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82話 少年の話 中編

 首都では、度々、行方不明事件が続いていて、最近になるほど増えていた。

 目的、犯人が一切不明で、目を離した一瞬で忽然と居なくなるのだ。

 ……そして、行方不明になった者は二度と帰ってこない。


 リーダーは、大きくなった戦斧とそれに協力するパーティーを使い、行方不明事件を徹底的に調査した。

 そして、必死の捜査でついに犯人の居る所を突き止めた。

 それは、この国の王がいる城だった。


 この国の王は、以前は国民に慕われる良き王と評判だったが、妻と娘が病で亡くなってからは体調が優れずに、人前に全く姿を現さなくなった。


 人々の噂では、王は娘の死がきっかけで蘇生させようと怪しい動きをしている、とのことだった。

 ちょうどその噂が流れだしてから、行方不明事件が発生していた。

 

 城内の調査をしていくと、王は最初、他国の奴隷を購入しては、定期的にどこかに移動させていたようだった。

 奴隷を購入してどこかに送る王だったが、やがて見境がなくなったように、自国の民をも攫い、どこかに移動させるようになった。

 しかし、どう調べても行方不明者がどこに移動したのかは掴めなかった。


 さらに調査を進めていくと、王が連れて来たという、兵士が怪しい動きをしている事が分かった。

 そいつらが、誘拐を実行、運搬していると思われた。


 王には何度も会ってくれるようにと、書状を送っていたが、一度も返事は来なかった。

 そしてついに、戦斧と多数のパーティー、冒険者で城に攻め込んで、王と直接の話し合い、もしくは力尽くで、行方不明者の奪還を要求することになった。


 作戦は決行されて、城内で戦いが起こる。兵士達を人数差で抑え、なるべく死傷者が出ないようにしながら、とうとう王の所にたどり着いた。

 

 だが、そこに王はいなかった。

 王の代わりにそこにいたのは、1人の老人だった。


「フォフォッよくここまできたな!しかし、ここまでじゃ!」


 老人はそう言うと、手に持っていた杖で床を叩いた。

 すると、城内のあちこちから悲鳴が上がった。


「一体、何が?」


 リーダーが呟くように疑問を言う。

 それに答えるように老人は言った。


「城のあちこちに、兵士に混じった実験体が暴れたんじゃろ。早く向かわないと手遅れになるかものう」


「クッ皆は助けに向かってくれ!俺はコイツを抑える」


 リーダーは素早く指示を出し、城内で働く者の命を助けることを優先する。

 冒険者達が指示通り、次々と部屋を出て、リーダー、オレ、センの3人が残った。


「お前らも──」

「オレもリーダーと一緒に戦うぜ」

「ぼくもお父さんの剣になります」


 2人が残る意志を見せると、リーダーは苦笑し、「頼む」と告げた。

 3人は老人に対峙する。


「全部聞かせてもらう、覚悟しろ」


「全く、老人は労る物じゃ」


 リーダーが前に出た瞬間、老人が再び喋り始めた。


「そうそう、後ろには気をつけた方がいい、特に“裏切り者”とかにはな」


 グサッ


 音が聞こえた方を咄嗟に見る。

 すると、リーダーの胸からは剣が生えていた。



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