ビデオの内容
「この前の新人歓迎会のビデオから、大体相沢さんが言っていた事が解ったの」
会長は咳払いをする。
「私は百夜山の神。悪霊達に騙され、自分の土地を追われてしまった。くやしさよりも残された川の神が心配なのです。あぁ、川の神はどうしているのか……。だいたいこんな感じだったわ」
会長は一同を見渡す。会長、口真似は必要ないかと思います。
「みんな、百夜山って知ってる?」
「私聞いた事あります! 百夜山のキャンピング場って、心霊スポットで有名な所ですよね」
相沢さんが嬉しそうに言った。
「知ってた? そうなのよ。もうココしかないと思うの」
会長も嬉しそうだ。好きなスイーツ店が一致した。そんなノリだ。しかし残念ながら今は心霊スポットの話だ。
「そう言う昔話しは僕も聞いた事あるよ。なるほど。それは面白そうだね」
「僕も面白いと思いますね。最近は何でも運命だ何だと言うけれど、そう言うものを感じずには居られないですね」
「茜ちゃんはどう?」
須藤さんはタロットカードをめくった。
「私の占いでは危険なものを感じますね」
「未知なるものを追いかけるのに、多少の危険は付き物。そんな事言っているからオカルトに科学の光が当たらないんです」
下村さんは鼻で笑う。須藤さんはピクリと片眉を上げた。
「科学だってまだまだ未熟じゃない。それなのに何でも科学に置き換えようとするのはナンセンスだわ」
下村さんは須藤さんの迫力に口を開けたままフリーズした。
「まぁまぁ二人共、取り敢えず夏合宿の件だけど百夜山でキャンプするってのはどうかしら?」
会長は一同を見回す。
「凄い! ぜひ行ってみたいです」
「僕も面白いと思うよ。でも須藤さんの占いの事もあるし、面白半分で心霊スポットに行くのはどうかな」
小田切さんは腕を組んで考える。
「そうね。でも下村くんの言う通り、私も運命的なものを感じるの! みんなはどうかしら?」
会長の言葉を聞いて下村さんは調子を取り戻す。
「僕は賛成です。実地へ行って確かめる事は大切です」
「占いは絶対じゃないです。私もそれほど気にする事はないと思います」
須藤さんにも言われ、小田切さんは困った様な苦笑いを浮かべる。
「そう言いながら須藤さんの占いは良く当たるからなぁ。榊君はどう? ぜひ意見を聞きたいと思うけど」
榊は急にふられて驚いた。みんなの視線が痛い。榊は首をすくめながら答えた。
「僕はその、ちょっと怖いですけど……興味はあります」
「そっか、ありがとう。それじゃあ会長、僕もこれ以上反対する理由が無いです。決まりで良いんじゃないかな?」
「それでは夏合宿は百夜山でキャンプにします!」