表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/102

85話 洞穴

 あの手の群を倒した後、マップを起動してみると、近くの赤点は全て消えていた。

 あれは、手だけの魔物だったのか?

 そんな魔物もいるのか?


「我は初めて見たし、聞いたことも無いね」


 魔王でも聞いたことの無い魔物か……


「そっちの用意はいいのか?」


 俺が考えていたら、センが声を掛けてきた。


「ああ、それはセアがやっているさ──」


 ちらっとセアを見たら、もうすでに支度は終わったようで、今はヤムと何かしているみたいだ。


 あれ?ついさっきまで、テントを片付けていたはず?

 セアと視線が合うと頷かれた。どうやら、全て終わっているらしい。


「──終わってるみたいだ」


 そう呟くように答えた。


「早いな、まだこっちは時間がかかりそうだ。すまないが待っててくれ」


「ああ」


 俺が頷きながらそう言うと、センは自分の支度の為に去って行く。

 入れ替わりでロンがやってきた。


「支度はいいのか?」


 そうロンに訊くと…


「あ…ああ、平気だ。それよりさっきの話しの続きだが──」


「オイ!ロン!」


 センの怒鳴り声が聞こえて来た。

 平気じゃなさそうだ。

 だが、ロンはここから動こうとしなかった。


「いいのか?何か怒ってるようだけど?」


 俺が言っても、ロンは「平気、平気、まだ」と軽い返事をする。


「それより、あの後────」


 リーダーの使っていた斧が、どこかに消えていた。

 リーダーの斧は強力な魔法具で、貴重な物だ。皆、必死に探したが、結局見つからなかった。


 その後、突然リーダーを失ってしばらく【戦斧】は混乱していたが、次のリーダーとしてセンが頑張って纏めていくと、次第に混乱も落ち着いて来た。

 だが、急に見知らぬ男が「自分は以前からリーダーと協力してる者で、この【戦斧】をリーダーから託された」と言って、リーダーの斧と遺言書と共に現れた。

 さらに、その男は「自分はセンがリーダーを殺すのを見た」と言うと、センを【戦斧】から追放すべく行動した。

 その結果、その男をリーダーとする今の【戦斧】とセンがリーダーの【剣】と別れてしまった。


 ────ここまでが、ロンのザックリと話した内容だった。これ以上はセンがロンを引き摺って連れていったので、強制的に終了した。

 本当はもっと色々あったようだが……


 あれ?斧?確か何かあったような?


「行きますよ、サエ様」


 頑張って思い出そうとしたら、セアに呼ばれた。まあ、思い出せないなら大したことじゃないだろ。

 さあ、出発するか。



 ▲▲▲▲▲▲▲▲▲



 森の中をセンに続いて歩き、数時間後。


「ここだ!」


 そう言って、センが足を止め場所は、ちょっと丘になっていて、人1人がやっと通れるぐらいの洞穴だった。


「え?本当にここ?」


 一応、確認してみる。

 こんな場所に、人が住むのは難しいと思うけど?

 明らかに中は狭いよな?


「ああ、ここだ、間違いない!」


 センは自分の馬を下りる。


「この先はお前は連れて行けないから、待っててくれ」


 センは馬を撫でながらそう言うと、馬がセンの言葉に応えるように鳴いた。


「じゃあ、行くぞ」


 セン・ユミ・ロンと順番に入って行く。

 続いて俺達も入って行く。


 中は丸い部屋になっていて、何もなかった。以外に広くて人が10人程が余裕で入るぐらいだ。

 先は下りの階段になっている。それ以外には、進める場所はないみたいだ。

 頭上には、ランタンのような灯りがあるが、さすがに階段の下の方までは見えない。

 誰もランタンを持たないようだけど、灯りが無いと先に進めな──


「頭上のは、魔法で出した灯りだから、歩き始めればちゃんとついて来て、先を照らしてくれるはずだよ」


 え?この灯り、魔法だったの?


「先に入った剣のパーティーの誰かが使ったみたいだね」


 てっきり備え付けのランタンかと思った。


「サエ様?」


 俺がしばらく立ち止まったままなので、気になったのだろう。セアが声を掛けてくる。


「いや、何でも無いよ。行こう」


 誤魔化すようにそう言って進む。


「?、はい」


 少し疑問に思ったようだが、すぐに俺の後をついて来た。


 階段を下りきると、壁が石に変わった。この先は、狭くて長い一本道の通路が、ずっと続いているようだ。


「ユミ、罠を頼む」

「はい」


 ユミが先頭に行って、周囲を警戒しながら進む。

 通路を進んで行くと、途中にいくつか扉があった。


 そして、扉を開いた瞬間に中から、凄まじい臭いが発生した。

 部屋の中は……

 まるで理科室のようだ。とでも言えば分かるだろうか?

 人、魔物、獣のモノが色々並べられていた。

 それを目にした瞬間、ユミは部屋を飛び出して行った。

 まあ、気持ちは分かる。

 俺のパーティーは全員、顔色一つ変えずに見ていたが……


 その後も、各部屋を見て調べていったが、魔法陣や薬品が並ぶ部屋等で人の存在は確認出来なかった。


 途中、魔王が魔法陣や薬品の解説しようとしたが、止めさせた。

 生物合成魔法陣って名前で大体想像がつくし……

 皮膚接着剤って……


 やがて、通路が終わり一番奥の部屋に着いた。


「ここが、最後の部屋だな」


 ロンが呟く。少し、声が震えている。


「ここに奴が居るはずだ!行くぞ!」


 センが気合いを入れながら扉を開けた。

 中には……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ