34話 悪魔
大蛇を討伐した俺達は、村へと一旦帰る。
帰り道にバジリスクは出なかったので、もう平気だろう。
村に着いたら、もう夕方になっていた。正直もう蛇は見たくない。
村に着いて最初に俺達は村長に会った。
俺が治療した村人の中に村長がいたらしい。村長いたんだ……全然見覚えない気が……
村長は俺達に感謝していたが、とりあえず俺は先に依頼完了の手続きをしてもらう。
と言っても、完了証明のカードを貰うだけだが。
依頼をすると、カードがギルドから依頼人に渡される。
依頼が完了したら、そのカードが冒険者に渡され、冒険者がそのカードをギルドに持って行く事で、依頼の達成となり、報酬が支払われる。
これが、この世界の一般的な依頼から報酬受け取りまでの流れだ。
今までは、依頼人がギルドに依頼完了を報告してくれていたが、そちらは一般的ではない。
俺は一番気になっている事を村長さんに話した。
「この村でお米が作られているって聞いたんですけど?」
「それは……」
なんか村長さんが凄い言いづらそうだな、しばらく迷っているようだったが、やがて話す為に口を開いた。
「この村の外れには悪魔が住んでいるのだが、その悪魔の一家が王都にお米を卸しているようです」
「よし、行こう!」
「はやっ!サエが即答した!」
魔王が念話で俺にツッコむ、魔王はインがいると、普通に喋らないな。
「サエ、その悪魔の所へ行くのかい?」
「ああ、今から行くよ!」
インが俺に訊いてきたので、答える。
当たり前だろ、悪魔も見てみたいし。
「君達も行くのかい?」
セア達にも、インが尋ねる。
「サエ様が行くなら、当然です」
「もちろん、一緒に行くわよ」
「ボクもサエ様と行くよ」
皆が俺について来てくれる。
正直、嬉しい。
恥ずかしいから口には出さないけど……
「分かった、じゃあ、僕も行こう」
「いや、インは無理しないでも、夜になるかもしれないし」
うん。インが来たら、館が使えないなんて考えてないよ……
「一夜を共にした仲じゃないか、遠慮しないでくれ」
「誤解を招く発言をするな!」
ほら、セアとラズの目が……
インの目が笑っている、コイツわざとか!
「ほら、馬鹿な事言ってないで行くぞ」
皆に外出を促す、とっとと行って米を入手して来よう。
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「悪魔ってどんな感じなんだ?」
「悪魔は、個体別に強さは変わるけど、総じて強さには色々こだわりを持っているわね」
俺の質問にラズが答える。
「こだわり?」
「腕力だったり、速さだったり悪魔によって色々ね」
「悪魔に勝つと、その悪魔は従わせられるみたいだよ」
ラズもインも悪魔に詳しいな。
「悪魔みたいな羽虫滅びればいいんです」
セアは過激な発言だなあ、前に何か悪魔とあったのかな?
と、雑談しているうちに、悪魔の住むと言われてる家まで到着だ。
確かに、水田がある。米もあるかも?
しかし、悪魔が農作業しているのか?
家は小さい一軒家で今にも壊れそうだ。
ガチャ!
突然扉が開いて、中から2mの悪魔が!
いや、人間だった。顔が恐いだけだ。
「お前達はだれだ?村の人間じゃねえな!」
恐っ!声が低くて余計恐い。
手に鉈を持って、殺る気か!
「お父さん、お客さん?」
中から幼い感じの声が聞こえた。
一瞬、男の注意が中へ向く。
今だ!まずは自己紹介から……
「ええと、冒険者でバジリスクの調査に来たサエって言います」
「冒険者?」
殺られる!男の目つきが鋭くなり、俺はいつでも『風壁』を張れるように構える。
「なかなかいい動きするじゃねえか!まあ、上がってけ」
「え?何で?ここは戦う「戦わねえよ」
こうして俺達は悪魔の住む家(仮)に足を踏み入れた。
米の為に……
▲▲▲ 蛇足
魔王「悪魔かあ……」
サエ「セアと何かあったの?」
魔王「以前、仲間にいて、セアを気に入って意地悪したり、イタズラしたりしてたね」
サエ「どんな?」
魔王「木の上に放置したり、突然背後から魔法を放ったりだね」
サエ「それは……」
セア「最悪の羽虫です」




