79話 待ち合わせ
あれ?ここは?ああ、そうだった館だっけ。
そういえば昨日は、なんとか宿まで帰ってから館へ行って寝たんだっけ……
部屋を出て、朝食を食べに食堂へ向かう。
食堂へ入ると、そこには全員が揃っていた、俺が最後みたいだな。
皆、起きるの早いな。
「おはようございます、サエ様。今、食事を用意します」
「おはよう、じゃあ、よろしく」
俺が入るのに気付いたセアが、声を掛けてきて、朝食を用意するというので、頼んだ。
用意する為に、一旦、セアは食堂を出て行く。
軽く、皆の様子を見てみる。
ヤムは、一人食事をしていて、一心不乱に朝食を食べていて、俺にも気付いていないようだ。
邪魔しないでおこう。
一方、ラズは机に突っ伏して、ピクリともしない。
朝食も食べていないようだが……
「おはよう、ラズ平気?」
俺が声を掛けると、弱々しい返事が返って来た。
「おはよう、サエ。平気かは……見ての通りよ」
つまり、悪いと。
二日酔いかな?回復魔法で治るかな?
「サエ様、お待たせしました」
セアが料理を持って、入ってきた。
次々と机に並べていく。
並べ終えて、俺の隣に座ったセア。
「「いただきます」」
俺に合わせてセアも食べ始める。
別に待っていなくても良かったのに……
まあ、言っても無駄だろうけど。
ラズは食事をしないで、水だけ飲んでいる。
「うう……昨日何があったのかしら?朝起きたら、頭痛が酷いし」
ラズは昨日の夜の記憶が無いみたいだ。
多分、二日酔いだと思うけど、回復魔法で治るかな?ちょっと、やってみるか。
俺はラズに『解毒』を使ってみる。
「どう?まだ、具合悪い?」
言われて、ラズは顔を上げる。
一応、平気だと思うけど……
「うん、大丈夫みたい!サエ、ありがとう。セア、私にも朝食をお願い」
治ったら、食欲も出てきたようだ、セアが食事の用意をすると、食べ始めた。
そうして、皆が食べ終えて、館を出る。
さて、女王の依頼は、確か北門に行けば誰か待っているんだったな。
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北門に近づいた時、3人の人物が待っているのが見えた。
あれは……剣のメンバーじゃないか?
さらに近付くと、はっきりと3人が分かった。
一人目は剣のリーダーの少年。
二人目は昨日、治療を依頼してきた少女。
三人目は角刈りの大男。確か昨日、最初に目覚めた男だったな。
それ以外に特に変わった人物はいない。せいぜい、門番の兵士ぐらいだろう。
しかし、あまり進んで会いたい人達じゃないんだが……しょうがないか。
俺達が3人に近付くと、向こうも気付いたようで近付いてきた。
「女王の言っていた協力者は君達か……」
剣の少年が嫌そうな顔で俺達を見て言った。
「そっちも?」
一応、訊いてみる。
「ああ、女王に依頼された」
やっぱりか!
女王、何でこの人選?
俺が色々と考えていると、剣の少年が俺に言った。
「とりあえず、このメンバーだけでの依頼なので、軽く自己紹介をしておこう。僕はパーティー【剣】のリーダーで、センと言う」
そうセンは自己紹介をする。
続けて少女に視線を向ける。
少女に自己紹介しろ、ということだろうな。
視線を受けて、少女は自己紹介を始めた。
「私はユミ、剣のメンバー」
昨日、俺に依頼に来た少女だ。
俺をジッと見て、言いたい事がありそうだったが、結局言わなかった。
昨日の事で何か言いたい事があるんだろう。
「オレは、ロン、剣のメンバーで、副リーダー的な事をしている」
ロンと言った男は、そう言って握手してきた。
手もでかい、体のパーツの全てがでかかった。
背も2mぐらいかな?
「それで、君達は?」
「ああ、俺達は──────」
一人一人、俺達も自己紹介をする。
そして、最後に俺とセンが握手をして終わる。
「それで、依頼の内容は?」
「女王に聞かなかったのか?」
「訊いたけど、ここに来る人に聞けと言われた」
「そうか……内容はある施設の破壊とその施設を作った者の捕縛もしくは殺害だ」
穏やかじゃないな、殺害って、俺は殺し屋じゃないぞ!
「ターゲットは【青仮面】だ」
青仮面!
「最近、居場所が分かった。ここから、1日程歩いた所だ」
剣の少年はそう言うと、踵を返し歩き始めた。
それに皆でついて行く。
青仮面か……
まず、会ってみるか。




