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真夜中の出来事

 榊は真夜中に突然目を覚ました。


「どうかしたかい?」


 小田切さんがちょうどトイレから戻ってきたところだった。だが榊は何も答えられず、自分の肩を抱いた。


「震えてるじゃないか。本当に大丈夫かい?」

「分からないんです。でも凄く寒いんです」


 小田切さんが榊の額に手を当てた。


「熱があるじゃないか」

「それよりも何か……嫌な予感がするんです」

「本当かい? よし、一度会長達の様子を見に行ってみよう」


 小田切さんはチラリと下村さんを見る。下村さんは何故か掛け布団の上で九十度回転している。


「下村君は……、取り敢えず良いか。榊君も一緒に行くかい?」

「はい。行きます」


 榊は足元をふらつかせながら小田切さんの後に続いた。


 小田切さんが会長達の部屋をノックする。


「会長? みんな起きてるかい? ……悪いけど開けるよ」


 小田切さんは少し返事を待ってから扉を開けた。丁度会長が起きてくるところだった。


「何かあったの?」

「ああ、榊君が嫌な予感がするって言うんで心配だったんだ。変わりはないかい?」

「こっちは大丈夫」


 会長が榊の顔を覗き込む。


「顔色が悪いわね。病院へ行く? 一応近くにある病院の場所も調べてあるわよ?」

「いえ、大丈夫です。ただとても……嫌な予感がして」

「それじゃあ一度みんなを起こして外に出ましょう」

「でも、そこまでしなくても。少ししたら落ち着くと思いますから」

「気にしないで。私たちはオカ研よ? 何か起こっているのか、いないのか。調べるのも活動の内なんだから」


 会長は微笑んだ。


「それじゃあ小田切君は下村君を起こしてきて」

「分かった。すぐに連れて来るよ」

「私も相沢さんと須藤さんを起こしてくるから。榊君はここで待ってて」


 小田切さんが下村さんの所へ、会長も一旦部屋の中へと相沢さん達を起こしに戻って行った。


 榊は壁の所にへたりこんだ。


「二人とも起きて。悪いんだけどこれから一旦、外に集まって欲しいの」


 相沢さんと須藤さんが起きるのを確認すると会長は榊の所へ戻ってきた。


「ゴメンなさい。榊君は私と一緒に先に外で待ってましょう。風に当たっていれば少しは気分も良くなるかも」


 榊は会長に支えられるように外へ出た。外は月が出ており思ったよりも外明るかった。


 その後に須藤さん、そして小田切さんが下村さんを連れて出て来る頃には榊も幾分、気持ちが落ち着いていた。


「あれ? 相沢さんは?」


 小田切さんの問いに榊達は周りを見渡すが、相沢さんだけまだ出て来ていなかった。


 その時一陣の風が吹いた。コテージはギシギシ、パキパキと音をたてる。言い知れぬ不安感が辺りを包んだ。


 他のメンバーが止める間もなく、榊はコテージの中へ戻っていった。

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