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転生ハローワーク 前編

 連載小説、2つ目でございます。

 二兎を追うものは一兎も得ずとは言いますが、「桃源郷からの行進」と「転生したら魔王になってた」の両方を書ききってみせたいと思います。

「こんにちは、転生ハローワーク人間界支部へようこそ。ご用件をどうぞ」

「いや“転生”ハローワークなんだから、転生しに来た以外無いと思うんですが」

 肩にかかる程の長さの金色の髪を編み込み、灰色に近い色合いの制服を着る目の前の女性に俺はつっこみを入れる。

 どうやらここ、転生ハローワークというのはいわゆる「あの世」と呼ばれる所で、死んだ人間を別の世界の、別の人物として生き返らせる、つまり転生させることが出来るらしい。


「転生の用でしたら、まずはこちらに氏名と生年月日、享年と没年月日に、分かりましたら死因そしてその他諸々をご記入下さい」

「そこは略しちゃいけないと思いますが……」

 受付の女性から一枚の紙と羽ペン(スラスラと筆を休めず記入している周りを見ると、インクを必要としていないことが分かる)、それらを固定する紙より一回り大きい画板を渡され、俺は受付と一直線上にあるソファーに腰掛けた。


 さて、なぜ俺――高林たかばやし秋人あきとがこんな明らかに異次元な空間で徒然なるままに羽ペンを滑らせているのか。

 まあ“転生”ってキーワードが隠れずに出ているのでよく分かるだろう。単刀直入に言えば俺は死んだのだ。


 ド田舎の中の都会と言うとかなりややこしいが、まあつまり、東京とか大阪の様な大都会ではなく、むしろその真逆なぐらい過疎ってる県の県庁所在地で俺は高校ライフを過ごしていた。

 進学してまだ3ヵ月、勉強も部活もマジになってきた時期だ。そこまで勤勉ではない俺は、息抜きとして初めて休日をゲームセンターに費やしてみたのだ。

 それにしても、一回100円のUFOキャッチャーで1万円も使っておいて、結局何も手に入らないというのはどういうことなのだろう。

 お菓子一つも手に入らないとか、弱いにも程がある。こちらの腕も、キャッチャーの握力も。

 そしてそれはそろそろ帰るか、まだ他の場所で時間を潰すかと、優柔不断に悩みながら外でブラブラしていた時だった。

 目の前の十字路を、猫を追いかけている子供が横切る。

 案の定そこに飛び込んでくる大型トラック。分かりきっていたが何とかして助けたいと思った俺は咄嗟に身体を動かしていた。

 捕まえた猫を抱く子供の服の袖を掴み、後ろに引く。するとその反動で、自分の体が前に出てしまい、そのままトラックという名の鉄塊にぶつかる。

 何これ、何かの漫画? と薄れ行く意識の中つっこむ。まさか辞世の句がこんなのとは思っていなかった。

 まあそれで目が覚めて、俺は真っ白な空間の中に1つ佇む、この「転生ハローワーク人間界支部」の前で転がっていたのだ。


「――では19××年×月×日生まれ、201×年×月×日没、享年16歳の高林秋人様、こちらの札の数字の部屋までおいでになってください」

 親切にも、いやお節介にも生没年から言われつつ、俺は木の札を受けとる。

 札には13689と記されている。なんかメチャクチャ大きい数字だけど、この施設ってそんなに広いのだろうか?


 俺は振り返り、受付に聞いてみる。

「あの、この13689番の部屋まで行くのにどれくらいかかりますか? ていうか、どう進めばいいんですか?」

「そちらのワープ装置に、その札の数字を入れると自動的に進みますよ」

 手を向けられた方向には、なるほど、壁際の床に幾つかの円があり、その壁には電卓のようなものが付いている。

 円の中心に身を踊らせ、5個の数字を打ち込む。

 そして「確定」と書かれたボタンを押す前に、俺はその場で深呼吸をする。

 これで俺は、新しい人生を歩んで行くのか。どこに行くのかとか全く説明されてないけど、多分大丈夫だろう。

「……よしっ!」

 俺は確定ボタンを押した。

 身体が、どこかに飛ばされるような感覚が俺を包む――

 転生ハローワーク編はもうちっとだけ続きます。誤字脱字、表現のアドバイスなどよろしくお願いします。

 また、もし気が向いたらで良いので、私のもう1つの連載小説「桃源郷からの行進」の方にも立ち寄って下さい。

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