9話 館に執事さん
──────魔王は便利だった!
ストレージ内の魔物が種類別に並び、解体という場所にドラッグすると、各部位に細かく別れる。
例えばフォレストベアという魔物がいる。ストレージ内にフォレストベアの死体×38となっている。これを解体にドラッグする。
フォレストベアの素材×38
フォレストベアの証明部位×38
フォレストベアの肉×38
となる。魔王すげえ!
で、鑑定ギルドに素材と証明部位を持ち込んだ。金貨600枚だったので、鋼金貨5枚と金貨100枚にしてもらった。
本当は594枚とキリが悪いので、肉も少し持ち込んだ。魔物の肉は食えるものもある。ストレージに入れておけば、腐らないし。
お金の単位は石貨10枚→半銀貨1枚
半銀貨10枚→銀貨1枚
銀貨10枚→半金貨1枚
半金貨10枚→金貨1枚
金貨100枚→鋼金貨1枚
半は半分その鉱石が含まれていて、大きさと形が違う。鋼金貨は黒いコインで何の鉱石かは分からない。パン1個、銀貨3枚位。
金貨をストレージに収納、ストレージは体から1mは出し入れが自由なのでかなり楽だ。セアに半分、鋼金貨を渡そうとしたら断られた。
「サエ様とは常に共にいますから」
だって。給料と言っても、好きでメイドをしているので、仕事じゃないと怒られた。
まだ夕方だし、ぶらぶらしよう。夕飯と宿は輪御亭にセアが予約してくれてたし。
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最初に服屋に寄った。下着などの替えが欲しかった。適当に選び、俺は終わった。
セアが青いドレスを見ていたので、試着を勧める。かなり渋ったが試着した。試着後、そこにはお姫様がいた。
セアは恥ずかしがっていたが、俺が似合うよと言うと嬉しそうだった。セアが着替えている間に店員と交渉して購入、金貨50枚だった。ストレージに収納。
「ねえ、デートって見ていて楽しくないね」
魔王が愚痴った。デートじゃないよ、多分。
その後も細々と生活用品を買った。
「我はここに寄りたいな」
見た目はボロい館で入り口には看板でこう書いてあった。
「武器屋 魔女の毒林檎」
正直どこからツッコミを入れて良いか分からない。
この一帯だけ雰囲気がおかしい。カラスが沢山屋根で鳴いている。カラスをこの世界で初めて見た。
「早く入ろう、サエ!」
魔王が急かす。正直、関わりたくない。
「何か、知ってる雰囲気な気がします」
セアと魔王が惹かれるなら何かありそうだ。厄介事な感じしかしないけど。
ギギギ……と重い音がしながら,扉を開ける。ノッカーとか無いし、店だから入って平気だよな?
扉を開けると普通に洋館のエントランスホールだった。中は綺麗で煌びやかだ、外観とのギャップが激しい。
「いらっしゃいませ、本日は何をお求めですか?」
執事服を着た、髭がいた。いや、背が低くて顔中髭だらけだったから。
「「ノルス!(さん)」」
どうやら、魔王とセアの知り合いらしい。
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ノルスさんは魔王の千年前の仲間だった。セアにメイドの基礎を教えたのが、ノルスさんらしい。
千年前は魔王の執事で、勇者が来たときにいた1人。戦闘は苦手で避難誘導していた。最後で逃げ遅れて瀕死の所を精霊のノームが融合して、助かりここに隠れ住んでいる。ノームの意識はあるが表には出てこないそうだ。
元々はドワーフで、鍛治が得意で家事も得意らしい。ダジャレか!
ノームと融合し大地の精霊になったので寿命はないそうだ。
ただ、ノームの力を使いたいと言う人が多くて、力を利用されない様に外には出れないのが悩みらしい。
「セアも元気にやっていますか?」
「はい、今はサエ様にお仕えしています」
「そこは我にじゃないの?」
セアも魔王も知り合いに逢えて嬉しそうだ。俺はアウェー感が凄いけど……
席はずそうか?お邪魔みたいだし……
ん?廊下から物音がしたような?
3人は会話に夢中だし、俺が見てくるか。俺は1人で廊下を進むと人が見えた。汚いシャツとズボン、髪もボサボサだ。
その人はクチャクチャと何か食べているみたいだ、反対を向いてるから何かは分からないけど。
近寄り声をかける、あれ?何か?
「あの〜」
肩に手を置く、こんな展開知ってるような?
その人は食べるのを止め、ゆっくり振り向く。
「ギャアアアーーーー」
そこには、血まみれの口にどこを見ているか分からない目、生気のない顔の男が!
俺は悲鳴をあげて、意識を失う。
思い出した。バイ◯だ!ゲームでやった。
目を覚ます。セアが心配そうにしている、魔王は楽しそうに笑っていた。ノルスさんが申し訳無さそうにしていた。
ここはベッドだな、医務室みたいだ。
すぐ隣にとんがり帽子に紫のマントを羽織っていて、いかにもな魔女の格好した人で20代後半でスタイルが良く、背が高い175位?髪が薄い緑色でショート、目がオッドアイで緑と碧だった。かわいいより綺麗な感じの美人。
そんな人が、プラカードを持って笑っていた。『ドッキリ大成功www』
キレた。草生やすな!
▲▲▲ 蛇足
セア「平気ですか?サエ様」
サエ「ちょっと驚いて、気絶しただけだよ」
魔王「サエ、あれで驚いていたら本物は……」
サエ「本物は?」
魔王「墓場では大量に地面から出てくるよ」
セア「サエ様?」
魔王「想像だけで、気絶してる!」




