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『Weapon・Infinity・Online』  作者: 三日月
《Forest of red 》
8/19

◆8◇

お気に入り登録が50をになりました! ここまで頑張れたのも皆様のおかげでございます。これからも頑張りますので、よろしくお願いします。


主人公の特訓です。正直、単調かもしれません。

誤字脱字、その他意見がありましたらご報告お願いします。

目を覚ますと、寝る前より少しだけ涼しくなっていた。


「うん……? 今、何時だ?」


ディスプレイを確認すると、ゲーム時間は午後の6時半ほど。少し休みすぎたようだ。空が赤く染まってしまっている。


「今から外で行動するのは危険かな……」


この時間なら探索を始めたらすぐに夜になってしまう。凶暴な夜行性モンスターとの遭遇は避けて、ここはキャンプにいるほうが得策だろう。


「そういえば、どうして闇魔法が使えるようになったんだ?」


ディスプレイを表示して闇魔法のページを出す。どうやら取得の方法は書いていないようだ。じゃあ、どうして急に……? ディスプレイを出して闇魔法のページを確認してみる。疑問はすぐに解けた。

それは闇魔法の技、つまり《闇の刃》と《降魔の門》の説明を見た時だ。


「技の説明に『たとえ相手が絶命したあとも切り刻み続ける』や『技の終了まで潰し続ける』とか書かれていたらなぁ……惨い殺し方が習得方法か?」


闇魔法はきっと、モンスターに対してオーバーキル行うことで習得できるのだろう。

あの時、俺には《トドメの一撃》のスキルがあった。これによって攻撃力が上がった状態で岩なんか叩き込んだらオーバーキルするに決まってる。しかも3発もだ。やりすぎたと今でも感じる。


「ま、魔法が手に入ったし結果オーライだな」


上体を反らし、大きく伸びをする。

魔法も一度取得できれば使っていくことで段々と強くなっていく。技そのものが強くなったり、新しい魔法を習得したりと様々だ。しかも使い続けることで精神力も上がる。一石二鳥だ。


「しっかしそうなると、闇以外の魔法も欲しいなぁ……」


例えば炎だ。手に入れば肉が焼けるようになる。


「って、この使い方じゃダメだろ」


炎の魔法も他の魔法と同じで、どうやって習得すればいいのかは謎だ。闇の魔法だって偶然手に入れたものだし、他の物も偶然手に入れるのを待つしかないか……


あ、そうだ。


「よし、魔法を鍛えよう」


魔法は使えば使うほどに強化されるのだ。今も暇だし、あんまり外には出られないし、特訓するには丁度いいだろう。俺はキャンプからはそう遠くはない開けた場所を見つけた。


「えーと……《闇の刃/Darkness Edges》!!」


そこで俺は手頃なサイズの岩を発見した。試し撃ちには丁度いいだろう。俺は初期魔法の《闇の刃》を唱え、岩に向かって叩き付けた。すると―――


ガガガガガッ!!


岩に1発目の刃が当たった瞬間、他の場所からも闇の刃が発生し、岩を切り刻んだ。


「おお……これは凄いかも」


調子に乗ってまた何発か出してみる。すると岩がドンドン削られていき、最後には自分の腰ぐらいの高さになった。


「これで間髪入れずに攻撃していけば、あの牛だって倒せるんじゃないか?」


魔法が使えるようになったからか、少し得意気になる。多分他の人はまだ習得すらしてないんじゃないかな? もしここで俺が元のステージに戻れたら、10万人の中から1位になれるかもしれない。そんな邪な考えすら浮かんでくる。

しかしそこで、俺にある異変が起こる。


「―――うぐっ!? むぅ……!」


急に吐き気が襲ってきた。なんだこれ!? ヤバい……吐――――


オエェェェエエ……


俺は当たり一帯に自分の食べた大蛇の巨肉をぶちまけた。何でいきなりこんな目に……!

ひとしきり吐き終え、何故こんなことになったのか考えているとディスプレイが一瞬だけ出現した。


『精神力が足りません。精神力が足りません』


どうやら魔法を使うためのポイントがなかったようだ。なるほど。使いすぎるとこんな感じで自分に返ってくるのか……気をつけて使わないと食べた物が勿体ない。いや、それ以前に吐くと疲れる。


「……いいや、今日はもう寝よう……」


吐いた所為か、もう今日は特訓する気にはなれない。大人しく休んで、明日に持ち越そう。

帰る途中、実がなっている木を見つけたのでそれを3つほど摘むことにした。明日の朝はこれを食べて、もう一度魔法の練習をしようかな……


☆★☆★☆


「―――危ねっ! …………また吐くところだった」


朝早く起きた俺は昨日と同じ場所で昨日の夜と同様、魔法の練習をしていた。岩が無くなってしまったので、今度は木に向かって唱えている。しかし、これがどうにも難しい。


「コントロールは結構できるようになってきたんだけどな……」


刃を湾曲させて、木にぶつける所まではできるようなってきた。しかし、精神力の配分がうまくいかない。休憩をした後に何度も《闇の刃》を唱える。けれど、どうしても4発目を撃とうとする寸前で吐き気が襲ってくるのだ。このままだと、朝食べた木の実が口から出てきてしまう。なんとかしないとな……


「とにかく休憩をはさみながら、少しずつ練習していくしかないな……」


このゲームはLvを上げなくとも、自力で全てのステータスを鍛えることができる。筋トレをすれば体力ゲージにスタミナ、すばやさ、攻撃力に守備力と筋力が上がる。瞑想すれば精神力が。といった具合にだ。


武器や魔法も使うほどにステータスが上がっていく。条件さえ揃えばスキルだって手に入る。敵と戦わないで自分を強めるには、自力で少しずつ鍛えていくしかない。


「武器も使って慣れていかなきゃならないんだけどな……」


なんてったって《呪われた双手太刀》だからな。使えるのか不安になる。


腰から抜いた太刀を両手に持ち、試しに素振りをしてみる。うわ、こりゃ確かに使いづらいかも……いや、多分この《呪われた双手太刀》の所為じゃないんだろうけど。


長い太刀を両手に持つと、それなりの重量がある。これを同時に振り回すのには相当の技術が要るだろう。しかも筋力がない人はこんなもの、持つことすらできないはずだ。道理で周りからハズレ武器だとか言われるわけだ。


「ま、成せばなるの精神でいけば……」


俺は精神力が回復するしばらくの間、この《呪われた双手太刀》を振り続けた。

しかし魔法を使っているときとは違って、一時間もやっていると肉体的な疲労が重なってくる。もう腕が痺れた。普段はバスケとかやってるから体力は結構あると思ってたんだけど……見くびってたかな?


そこから痺れを堪えてまた一時間。俺は剣を振り続けた。幸い手にタコができるような細かいシステムまではなかったようで、どれだけ振っても手のひらが痛くなるようなことはなかった。けれど……


「さすがに……はぁっ……疲れたな……」


俺は両手に持っていた太刀を放り出し、尻餅をついた。はは……想像以上にキツいなコリャ。

でもディスプレイで確認すると、全部のステータスが少しずつ伸びているのが確認できた。なるほど、こうやって少しずつ鍛えていけばここの一番弱いモンスターくらいには勝てるようになるかな?


「とにかく、一度キャンプに戻るか……」


よくよく考えてみたらもう昼だ。腹も空いたし、肉を食ってからもう一度練習だな……


「剣術スキルってのも使ってみないとな」


俺は空腹を紛らわせるためにこれからのことを考えた。確か《スラッシュ》ってのがあったよな? その上の《エグゼスラッシュ》ってのも。体力が回復したら、午後にでも使ってみようかな。


「さて、帰るか……」


俺は疲れた身体を引きずるようにキャンプまで戻っていった。


★☆★☆★


「―――それにしても」


俺は大蛇の巨肉を食し、またもや練習場所に来ていた。両手で太刀を振るいつつ、切っ先の方向の調整をしながら木に向かって切りつける。武器を使っているうちに一つの疑問が浮かび上がってきた。


「この武器、そこまで使いづらくないかもしれない……」


振るっていて気づいたが、両手で操作にすること自体は別に難しくはない。ただ重量があって持ちにくいだけだ。


「バスケやってて良かったかも……」


バスケは左右で筋肉のバランスが悪いと、微妙な誤差が出るそうだ。だからトレーニングでは左右の筋肉を均等に鍛えるようにしていた。しかも部活の顧問は『左のドリブルがなってない!』と俺にブチ切れて、両利きになるように私生活を大改革した。つまり俺は両利きなのだ。


「まさかあの時の辛い出来事がこんな所で役に立つとは……」


顧問の先生は正直うざったかったが、こんな時だけはマジで感謝してる。


「さて、それでは剣術スキルを使ってみますか!」


身体もまだまだ元気だし、スタミナを消費する剣術スキルを使ってみてもいいだろう。こちらも魔法と同じで使えば使うほど強化されていくし。


俺は太刀を構えた。


「――――《スラッシュ》!!」


すると発動の瞬間、太刀が真っ赤に輝いた。そのまま俺は流れるように木に接近し、根元の方から切断する。木はそのまま大きな音を立てて、倒れた。


「……凄い威力だな」


倒れた木をまじまじと見る。これならあの牛でも……

いやいや、モンスター相手だとその威力が違うのかもしれない。ここのモンスターだと、そこまでダメージを食らってくれそうもないし。


「もっと練習するか……」


何度も何度も《スラッシュ》を使い続ける。スタミナ切れとは別に疲労が襲ってくるが、それにも耐える。ただただ、木に向かって《スラッシュ》を打ち続ける。休憩も交えながらそれをし続けること数時間、辺りはすっかり真っ暗だ。


「今日はこのくらいにしておくか……」


気が付くと、太刀を持つ手も軽くなったように感じる。大分練習したからな。これから毎日練習していって、ここのボスを倒せるくらいになれれば……ここからの脱出も可能のはずだ。


「よし!」


俺は確かな実力の向上を自分でかみ締めながら、キャンプに戻っていった。

次回からはいきなり時間が経ちます。

さて、特訓を重ねた主人公がここのステージのモンスターと“逃げることなく”戦うことができるのでしょうか? お楽しみに。

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