57話 治療
翌朝、食堂に皆集まった。今日は完全に寝不足だ。ふああ……眠い。
「ゆうべはお「うるさい魔王!」
何も無かった!
ていうか魔王、人が困った時には来ないくせに「我、ラブコメは苦手だし」
ラブコメじゃないし!
その後、館で朝食を摂ってから宿に戻る。
宿を出て、昨日約束した場所へ向かう。
約束の場所と時間は聞いたので大丈夫。と思いきや、行き方が全く分からなかった!
昨日は結局外に出なかったので、首都の地理が全然分からない。
セアも同様のはずで知らないよな。どうしよう。
と思っていたが、セアは行き方を知っていた。なんで?
皆は、俺が出掛けると言ったら、皆は付いて行くと言って、本当に皆で来た。
今日は皆待っているだけだから暇だとおもうけど……
目的地に到着する。
ずいぶん広い空き地に人が沢山いた。
小さな祭りでもやって、出来るぐらいの人混みだ。
さすがに東京の夏と冬に行われる祭典よりはいないけど。
「お待ちしてましたサエ様」
「どうぞこちらへ」
ナルンとウトが出迎えてくれる。
様付けが固定化してる!
俺の腕を取ろうと両脇に移動しようとしたが、セアとラズが先に俺の両脇に来る。
何か火花が出てる気がする。
結局ナルンとウトが諦めて先頭を行くと人混みが割れる。
集まった全ての人に注目される。
ちょっと怖いな。
祈るのは止めてほしい。
その終点には一つの小さいテントがあった。
「この中でサエ様に治療をお願いします」
そう言われてテントの中を見る。
狭い!2人入ってギリギリぐらいだ。
「何分、急な用意だったので、コレしか無くて」
俺が困った顔でナルンを見るとそう答えた。
無かったらしょうがないか。
セアに……
「集まってくれた皆、この御方が我々を、今日このテントの中で、奴隷の印から開放してくれるサエ様だ!」
……今日このテントの中で、とウトが言っちゃったよ。
せっかくセアに広いテント作ってもらおうと思ったのに……
「さあ、サエ様、中にお願いします」
ナルンが俺の背中を押す。
入るしかないか。
中は何も無くて、朝なのに薄暗い。
そのまま中で待っていると、1人ずつ入って来るので治療を開始した。
焼き印を見て、治療する。
焼き印は皆胸元にされていた。
やっぱり少年、少女が多い。
若い女の子も多いので、やっぱり焼き印を見せるのに抵抗があるようだ。
それでも、時間が決まってるのか、最後には顔を真っ赤にしながら服をずらす。
中には、俺に優しくしてと言って上目遣いで見つめてくる娘も……
いや、何もしないから!
治療だから!
遅いと、外から手が伸びてきて、上半身の服を剥かれる。
非道い……
「人が沢山いますから、時間が足りなくなっちゃいます」
とナルンは行ってたけど。
治療した後もすぐに出て行かずに、俺に感謝してはだけた服のまま抱きついてきたり、キスしてきたり……まあ、すぐに手が伸びてきて剥がされたけど。
?
何か周囲が冷たい気がする?
ちなみに男はすぐに終わらせて、抱きついてこようとしたら、入り口に殴ってぶっ飛ばした。誰が男の包容なんているか!まあ、手加減はしているので、平気だろう。
昼に一旦休憩して、夜まで続いた。
もう、人の残りも少ないが、俺のMPはまだ半分以上ある。
ば……化け物か!
化○語か!
「いや、吸血鬼じゃないし!」
魔王からツッコミが入った。
てか、知ってるんだ。化○語。
最初のMPより使ってる気がするけど?
「それは、サエが魔法を使う度にMPが増えてるからね」
MPは成長するんだ?
「HPもダメージを受けると成長するよ」
それは攻撃を食らえってこと?
「サエの好きにすればいいよ」
頭の中で魔王と会話していると、
「これで最後の1人です」
ナルンがそう言って最後の1人を通す。体をローブでスッポリ覆い、顔が見えない。
低い身長はラズといい勝負だ。
「おぬしは焼き印でも治療したと聞いたが本当か?」
「本当」
声は少女だが、どうだろうか?
「まあ、駄目でもともとじゃ」
そう言って着ていたローブを取った。
白銀で長い髪を後ろで1つにしていて、ポニーテールかな?顔は幼く可愛らしい、服は軍服+ゴスロリといった感じで、軍服にヒラヒラしたものが沢山付いていた。
「えーと、コスプレ?」
そう、コスプレ衣装みたいな服だと思った。
「?、いいから早く始めよ!」
少女はそう言うと上着をさっさと脱ぎ捨てた。
少女の上半身が露わになる。
!!
「何だコレ?」
少女の上半身には隅々まで模様……刺青があった。
幾何学的な模様で見ても意味が分からない。
「おぬしでも無理じゃろ?だから────」
「五月蝿い」
俺は少女にこんな事をした奴にムカついた。無駄と知ってはいたが、少女のつらそうな顔を見ると……
絶対、消してやる!
俺は少女の肌を滑るように触り、『診察』を使う。
何か少女が言っているが、無視だ。
焼き印と同じように『正生』を使う。
あっという間に刺青も消えた。
「ウソ!消えた!」
少女が信じられないと驚いた瞬間!
ドン!
テントが外からの衝撃で激しく揺れた。
「ちょ…バカ……どこを」
狭いテントで俺と少女が揉みくちゃになり倒れる。
「大丈夫ですか!サエ様……!」
セアは俺と半裸の少女が絡みあって倒れているのを目撃する。
いいから助けて!
自分で動くとマズい事になりそう。
セアの助けを借りて、外に出るとそこには初めて会うが、よく会う人がいた。




