がないとネガティブなオーラが黒いオーラが!!!!!

 セアには色々とさせてもらい、なんとか機嫌も直りました。あんな恥ずかしい台詞は俺じゃない。


「大きな建物だね。人が多そうだね……」

「魔王、セアが怖くて黙ってたな!」


「サエのせいだろう?」


 そうだっけ?なんか釈然としない。


 でかい建物だ!白くしたら病院みたいだ。ギルドに入る、ギルドは幾つものギルドの集合体で、中は廊下が多くて色々と細かく目的別に別れていた、冒険者ギルドが目的の場所だ。冒険者ギルドは手前と。


 冒険者ギルドに入る。依頼を貼った掲示板に受付、汚くガラの悪い奴ばかりのイメージがあったが、割と綺麗でイメージとは違う所も多い。


 とりあえず受付に並ぶ、周囲を見回していると、森狩りのメンバーがいた。カゴ男とは別行動かな?


 おっと、自分の番だ。受付は女性、綺麗な……「サエ様!」

 別に、何とも思ってないよ。


「本日は冒険者ギルドへようこそ。ご用件は?」


「登録を、俺と彼女の」


「かしこまりました。では、こちらの書類に解る範囲でよろしいので、書いてください。書きましたらまた受付へ、紹介状があれば合わせていただきます」


「はい、わかりました」


 近くにある椅子とテーブルの所へ、鉛筆みたいな棒と紙を渡されたので、書いてみよう。

どうやって?


「それは、魔法具なので少し魔力を込れば使えますよ」


 オーケー、じゃあ5%くらいか?棒を持ち、棒に魔力を込める。

 ボシュウーー!!

 棒の先からレーザーが、床に小さい穴が!何このレーザー兵器!危ないわ!


「サエ……サエなら1%も要らないよ?」


 え?そうなの?いやセア、そんな白い目で見ないでーー!ゾクゾクはしてないよ。うん。


 書類には、名前、出身地、年齢、得意武器、魔法の有無の記入欄があった。

 え〜とサエ、グランバ◯ア、15、ナイフ、魔法有りと。

 出身地は空欄、年齢は肉体年齢にした。この世界は15で成人らしい。


 また受付に並ぶ、すぐ俺の番が来て、紙、棒、紹介状をセアのと共に渡す。


「はい、森狩りの紹介ですね。ファミリーに属しますか?」


「いいえ」


 あんな男だらけの家族やだ!


「では、個人で登録しますね。ランクはDからです。カードお造りしますので、少々お待ちください」


「あの、素材って買取してもらえますか?それと、ギルドのルールって解らないんですけど」


「素材は鑑定ギルドで買取してますよ。ルールはこちらの冊子をどうぞ」


 この丁寧な対応は銀行や役所を思いだすな。


 待っている間に冊子を見る。

 パーティー=少人数の団体。

 ファミリー=パーティーの集合体。

 ランク=階級。S〜Fまで。F→E→D→C→B→A→Sの順番。

 紹介=紹介したファミリーによってランクが決まる。紹介された方が罰対象になった場合。紹介したファミリーの解散もある。

 ギルドカード=ギルド員の証、他のギルドとの掛け持ちも可能。身分証になる。


 カードが出来たようだ。受付に呼ばれる。


「では、魔力をカードに流して下さい」


 普通に黒いカードだ。言われた通りにカードに魔力を流す、一旦、受付にカードを返した。


「はい、確認しました」


 受付からカードを貰う。カードには名前とランクが書かれていた。


「依頼って何がある?」


「今、Dまではこちらですね」


 そういって受付さんは紙を出した。迷子捜し、家の補修、荷物持ち、薬の素材集め等だ。何でも屋か!


「討伐とかは?」


「そちらは冊子に魔物の名前、特徴、証明部位、適正ランクが載っています。魔物は常時討伐で、載っていない魔物は鑑定ギルドが審査します。緊急時は依頼で来る事があります」


 討伐は常時か、この世界は魔物が勝手に増えるから、いちいち依頼しないそうだ。増え過ぎたり、強大だと依頼するみたいだけど。とりあえず今日はいいか、色々行きたいし。


 さあ、次は鑑定ギルド行くか、素材買取して貰おう。


 ▲▲▲ 蛇足


 サエ「ギルドにも色々あるね」

 セア「そうですね、魔法、商業、建築、傭兵、メイド、勇者、ドラゴン……」

 サエ「いやいや、最後の方おかしいよ!」

 魔王「じゃあ、魔王ギルドとかも」

 セア「それは無いですね」

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