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反省会

 オカルトサークルの部室は三階の一番北側にある。人気がなく、陽当たりも悪いので昼間でも電気を点けなければならない。オカルトサークルにピッタリだ。


 榊の目の前に部室の扉が重く立ちはだかる。……やっぱりこのまま帰ってしまおうか。


「あっ、榊くんも今来たところ?」


 榊が振り返ると相沢さんが手を振って走ってくるところだった。残念な気持ちと、嬉しい気持ちのハイブリット。そうか、これが青春か。


 そのまま相沢さんは榊の横を通り抜け部室の扉をあっさりと開ける。 部室には既にみんな集まっていた。部室の中から榊達に視線が集中する。


「二人ともお疲れ様。良かった、これで全員揃ったわね」


 会長が部室の中から笑顔で手招きしている。榊は観念して席に着いた。


「さて、全員集まった所で第十四回UFO歓迎会の反省会を始めたいと思います」


 一人の会員が、はいっと元気良く手を挙げた。榊の一つ上の先輩。名前は下村さんと言ったっけ。


「やはり今回の呪文に問題があったのではないかと思います。いくつもの呪文を組み合わせるのはいかがなものでしょうか」

「そうね、でも既にほとんどの呪文は試したのだし改善は必要だったと思うわ」


 会長と下村さんは真面目な顔でUFOの呪文について話している。


「それよりも場所が悪かったのかも。近場だけど目撃証言があまりにも少ないからね」

「時期が悪かったんじゃない」


 みんなも熱心に意見を交わしている。UFOについて……。


 相沢さんは熱心にノートをとっている。何書いてるんだろう。やっぱりUFOの事ですよね。榊は場違いな空気を全身で感じていた。


 お願いだから早く終わって。


「確かに、僕が見た時はもう少し遅い時期だったかもね」


 あんた見たのかい! 榊は喉の奥で言葉を飲み込む。ちなみに、この地でUFOを見たのは下村さんだけだと榊は知らない。


「そうね。次回は場所と時期についても検討しましょう」


 またやるのか。そう思うと溜め息が出そうだ。だが会長の前ではそんな姿見せられない。


「後はそろそろ新人の歓迎会を開きたいんだけどどうかしら?」


 会長は隣に座る副会長の方を見た。


「そうだね。やっと新人も淘汰されたみたいだし、良いかもね」


 副会長はチラリと榊を見た。 榊はドキリとする。


「本当はもっと早くにやりたかったんだけど小田切君が……。二人ともゴメンね」


 会長は榊と相沢さんに向かって両手を合わせる。


「どうせなら本当の同志を歓迎したいじゃないですか。ねぇ」


 副会長はまた榊の方を見た。なるほど。会長目当ての新人がある程度消えてからって事なのか。


 榊は副会長とは目を合わせないように出来るだけ小さくなる。僕も会長目当てだと疑われてるんだ。まあ、確かにそうなんですけどね……。

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