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22話 襲撃

 馬車の旅2日目の夜がやってきた。

 相変わらずセアが凄いスピードでテントを組み立てた。

 というか、朝そのテントバラバラにしなかったっけ?

 なのに昨日と組み立てた時間は同じだ。


 そんなわけで、また皆でテントから館へ行く。

 寝ていると魔王から呼び出しがあった。

 テントに誰か来たらしい。

 魔王には誰か来たら、起こして欲しいと頼んでいた。

 いい予感はしないのだが、とりあえずは皆を起こさないように、静かに館からでる。


 テントの外から声が聞こえてくる。


「夜遅くにすいません、誰か居ませんか?」


 朝に会った、赤髪の少年の声だ。

 こんな時間に何か用だろうか?


「うん、いるけど何か?」


 とりあえずテントから顔だけ出して、返事をする。


「すいませんが、男性の方に用事があって同行して欲しいのですけど」


 俺限定かよ?少年がチラチラと、俺達のテントと他のテントの影に、視線を向けていてすごく怪しい!


「分かりました、すぐに行きます」


 俺は、俺達の使っているテントの、入り口に念の為、魔法を掛けて置いてから少年の後を追う。


 少年は守護獣の守護がギリギリ届く範囲の林にいた。

 守護獣の守護している範囲は大体の感覚で分かる。

 範囲から遠くなるほどに、空気が重くなり澱む感じがする。


 今俺はマップ機能を使っていた。

 テントに赤点2つそれと俺の背後に1つだ。

 コイツ等は護衛を1人だけテント内に残して来たのかな?

 それか、あの商人が来ていないかだな。

 少年は黄点で表示されているので、敵意などは無いはずだ。

 


 背後の奴は、せめて足音ぐらいには気をつけろよ!

 草を踏む音バレバレだぞ。

 少年も表情でバレバレだよ。

 まあ、マップ機能で全部分かってはいるのだが。


 俺は後ろを見ないで自分の真後ろに蹴りを入れる。


 バキッ!


 後ろの奴は俺に蹴られ吹っ飛び、木に当たって気を失っていた。

 さて、襲いかかってきたコイツどうするかな?

 凄い音がしたが、生きてはいるようだ。

 起きたら、また襲ってくるかな?

 この場にセアが居れば縄とかで縛ってくれるんだけど……


「ウワアーーー」


 少年が悲鳴を上げ、俺から後退る。

 え?今頃悲鳴?ていうか、俺って恐いか?


 明らかに年上の男を蹴りで吹っ飛ばし、おそらく骨折倒した男を上からどうしてやろうか?と見下ろしている黒い少年の俺!

 うん、普通……じゃないよな!


「平気、平気、君には多分何もしないよ」


 少年に微笑みかける。決まった!


「ヒイィィィーーー!」


 少年は逃げ出した。

 駄目でした。俺の笑顔に癒やしは無いみたいだ。


「今のは、サエが少年に何かする様にしか見えなかったよ」


 魔王に言われて、軽くショックを受けながら男に魔法を使う。

 『風縛』この魔法は初めてだから少し心配だ。

 男がじゃなくて、効果時間の方がだが。

 襲いかかったてきた相手を心配するほどお人好しではない。

 一応、朝には魔法が解けるはずだが……


 それより、テントの方が気になる。

 俺はテントに急いで戻った。


「うわあ、これは酷いね」


 魔王の言うとおりにテントの中では、世にもおぞましい光景になっていた。

 デブの商人と護衛の冒険者が裸で抱き合っている。

 BLではないな、boyではないし。

 一言で言うならキモイ!このまま放置して見なかった事にしたいけど、ここ俺達のテントだからな……


 触りたく無いので、『風刃』(壁ドンver)で2人を外へ吹き飛ばした。

 服も投げ捨てる。

 朝まであの状態だが、知らん!

 自業自得だ!



 幻惑魔法『現見うつつみ』はその人が見たい夢を見せる魔法で一度掛かるとなかなか抜けられない。

 効果範囲が狭く、入口に触れないと発動しないようにしたが、見事に引っかかった。

 効果時間も1日も設定できないが、朝まで出来れば充分だろう。


 どんな映像かは、考えたくない。

 きっとキレる。

 襲撃の代償だな。


「これで、終わりだね」


「そうだな、もう寝るか」


 もうマップに赤点は無かったので、館に戻る。

 さあ、寝直そうかな、おやすみ。



 ▲▲▲▲▲▲▲▲▲



 翌朝、朝食を終えてから館を出て、テントの外に出ると、何かが騒がしい。

 まあ、原因は分かっているが。


「おい、聞いたか?」


 テントから出て、すぐにギョロ目が寄って来て話し掛けてくる。


「何を?」


 まあだいたいの予想はつくけど。


「昨日、盗難に遭った商人とその護衛が、裸で抱き合って外で寝ていたそうだ」


 はい、完全に予想通りでした。

 俺のせいですね。

 俺達は皆で嫌そうな顔をしていた。

 ヤムだけは分からずにキョトンとしていた。

 君だけはそのままでいてくれ。


 何時までも帰って来ない、師匠が心配で外に出た少年が発見したらしい。

 少年が自分では運べないので、周りの人に協力を求めた。

 そこから一気に話しが広まったそうだ。

 ちなみに護衛の1人は転んで骨折らしい、足元に気をつけた方がいいよ。


 もう、あのデブ商人は俺達にちょっかい出すヒマも無いだろう。

 俺は少年を見つけたので、手をふる。


 少年は俺から全力で逃げ出した。


「サエ恐がられてるね」


 うん、魔王に言われるまでもなく、分かってる。


 しかし、少年はデブ商人に回り込まれた。

 というか、逃げようとしてデブ商人にぶつかったが正しいかな。


「このグズ!とっととテントを片付けろ!」


 デブ商人は少年を蹴りつけた、蹴られた後に少年はテントに急いで向かった。


 デブ商人が少年から視線を外して、俺を睨む。

 え?まだ懲りてないの?

 なんかやる気満々だけど?

 今日の夕方には王都に着くんだよ?

 何か言いかけて、結局何も言わずにデブ商人は去っていった。

 ただ、俺が抱きかかえている小さいヤムを見ていたな。


 皆の用意が終わり次第、出発だ。

 あれ?テントは?


「テントは片付けましたけど、何かありましたか?」


 セアがいつの間にか片付けていた。


「いや、ありがとう」


 いつも思うが、テントどこに行った?

 あれって結構大きいけど、セアがどこかに持ってるように見えないんだよな。


「いいえ、メイドとして当然です」


 セアが俺にそう言った。

 この世界のメイドは皆が出来るのかな?


 馬車が出発してから、雑談したり眠ったりして、昼頃に王都が、というか外壁が見えた。

 結局、守護獣のおかげで一度も戦闘が無かったな。

 魔物限定だが……



 ……それを人はフラグが立っていると言う。

 目の前には沢山の魔物と兵士が争っていた。


 『風縛』=風魔法

      風で全身を縛る。縛っても傷がつかないが、一度発動すると固定してしまう。時間指定解除が可能。


 『現見〗=幻惑魔法

      本人が望む夢を見る。発動が座標固定でしか出来ない。時間が来れば自然に解ける。他人からの強い刺激でも解ける。


 『増血』=回復魔法

      体内の血の量を適正な量まで増やす。


 ▲▲▲ 蛇足


 夜、サエが館を出てから。

 セア「サエ様のいない間、ヤムの様子を見ておかないと、?、なんかベッドの様子が?」

 ラズ「あれ?」

 セア「なんでサエ様のベッドの中に?」

 ラズ「ヤムが寂しいかなと」


 サエ、帰還後。

 サエ「部屋が壊れてる!一体何が?」

 ヤム「zzz」

 

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