第3話
というわけで今、二人で俺の家に向かってるわけだが…
「おまえな…」
「ん?なに?」
呆れるのも無理はない。
だって。
普通にほうきで空中に浮いてるのだから。
俺は右上にあるそいつの顔を見て言った。
「わかった。おまえが魔法使いだということはかなり把握した。だからそのほうきから降りてくれ。」
「いやよ、疲れるじゃない」
「いや… そういう問題じゃなくて…」
ああ… どうする?俺!
さっきだってすれちがったおばちゃんと意味ありげな挨拶をかわしたんだ。
あいつを見て驚かない奴はいないだろう。
あ〜だめだこんなに人通りが少ない道でもすでに5人ほどすれちがった。
もちろん、みんなビビってた。
ちくしょう。こいつが浮いてたりしなければせめてコスプレ好きのかわいい女の子にしか見えないのに!
ちがーう!そんなことよりはやく降りさせなきゃ。
俺はぶっきらぼうに言った。
「お願いだから!ほんとにマジで頼む!ほうきから降りて歩いてくれ!」
するとさすがにかんねんしたのか、そいつはほうきから降りた。
「わかったわよ!そんなに怒鳴らなくてもいいじゃない。」
そいつはさも不機嫌にした。
そんな奴を俺はまぁまぁとなだめておいた。
「まぁ、許してあげるわ。この世界には魔女なんてほとんどいないからね。」
…こいつ、わかってやがったのか。
ちくしょー!なんかムカつくぞ!
俺は募る怒りを抑えながら歩いた。