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『Weapon・Infinity・Online』  作者: 三日月
《Forest of red 》
9/19

◇9◆

最初は主人公が壊れていますが、今回はスキルのオンパレードです。新技ばっかりです。主人公が主人公っぽくなります。


誤字脱字、その他意見や評価などがありましたらご報告お願いします。

『TAKE1』


俺がこのステージにやってきて、もう一ヶ月が過ぎた。あれから武器の練習を重ねた俺は、少し悟りの境地に近づいたかもしれない。

……いや、嘘だよ? 全く悟りとか開いてないからね!? なんだかこれじゃあ、俺が馬鹿みたいじゃないか。

……あぁ、ヤバいなぁ。最近人と話していない所為か、声が出るか不安になってきた。


「あー」


なんだ、やっぱり出るわ。心配して損したなぁ…はははは。


☆★☆★☆


『TAKE2』


……よし、正気に戻ろうか。


「大分俺のステータスが上がってきたな」


太刀を振る手にも力が篭る。最初はこんなにも大胆に振れなかったはずだ。一ヶ月という月日を侮ってはいけないな。


俺はさらに太刀を振るう手に力を込める。


「それにしても、時間が経つのは早いな……でも、現実世界じゃ一日も経ってないんだろうけどな」


今日もスキルや魔法の練習に明け暮れる。最初に練習を始めた頃とは比べ物にならないほど、俺は成長していた。ディスプレイを出し、ステータスを確認してみる。


…………


〈ステータス〉


・Player name 紅蓮 Lv26


・Equip―――Weapon「呪われた双手太刀」 Protector「皮の防具」 Accessories「蛇眼のピアス」


・Skill

回避スキル:《ステップ》《三段ジャンプ》《回転回避》

剣術スキル:《アーマーブレイク》《エグゼスラッシュ》《一刀流術》《セン

《双牙》《クイックエッジ》《十六夜華葬いざよいかそう

特殊スキル:《蛇睨み》

行動スキル:《不意打ち》《投擲》《隠蔽》


・Ability

戦闘時:《見切り》《弱点探知》《トドメの一撃》

通常時:《探知》


・Magic

闇:《闇の刃》《降魔の門》《黒淵陣》《暗黒瘴》

魔術剣:《夜斬》《ブラッドブレイド》


・Decorate

勲章:《逃走王》《無謀の極み》《幸運》《全力投球》

《大蛇の加護》《物好き》《二刀流剣士:壱章》


・Player skill

紅蓮:《総技の始祖》


・HP 125 ・Stamina125  ・Power 55 ・Emotional 125 


・Attack 80 ・Defense 120(90) ・Speed 40(80)


…………


新しく獲得したスキルに魔法や勲章、さらには魔術剣という物も使えるようになった。すばやさは相変わらず呪いのおかげで半分だが、それでも最初の頃よりはマシになった。


「さて、そろそろこの練習ともおさらばしてもいいだろう」


一ヶ月もの間、こんな辛い練習を耐えに耐え抜いてきたんだ。そろそろここのモンスターと戦ってみてもいい頃合だろう。


自分でもそろそろこの練習だけではダメな気がしてきた。やはりモンスターと戦って、経験値だけでなく実際の感覚のようなものも掴んでおかなくちゃならない。


「……でもやっぱり最初は弱いヤツから戦おうかな」


やる気になったのはいいが、やはりまだモンスターとの戦闘は怖い。Lvは明らかに向こうの方が上だからな。


しかしここ一週間は木の実だけしか食べてないし、それだけで回復できる空腹の量もたかがしれている。やはり、肉類を食べないと完全に満腹にはならない。だからここのモンスターを一体でも倒して、肉類を手に入れる必要がある。


「よし! 狩るか!」


食欲という欲望を糧に、俺はモンスターと戦うことを決意した。

俺は注意しながらキャンプを出て、弱そうなモンスターを探しに行くことにしたのだった。


★☆★☆★


俺は木が生い茂っていて、少し薄暗い森の中を歩いていた。

逃げてばっかりで気づかなかったが、このステージは少し赤みがかった木が多いな。だから紅の森っていうステージ名なのかもしれない。


しばらく歩いていると、《察知》で反応があった。その場所に行ってみると、最初に会った猛者たちとは比べ物にならないほど小型のイノシシを発見した。小さいといっても俺の肩くらいの大きさはあるが。


「あれならいけるか……?」


最初に見たモンスターとは違ってあれなら明らかに弱そうだ。よし、攻撃しに行こう。

スキル《隠蔽》を発動させながらすばやく背後まで接近する。このまま近くまで行って、スキルを浴びせよう。弱そうとは言ってもここのモンスターだ。油断はできない。


残り数メートルの所まで来たときに、俺は攻撃に打って出た。行動スキル《不意打ち》を持っていると、不意打ちが成功した瞬間の攻撃の威力が上がる。ならチャンスは有効に使わなきゃな!


「《セン》!!」


スキル名を叫ぶと、それを合図に太刀は真っ赤に変色していった。

そして背後から両手で構えた太刀を、そのままイノシシの背中に突き立てる。このスキルは強力な突き攻撃によって、相手を深傷状態にさせることができる技だ。


深傷状態とは毒状態と同じように、時間が経つごとに少しずつダメージを受けていく状態のことだ。毒状態と違う特徴は回復しないとその傷は治らず、ダメージを与え続けていくというものである。


プギャァァァア!!?


不意に攻撃を食らい、驚きの声を上げるイノシシ。

どうやらクリーンヒットだったらしい。太刀を引き抜いた後も、辺りをのた打ち回っている。このまま畳み掛けるぞ!


「《エグゼスラッシュ》!!」


次に《スラッシュ》の上位スキル、《エグゼスラッシュ》をイノシシの側面に放つ。一度の斬撃で三回斬りつけるスキルだ。それを両手で行うのだから、計六発分の斬撃を当てたことになる。練習した甲斐もあってか、この程度の技でスタミナを消費しても大丈夫だ。まだ他にも一発ほど打てる。


しかし、斬撃を食らいつつもイノシシは立ち上がる。その瞳には少し、殺意が篭っているような気がする。こちらに向き直り、戦闘体制に入った。


……流石はここのモンスターだな。なら、これはどうだ!


「《クイックエッジ》!!」


唱えた瞬間、目にも留まらぬ速さで俺はイノシシに接近し、そして通りすがりざまに顔面を切り裂いた。これは一時的に走力を高め、凄まじい速さで相手を切り裂くスキルだ。威力は低めだが、これなら低いすばやさをカバーすることできる。


相手体力を確認してみると、もう残り半分ほどだった。個人の感覚的にはもう倒れていてもおかしくはないのだが、やはりLvが高いこともあってか中々死んでくれない。


チッ、仕方がない。スタミナ回復のために一旦距離をとろう。俺は《ステップ》でイノシシから距離をとった。するとイノシシは俺が予想だにしていない行動を取ってきた。


プギョォォォオオ!! ――――ヒィン


「あ、まず――――!」


これは魔法を使うときに出す音だ!? あのイノシシ、魔法が使えたのか!? イノシシは身体にオレンジの気を発生させ、それを地面に向かってたたきつけた。

練習のときとは違った魔法が、俺に襲い掛かる。


ボゴボゴボゴボゴ!!


地面が盛り上がり、脈を打ちながら飛んでくる。まるで大きな岩がそのままスライド移動しているかのように。

このままだと食らう! そう考えた俺は、一つのスキルを思い出す。


《見切り》だ。


見切りは常時発動パッシブスキルで、敵の攻撃が来るラインが自動的にわかるというものだった。見切りを使って見てみると、この魔法はこの後、俺の身体の目の前に来てはじけて襲ってくることがわかった。なら……!


「《三段ジャンプ》!!」


岩がはじける一歩手前、俺は空中に逃げた。それと同時に敵の後ろに回りこみ、通常攻撃で畳み掛ける。


「はぁっ!」


一撃目を足に当て、イノシシのバランスを崩す。二撃目はそのまま刃をイノシシの身体に押し当て、引き斬る。三撃目でスキル《双牙》を使い、イノシシの身体に太刀を食い込ませる。


その辺りでやっとイノシシの体力は残り二割程度になった。


(これなら……!)


勝てると確信した俺はトドメを刺すため《三段ジャンプ》を行い、


「オラァァァアアッ!!」


重力に任せて、そのままイノシシの身体に太刀を突き立てた。


ザシュッ!! プギャァァアア……!!


イノシシは最後の断末魔を上げ、そのまま地面に倒れ伏せた。


はぁっ……魔法を使われたときは焦ったけど、意外と何とかなるもんだな。


イノシシがさっき使ったのは土魔法だろうか。敵も使ってくるんだということを頭に入れておかなきゃダメだな。さっきみたいに不意打ちされたら動揺してしまう。


「ま、それでも勝てたからな。結果オーライだ」


ノーダメージで魔法も使わなかったし、このステージの前哨戦にしては中々だったんじゃないか?


地面に刺さった太刀を引き抜き、鞘に収める。今のは少し様になっていたかもしれない。


その後は恒例のLvアップ音がし、ディスプレイが表示される。今のLvから4もLvが上がった。丁度Lv30である。


どうやらスキルは特に変化しなかったようだ。何の報告もない。


「スキルは得られなかったけど、アイテムはどうだったのかな……っと、おおっ!」


特にこれといったスキルは得られなかったが、アイテムを確認してみると嬉しいものが盛りだくさんだった。



『追加品:消費アイテム《大猪の肉》×3

追加品:モンスターアイテム《大猪の尻尾》×1《大猪の毛皮》×2《大猪の牙》×2

追加品:装備品アイテム《大猪の牙飾り》

追加品:緊急アイテム《復活の種》×1』



念願の肉が三つも手に入った。これで二、三日は空腹に苦しまなくても済む。


それに緊急アイテムの《復活の種》。これからは格上のモンスターも相手にしなくちゃいけない所だったし、今持っている二つだけじゃ心もとなかった。これが一個でも多いと本当に心強い。


後は装備アイテムの《大猪の牙飾り》。効果は防御力が20上昇し、突きタイプのスキルの攻撃力が上昇するというものか。俺には《閃》スキルがあるし、持っておいて損はない。


「よし、こんなもんか!!」


その場で少し伸びをする。

初戦を順調にクリアし、テンションが上がっているぞ。この調子でもう一体くらい倒しておきたいな。


俺は《察知》を使いながら、もう少し森の奥に進んでみることにしたのだった。


☆★☆★☆


「――――マズいマズいマズいマズいマズいマズいマズいぃぃぃぃぃ!!!!」


森の中を全速力で走りぬける。きっと今オリンピックに出たら、絶対に世界記録が出せるはずだ。いや、冗談抜きで。


「はぁっ……! はぁっ……!」


俺は今、勲章《逃走王》を絶賛発動中だ。

何故かって? そんなの決まっている。敵から逃げてるからだ。


「くっそ……! 何でまた……!」


後ろを振り返りながらつぶやく。その先には――――



グルォァァアアッッ!!



崖から落ちたときに出会った、あの青い虎がいた。


「チクショウ……! やっぱりあの時素直に帰ってれば良かった!!」


俺は走るペースを落とすことなく、目の前に突如現れた木をかわす。しかし青い虎はそんな木をも薙ぎ倒し、俺に向かってくる。


「休憩場所は今度から気をつけないといけないな……!」


俺はイノシシを倒した後、さらに森の奥へと足を踏み入れていた。


たまたま川を見つけて、そこで休憩を取っていたらこの有様だ。まさか虎が水浴びしてるとは……虎って猫科だから、水は苦手なんじゃないの?


応戦してもいいが、《復活の種》を全部使わないと絶対に勝つことはできないと思う。こんな場面でそんな大事な物を使うわけにはいかない。やはり勲章の《逃走王》らしく、ここは逃げた方がいいだろうと考えた。けど……


「アイツ……! 足メッチャ速いな!!」


巨体を揺らしながら走ってくる様は、まるでダンプカーのようだ。初期装備で防御も低い俺が、あんなのに当たったら一発でこの世とオサラバだろう。


グルォァァァアアッッ!!


虎がもう一度叫ぶ。止まりそうになる足に喝を入れ、ただひたすらにキャンプの場所を目指す。もう距離はそこまでないはずだ。


しかしながら、このままだと追いつかれてしまうだろう。俺の走力やスタミナにも限界というものがある。一か八か魔法で足止めするか……!


俺は迫り来る虎と向き合い、闇魔法の一つを唱えた。


「《暗黒瘴/Black Mist》!!」



ブシュワァァアア…………



唱えた瞬間、虎の周りに黒い瘴気が発生する。虎はそれに気づいたようで一旦足を止めた。その後は俺の姿を見失ったようで、辺り構わずに大きな腕を振り回している。当たったら一溜まりもない。


「ま、当たればの話だけどな」


残念だが俺は既に虎より数十メートル離れた位置にいる。虎からの逃走は成功だ。


《暗黒瘴》は相手の周りに不可視の瘴気を出現させ、一時的に盲目状態にする補助魔術である。《察知》のスキルを持っている相手に効果はないが、モンスターの足を止めるには十分だ。


「それじゃ、逃げさせてもらうぜ! あばよぉっ!」


俺は虎に捨て台詞を吐き、足早にキャンプへと戻っていった。

個人的に気に入ってるスキルは《セン》ですかね。

突きって、かっこよくないですか? 僕は大好きです。


魔法はもっとカッコいいものを追加する予定なんで、相手の眼を潰すだけが紅蓮君の本気だと思わないでくださいね?


それでは、次回もお楽しみに。

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