表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/102

16話 仮面

 翌朝、館で皆一緒に朝食を食べる。

 今日は、野菜のスープとパンだった。

 野菜が真っ赤でいかにも辛そうだったが甘かった!

 え?野菜だよね?果物じゃないよね?


 館から出て、宿を出る時にセアと別れ、領主館へ。


 領主館ではモヤシさんが待っていた。


「昨日、代表の元へ連絡した所、代表館に来て欲しいとのことです」


「分かりました、では代表館に行きましょう」


 俺はモヤシさんと護衛の騎士さんを連れて、代表館に向かった。


 代表館は広いホールのような場所だった。

 そこにキザ男と護衛の冒険者と騎士が大勢いた。

 俺とラズが護衛に警戒されながら、キザ男の向かいまで歩いていく。


「おや?君は僕から恥ずかしがって、隠れていたんじゃないのかい?どうして、今日はここへ?今日は領主様がここに来ることになっていたのだが?」


「領主は来ないぞ!領主様の代わりの使者で俺達が来たんだ!」


 キザ男はラズしか見ていないので俺が答えてやった。


「君は……ああ!行方不明者(仮)だね」


 コイツ忘れてたな、しかも行方不明者(仮)ってなんだ!


「キザ……じゃない、ルベウス代表はどこに居るんだ?」


 ルベウスが1区画の代表の名前だ。


「父上は体調が優れないので、大事を摂って養生しているよ。だから、用件を伺うようにと、僕が代わりに来たんだけど?」


 髪を弄ったり、ポーズを取らないと喋れないのか?コイツは……


「それで、用件は何かな?」 


「今日から9日程前に、お前は領主に会っていないか?」


 キザ男が用件を訊いてきたので、俺も訊いてみる。


「そんな前の事は分からないよ、それに僕は1区から出ないしね」


「じゃあ、街道の狼の事も知らないか?」


 知らないとキザ男が言ったので、俺は街道の狼について訊く。

 領主のは、馬鹿過ぎて俺も言いづらいし。


「狼?ああ、魔物が増えたからその事かな?実に厄介な事だ。おかげで、街と王都を行き来する人が減った」


「そうか、確認するが、お前は街からは出てないんだな?あと、狼の事は知らないんだな?」


 俺はキザ男が街から出ていない事、狼が死んだという事を知っているのを確認した。


「そうだね、ここ何年かは出てないよ。狼は残念だったね」


 俺はギルドに狼達は全滅したと伝えた……

 俺はヤムの『迷彩』を解く。


「コイツだ!匂いがコイツから出てる!」

「なっ!?狼!確かに全部殺したはず……」


 ヤムが姿を現して、キザ男が動揺する。

 狼に生き残りがいると知らなかったようだ。俺も伝えてないしな。

 【殺した】と言ったし、黒だが、まだだめだ。

 ヤムは俺の言い付け通り、キザ男には飛びかからない。


「黒日病にしてか?領主も同じようにしたのか?」


「領主?何のことだ?」


 魔王から念話が来て、ニヤリとする。

 俺はキザ男が100%黒だと知っている。

 なぜなら……


「領主が襲われた時、犯人は赤い仮面をしていて、白い光を領主に放ったそうだ」


「赤い仮面?そんな物、僕は知らないな」

「そうかよっ!」


 俺はキザ男の額にドッグナイフを投げる。

 護衛達も俺の咄嗟の行動についていけない!


 カツン!


 ナイフは硬い物に当たり弾かれた。


「いきなり何をするんだ!」

「……【仮面】の勇者」


 キザ男は怒り、ラズが呟いた。


「おい!魔法が解けて【見えて】るぞ」


 俺はキザ男に教えてやった。

 そう……キザ男の顔は赤い仮面に覆われていた。

 仮面というかフルフェイスメットだな。顔が見えない。


「ククク……まあお前たちだけなら殺せば平気だな」


「そうとも、限らない」


 俺はモヤシと騎士さんの『迷彩』を解く。


「いままで拝見させて貰いました。このことは、然るべき所に報告させて貰います」


「なぜ、お前がここに?だが皆、死ねばいいことだ!」


 え?モヤシさん、何者?


 赤仮面が俺達に向けて白い光を放った。

 俺は魔女から買った水晶を取り出し、防壁を張り防いだ。


「ちっ!魔法防壁か!仕方ない、おまえ等も行け!」


 赤仮面が言うと、冒険者の顔に白い仮面が現れた。ただ白くて顔に着いているだけで目や鼻も口もない。

 騎士はこの状況に戸惑っている。


「何してる!騎士共!団長の命はいいのか?」


 それを聞き、騎士が動き始める。

 が、突然の乱入者に皆動きを止める。


「サエ様、お待たせ致しました。全員救出致しました」


 セアが来た!

 セアは入り口に運んでいたオッサン2人を置く。

 セアは俺に近寄って来る。


「どうぞ、サエ様」

「お待たせ、サエ」


 セアが俺にスマホを渡し、魔王が俺に念話で話す。

 うん、皆揃ったな!


『団長!』


 騎士達がオッサン2人に駆け寄っていった。


「形勢逆転かな?どうする?」


 俺が赤仮面に尋ねる。

 まあ、逃がすつもりも、許すつもりもないが。


「うるさい、お前等コイツ等をどうにかしろ!」


 赤仮面が白仮面に命令する。

 白仮面が無言でこちらに向かってくる!


「皆は白仮面達をよろしく、殺さないようにお願い」


「畏まりました」

「了解よ」

「分かった、サエ様!」


 セア、ラズ、ヤムが応える。


「我等も手伝います!」


 騎士達もやる気のようで「お願いします」と言ったら、返事をせずに突っ込んで行った。殺すなよ〜。



 さて、赤仮面と戦うか。

 さっきの光に気をつけて、魔法は使わないようにしよう。

 魔法感染が怖いし、厄介なので、速攻で終わらす。

 スマホの機能は魔法とは違うよと魔王が言ったから、平気だろう。


「お前が狼達を殺したんだな?」


「ああ、最初はキャンキャンうるさかったが、僕の呪魔法を掛けると大人しくなって」


 呪魔法?知らない魔法だ。

 黒日病の事か?


「僕の呪魔法でジワジワと黒くなっていきそれが「黙れ、五月蝿い!」


 もう聞く気はない。仇が判ればいい。

 ……死ね。


 俺はスクロール機能で、赤仮面の前に移動してもぐらを胸に突き刺す。


「違う!本体は仮面だ!」


 人質の中にいたオッサンが叫んだ。


「もう遅い!この距離では「五月蝿い」


 俺は赤仮面が放とうとした白い光を消す。

 やればできるもんだな、ストレージに収納。


「なぜ!?だが仮面は勇者の力で壊れ「死ね」


 闘気を使い、増えた体の力全てをナイフを突き刺すのに使う!


 ぶっ壊れろ!!


「バッ馬鹿な!」


 仮面にひびが入り、直後にバラバラに砕け散った。

 頭の中身はなかった。首無し死体だけが残った。


 周りも静かで終わったみたいだ……


 ……約束通り仇は殺ったよ。


 ▲▲▲ 蛇足


 サエ「赤仮面は何が目的だったんだ?」

 魔王「課外授業したかったんじゃないの?」

 サエ「それ、違う仮面だから!」

 魔王「バイクも無いし、ベルトもなかったよ」

 サエ「それも違う!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ