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32話 大蛇

 翌朝、皆で朝食時に集まり、顔を合わせて軽く話し合う。

 しかし、ご飯が出てこないな。

 水田も無いが、お米はここで作ってるんじゃ?


「昨日はよく寝れた?」


 俺の言葉にセアとラズは、一瞬何を言われたのか分からないという表情をしていて、インを見てから2人共気いたようだ。

 どうやら、2人は鍵を使って館に行き、昨日の夜を過ごしたようだ。

 2人の目が俺にご愁傷様と言っている。


「ええ、とても良く眠れました」


 セアが答える。

 くっ、水魔法に汚れは落とせるのだが、やはり俺も風呂に入りたい。

 だが、インを館に入れるのは、何故か皆、許可出来ないので我慢する。


「皆、この後に廃鉱に行くけれど、本当に協力してくれるのかい?本当に危険なんだよ?」


 インの言葉に皆が首肯する。


「分かったよ、ありがとう。なら、皆でボスを倒そう」


 その後、村を出てから廃鉱へと向かった。

 途中で、バジリスクの襲撃が多々あったが、俺は『風刃』で充分に応戦が可能だった。

 というか、『風刃』の威力と特性が変わっていた。

 今までの『風刃』は、放つと真っ直ぐ進み、ある程度の距離で消えてしまったが、精霊風魔法になった『風刃』は曲げることが可能で、しばらくは消えないので何体か纏めて倒せた。


 皆もそれぞれが撃破していて、インの戦い方は、本と水魔法だった。

 本の角で殴るではない。

 本から沢山の紙が出てきて、貼り付いて相手の動きを封じたり、体全体に貼り付いてから潰されて圧縮して小さくなり、紙が本に戻ったら、敵は小さくて四角いキューブ状になっていた。

 恐っ!ていうか、紙が一枚も破れたり、汚れたりしてないみたいだけど……


 水魔法はセアと違い、本当に水だけだ。

 セアは氷を好んで使うのだが、インは大きい個体や遠くにいる個体に圧縮した水鉄砲のような魔法で、倒していた。

 俺も使ってみようかな?



 ▲▲▲▲▲▲▲▲▲



 ──────────3時間後。

 俺達は廃鉱の入り口にいた。

 本当は1時間前に着いたのだが、廃鉱の中から凄い勢いでバジリスクが出てきていので、全て倒してようやく落ち着いたのがついさっきだ。


 俺達は、廃鉱に入っていく。

 中は真っ暗で何も見えなかった。


「今、灯りを出すわね」


 ラズがそう言って、魔法を詠唱して頭上に光を作り出した。

 だが、見えた光景に俺達はゾッとした。


 周りが蛇パラダイスだ。

 見渡す限りバジリスクで埋め尽くされて、紫色でうねうねしてる。キモイ……

 俺はマップ機能を使ってから、『風塵』を使う。

 一刻も早くこの光景を無くしたかった。

 風の刃が周囲のバジリスクを切り刻んでいく。

 倒したやつを片っ端からアイカメラでストレージに収納。

 あっという間に周囲からはバジリスクの姿がいなくなる。


「サエ……君の魔法は凄いな」


 インが何故か驚いている。

 インの本の方が凄いと思うけどな……

 セアとラズは何か誇らしげだ、何で?


「そうか?まあ、あの景色をずっと見ていたくなかったし」


 皆がウンウンと頷いてくれる。

 この先もまたあんな光景なのかな?

 少し気が滅入るな、またいたら速攻で『風塵』使おう。


 俺のマップでは、もう少し進んだ所に赤点が密集していた。

 1つだけ、やたらと大きい赤点があるので、コレがボスだろう。

 皆で周囲を警戒しながら、進む。


 そこは広い空間になっていて、一面にバジリスクがうねうねと……

 急いで『風塵』を使い、バジリスク達を殲滅する。

 ある程度、周りが見えるとそこには、大蛇がいた。

 頭だけで3mくらいあるんじゃないか?

 体はとぐろを巻いていて、大きすぎてどれくらいか分からない。頭に王冠の形をした、黒い痣がある。

 あれ?大蛇に当たった風の刃が、かすり傷を与えた後に消えてる!


 ダメだ、大蛇の体に風の刃が当たると消えてしまう。

 大蛇の皮膚の方が固いみたいだ。

 まだ、結構赤点の数は残っているのだが。


「サエ、雑魚は任せて」


「サエ様はデカい方をお願いします」


 ラズとセアが残っているバジリスクをどんどん倒していく。ヤムも2人をサポートしているみたいだ。


「僕はサエを手伝うよ」


「じゃあ、ちょっと強めの魔法を使うからサポートよろしく」


 インが俺を手伝うというので、俺の魔法のサポートを頼む。

 俺は大蛇から距離を取って魔法を使う。


「行け!『風神』!」


 大蛇の周りに竜巻が発生する。


「じゃあ、これでサポートするよ」


 インが竜巻に水で作った槍を上から、落とす。

 竜巻が晴れた後、大蛇は傷だらけで満身創痍といった感じだ。

 もう一回『風神』を使えば、倒せるだろう。


 ギアアアーーー!


 俺がもう一度『風神』を使おうとしたら、大蛇が雄叫びを上げた。

 なんだ?


 俺が不審に思っていると、部屋中の隙間からバジリスクが現れる。

 ええ?さっきまで、マップに映って無かったのに!

 召喚?大蛇の能力?


 バリバリッ!


 何か不吉な音が……

 俺が音の方を見ると、大蛇が脱皮していた。

 は?脱皮?


 脱皮した大蛇はこの場所に来たときと同じに……

 つまり、ノーダメージな状態に戻った!

 バジリスクも補充されて、最初からやり直しかよ!


 とりあえず『風塵』でまた、周りのバジリスクを少しでも削る。

 さて、どうやって倒すか?


 ▲▲▲ 蛇足


 サエ「インの紙は強力だな!」

 イン「サエの魔法ほどじゃないよ。弱点もあるし」

 サエ「どんな?」

 イン「枚数が限られているから、大型の敵には使えないし」

 サエ「うんうん」

 イン「それに読みにくい」

 サエ「読むんだ!」

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