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20話 出発

 宿に戻った俺達は久しぶりに夕飯を頼んだ。

 最近、セアの手料理ばかりだったし……

 セアの手料理はすごい美味しいと思う。

 でも、時々は現地での料理も食べたい。

 それも、旅の醍醐味だろう。


 だから、セアはそんなに悲しそうな顔をしないでほしい。


 それはともかく、目の前にあるのはどう見てもラーメンだ。

 豚骨?かな、とりあえずいただきます。

 うん。味は濃厚な豚骨ラーメンだ。

 セアとラズはフォークみたいな物で美味しそうに食べている。

 ヤムは顔を突っ込み犬喰い。狼だけど。

 俺は木から自作した箸で。

 でも、麺がやたらコリコリ歯ごたえがあるような?

 見た目は麺なんだけど。


「サエ!我も食べたい!」


「しょうがないな」


 魔王が食べたがったので、小さい器に移して写真を撮った。


「うん、この麺はキノコだね」


「はあ?キノコ?」


 長さも食感も違うけど、この麺がキノコ?


「これは、森で偶に見かける種類の緑色したキノコの魔物だよ」


「キノコにしては長さとかがおかしくないか?」


 こんなに長いキノコ知らないぞ?

 緑って1UPするの?


「この麺のキノコは全長2mはあるよ」


 なに!そのお化けキノコ。


「ただ、魔物も緑キノコの魔物は食べるから数が少なくて滅多に見ないけど」


 え?共食い?なにそれ、コワい。

 まあ、食材はともかく、俺達は美味しく夕飯を食べる。

 ちなみにスープも魔物の骨でだしを取ってるみたいだ。


 そこにカゴ男がやってくる。


「サエさん、聞きましたよ。この街を出て王都へ行くそうで」


「うん、明日の朝に出ようと思ってるけど?」


 耳が速いな!まだ挨拶まわりをしてから、あまり時間は経ってないのに。


「なら、北門から朝に定期馬車が出てるんで、安く乗せてくれますぜ」


 カゴ男が提案してくる。

 でも……


「依頼で(中略)だから、魔物が寄って来るから、多分迷惑になる」


 ただでさえ、街道には守護獣がいなくなったので魔物が多くなったのに、卵のせいで魔物が大量に寄って来るだろう。


「それでしたら、ちょっと値段が高いですが、魔物除けの守護獣がいる、魔馬車がありますぜ」


「魔馬車?」


 魔物が寄って来ないなら、それでもいいかもしれない。


「でも、魔馬車はこの街にはなかったはずよ」


 ラズが疑問を挟む。


「最近になって王都の王族が取引用に定期馬車として、守護獣を貸し出したって話です」


 街と王都の貿易の為か、王族は守護獣を所有してるのか。


「魔馬車ってどんなの?」


「魔馬車は縦に四台並んで行く馬車で、一台に二頭の馬が動かすの。基本的には真ん中二台の馬車の馬が守護獣で四台の馬車を守護して魔物が近寄らないわ」


 俺の疑問に、ラズが答えてくれる。

 馬の守護獣か見てみたい!


「じゃあ、明日それで行ってみるよ」


 俺は明日の予定を決定した。

 カンガルーもいいが、ゆっくり馬車で行こう。


「それじゃあ達者で、サエさん、姉御」


「うん、色々助かった」

「はい、それでは」



 その後、宿の部屋に入ってから館に移動してから眠るまで各々過ごし、朝起きてから宿で朝食を摂ってから出発した。

 カゴ男に言われた通りに北門へ行き、魔馬車を探す。


 魔馬車というか守護獣はひと目ですぐに分かった。

 何せ、普通の馬より一回りデカい!しかも、頭には一角が生えていた。

 馬の色は白ではなかったが、幻獣かと期待したのに。


 兵士さんみたいな人にお金を払い、四台の馬車が北門を出る。

 一瞬視線が?四番目の馬車からか?

 四台の最後の馬車が豪華なことと視線が、少し気になった。


 俺達は二番目の馬車で、馬車は6人が馬車内で2人の兵士が御者台だった。

 ちなみに一番目の馬車は王都の兵士が護衛で乗っている。

 俺達は3人で座っていた。

 ヤムは俺の膝の上で乗ってすぐに眠った。

 向かい側には、商人風の男3人だ。

 しばらくは俺達3人で話し、商人も3人で話していた。


「それは、獣ではないですか?」


 突然3人の中で、ハゲ頭な男が俺に尋ねてきた。


「そうですね、狼の獣ですよ」


 俺がそう言うと3人の商人は目の色を変えた。何?


「狼とは珍しい。いくらでしたか?」


 糸目の商人が訊いてくる。

 いくら?

 なにが?


「いくらとは?」


 俺が聞き返すと、ギョロ目の商人が答えた。


「決まってるだろ?その狼を買った値段だよ」


 はあ?何言ってるんだ?コイツ等は?

 俺がヤムを買った?


「その首輪は【封印】の首輪だろ?」


 ガタッ!


 ギョロ目が言ったセリフで隣に座っているセアが動こうとしたので、手で肩を抑える。

 狭い馬車内なので、抑えてもらう。


 なるほど、コイツ等が勘違いしている理由がわかった。


「その首輪とか獣は街で買うんですか?」


 俺は商人達に買う場所を訊く。

 セアの殺気が半端ない。

 しかし、商人達は気付いてないのか、普通に返す。


「ああ、あの街で買ったんじゃないんだね。まあ、あの街で売っている所は2区ぐらいだしね」


 糸目が分かったように話す。

 しかし、2区にあるのか!あそこは行ってないから全然知らなかった。


「まあ、この辺じゃ狼は売らないでしょう。守護獣も狼ですから」


 そう、ハゲ頭が言った。

 狼が守護獣とは知ってるみたいだ。


「王都なら売っているとこは、結構あっただろ?狼は買い手がいないかも知れないが」


 ギョロ目がそう言って、店を教えてくれた。

 まあ、行く予定はないが。


 その後は雑談を色々した。

 昼飯時にストレージからお弁当やお茶を皆の分だけ出す。

 商人達は驚いたが、魔法具だと言うと納得して羨ましがられた。

 お弁当は一応、沢山作り置きしてある。

 王都まで、馬車で3日らしいからね。

 

 3日間何するかな?馬車って意外と暇だな、魔物は来ないけど、ちなみに今日一番困ったのは、セアの殺気が……

 

 夜は各々で持っているテントを、街道を避けて馬車の近くに張り、その中で休むようだ。

 テントは持ってないな、どうしよう?と思ったら。

 セアが3人用のテントをどこからか取り出し、1人で組み立てる。

 相変わらずセアは何でも出すな。


 俺も手伝いを申し出たが、拒否される。

 諦めずに手伝うチャンスをうかがう、だが、三分くらいで組み立てていたので、俺が手伝っても邪魔になるだけと思い知った。

 セアは「手伝うと言ってくれただけで嬉しかったですよ」と慰めてくれたが。

 その後に「何もやらないピンクもいますし」とラズを見て言った。

 ラズは笑顔で「こういうのはメイドの役目よね」と返す。

 ……君達仲良いね。


 あとはいつも通り、スマホに魔法を使い、館へ行く。

 夕飯とお風呂、野宿で風呂に入れるって素晴らしい。



 馬車の旅1日目はこんな感じで終わった。

 なお、館では剣や魔法が飛んでいた。


 ▲▲▲ 蛇足


 サエ「そういえば3人は商人ですよね?商品は何ですか?」

 ハゲ「うちは香辛料だな」

 ギョロ目「うちは衣服関係を売ってるんだ」

 糸目「僕は薬かな?媚薬とか」

 セア・ラズ「「詳しく教えて」下さい」

 魔王(念話)「サエ、大変だね」

 サエ「……」

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