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40話 助け

 今まで俺が尾行していた人物、それは以前、王都に来るまで一緒に同行した人物。

 デブな商人だった。


 彼は護衛も付けずに、ニヤニヤと気色の悪い笑顔を浮かべながらこの場所に来たのだ。

 それにしても、コイツは、周りをキョロキョロ見すぎだ。

 明らかにこれから何かしますと言っているようなものだ。

 見るからに怪しいので、尾行したが、大当たりだったようだ。


 建物の中は、薄暗くあまり遠くまでは見えない。

 だが、今いる物影から様子見するには十分見える距離だった。

 椅子に縛られ、身動き出来ない1人、デブ商人1人、顔が見えないが多分護衛2人。

 これが、建物内の俺以外の人物だ。

 縛られている人も顔は見えないが、特徴のある尻尾で誰か分かった。

 行方不明で今ギルドで捜しているリス娘ちゃんだ。

 さあ、助けるかと思ったら、必死に訴える声が聞こえた。


「妹を返してください!」


 妹?妹が捕まってるのか?

 リス娘ちゃんがデブな商人に必死に訴えている。


「返してほしかったら……ゲヒッ」


 ハッ!反射的に『風壁』(威力極小礫ver)を額に当てしまった。

 いや、あまりにゲスイ顔してたから……


「誰かいるのか!出てこい!」


 いや、出てこいと言われて出ていく訳無いし。


「お前等、見に行ってこい!」


 デブな商人が2人の護衛に指示を出す。

 2人が向かって来るが、すでに幻惑魔法『迷彩』を使用済みだ、動かなければバレない。


「誰もいませーん」


 護衛達は、適当に周囲を確認して報告する。


「まあいい、お前等はそのまま見張ってろ、私はコイツを売る前に、色々調べなくてはならないからな」


 そう言って、リス娘ちゃんに向かうデブゲス、不味いなあ動いたらバレちゃうしな。


「1人で楽しむなんてずるいよなあ、だったら俺達も馬車の方が良かったよな?」


「ああ、あの女も妹はとっくに馬車で運ばれていないのに、騙されて捕まって馬鹿だな」


 あ?


「な?」

「え?」


 俺は目の前にいた2人の喉を手で掴み、バイブ機能で脳を振動させる。

 白目で気絶したので、2人を放す。


 ドサッ!


「は?お前等どうした?」


 そこからでは、ここは物影で見えないが、音で気付いたのだろう。

 まあ、関係ない。


 俺はスクロール機能を使い、デブの前に一瞬で移動する。


「き、貴様……グウ!」


 俺は喋ろうとしたデブの喉を抑えて持ち上げる。


「コイツの妹はどこだ?」


 喋らせる為に少し手を緩める。


「貴様こんな事をして「五月蝿い」


 グサッ!

「ギャアアアーー!」


 俺は空いている手で犬ナイフをデブの左腕に刺す。


「俺は質問してる。答え以外喋るな」


 デブが壊れた人形のように頭をカクカクと上下に振る。


「で、コイツの妹はどこだ?」


「に……西に馬車で……親父が」

「遅い」


 グサッ!

「グギャアアア!」


 俺は犬ナイフをデブの左足に刺す。


「次は右腕な」


「西の国【サークス】に奴隷として売るのに親父が馬車で連れて行きました」


 俺はデブから手を放し、リス娘に『風刃』で拘束を切る。


「お前はこの事を報告しろ、俺が妹を絶対に助ける」


 俺の言葉にリス娘が頷く。


「ヒィィィーー」


 俺がデブを見たら、悲鳴を上げて、芋虫のように這って出口へ向かう。

 俺はデブと護衛達の3人に『風縛』を使い、拘束して転がしたまま出口に向かう。


 ────絶対助ける! 


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