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『Weapon・Infinity・Online』  作者: 三日月
《Forest of red 》
7/19

◇7◆

主人公の幸運?発動しまくりです。そして魔法が初お目見えします。

誤字脱字、その他意見などがありましたらご報告よろしくお願いします。

「この辺かな? ……いや、無いな」


俺は最初にこの森にやってきた崖の近く、大きな木が倒れているところで自分の武器を探していた。辺り一帯を捜索してみるが、どうやらそれらしき物は見当たらない。


「本当に何処行っちゃったんだろ……」


使いづらくても武器は武器。無いよりはは格段にマシである。

しかし自分よりLvの高いこのステージにおいて、武器なんてあっても無いようなものだが。


「それでも無いよりは精神的に安心するよな……」


こんな所でいつまでも留まっているようじゃ、先が思いやられる。早いところ双手太刀を見つけて……


「……って、なんだこれ?」


探し始めて一時間。倒れた木の近くを探していると、折れた根元の部分から木の箱を見つけた。なんだこれ? あ、もしかして宝箱かな?


ステージには宝箱と呼ばれる物が日によってランダムに発生する。出る日もあれば、出ない日もある。今目の前にあるのはそんな宝箱なのではないのか?


俺は期待に胸を膨らませた。宝箱から得られる物は基本的には道具類だが、物によっては武器が出てきたりするそうだ。


「もしかしたら武器が手に入るかも……」


俺は期待に胸を膨らませながら箱を開けようとする。すると、


ギャギャギャ!!


「うわっ!?」


箱がモンスターに化けた。

俺は突然の事態に対応できず、思わず尻餅をついた。痛てて……なんだコイツ?


ギャギャギャ!!


箱型モンスターは騒ぎ散らしたのち、また先ほどの箱に戻った。どうやらトラップタイプのモンスターらしい。ダメージを食らわなかっただけでもラッキーだろう。


「……コイツ、俺のことおちょくってんのか?」


それにしても発見した宝箱がコイツだったなんて、ムカつくにも程がある。

こんなヤツになめられるなんて、武器が無いというのはそんなにも恥ずかしいことなのか?


そう考えると、少しイライラしてきた。


「よし、コイツ殺そう」


俺は昨日大蛇に投げたときより少し大きいサイズの石……いや、岩か。を近くから見つけだし、全力を振り絞ってその箱型モンスターに叩き付けた。


「ふんぬおらぁっっ!」


グシャッ! ギャギャァァアア!!


どうやらダメージを負ったらしい。頭?の上に表示されている体力のゲージが半分ほど減った。あれ? コイツってそんなに強くないのか? もしかして共通モンスターかも……

共通モンスターはステージに関係なく出現するモンスターのことだ。Lvも大体が固定になっていることが多い。


「そうと決まれば……!」


グシャッ! ギャァッ! グシャッ! ギャッ…… グシャッ! …………


俺はあと1発攻撃すればいいところに3発も岩を叩き込んだ。最近ストレスが溜まってるから丁度いい。いい発散相手だ。フハハハハ! アーハハハ…………!

……あれ。もしかして俺、今凄く酷いことしてるんじゃないかな……?


「どうしよう。今更ながら後悔してきた……」


目の前には潰されて原型を留めていない先ほどの箱型モンスターの姿が。

やったのは自分だが、ものすごく不憫に見える。


そうやって少し慈愛の目で見ていると、モンスターはサラサラと砂になって消えていった。

なんか……ゴメンな?


ピン!


『魔法を習得しました』


「な、何だって!?」


不意にLvアップの時と同じ音が鳴り、ディスプレイが表示される。

そして魔法の二文字に俺の目の色が変わる。ま、魔法だって!? どうして今更……


「魔法って確か、特定の条件を満たさないと習得できなかったような……」


俺が今したことといえば、この箱型モンスターを倒したことくらいだけど……あとで確認してみようかな。


『アイテムを獲得しました』


「お」


箱型を倒したときのアイテムが手に入った。Lvアップはどうやらしなかったみたいだが、アイテムが手に入ったのはラッキーだ。さてさて、なんだろなーっと……


『追加品:装備アイテム《呪われた双手太刀》』


……武器だ。念願の武器だ。凄く嬉しい。嬉しいんだけど……


「呪われたって……なんだよこれ」


名前からして良い武器ではない。むしろ悪い方に物事が運びそうだ。


「酷い殺し方したからかな……」


そうなら今からでも南無阿弥陀仏を唱えるんだが。でも唱えたところで何が起こるわけでもないだろう。


しばらくこの武器と睨めっこをする。使うべきか、使わないべきか……でも今は形振り構ってる場合じゃないし、装備しておこうかな。

俺はその《呪われた双手太刀》を腰に差し、ディスプレイの装備の部分を押した。


「うっ!?」


急に身体が重くなった感覚に陥る。まさか、呪いの効果とかがあるのか……!?


効果の欄を見てみると、どうやら装備した者は呪いにかかり、すばやさが半分になると書かれている。じょ、冗談じゃないぞ!? これじゃ虎とかから逃げ切れないじゃないか!? こんな武器すぐに外して、


『この装備は呪われています。外すには最寄の教会に行くか、聖水を使用してください』


「ざっけんなよこらぁぁぁぁあぁぁっ!!!?」


この状況下で教会なんてあるわけない。もちろん聖水なんて物もない。よってこの装備は外せない。

ていうか、どこかで見たことあるぞこの状況!?


「あー、マジかよ……」


大きな切り株に腰掛けながら愚痴る。

やっぱり勲章の《幸運》なんてでっち上げじゃねぇか……現に今こんなに俺は不幸な気分だ。

しかも、不幸のという物は持続するらしい。


モ゛ォ゛~!!


後ろから牛のような鳴き声が聞こえる。きっと俺の叫びに反応して来たモンスターか何かだろう。

振り返ってみると、そこには案の定牛が……って、何だよこれ。


「何で角が正面に向いてるんだよ!?」


そこにいたのはテレビで見たことがあるような闘牛なんかで出てくるような大きさの牛だった。

しかし、同じなのはサイズだけだ。色は真っ赤。身体の節々には棘なのか角なのかわからないが相手を串刺しにできるような物が付いている。

極めつけは頭にある大きな角。しかしそこにあるのは横に二つあるような一般的な牛のような角ではなく、そう、ユニコーンのように正面に付いた角だ。あれに刺されたら死は免れないだろう。


「逃げるが勝ち……!」


当たり前かのように逃走体制に入る俺。逃げる機械が多い所為か、すっかり板についてしまった。これ、直さないとヤバいよな……


そんな俺を一瞥いちべつし、照準を合わせるかのように角を向けた。来る……!


モォオオオオ!!


牛はわき目も振らずこちらに向かってくる。しかも思った以上に速い。呪いですばやさが下がっているこの状況下で、避けきれるか……!?

俺は横に大きく《ステップ》し、ギリギリの所で牛の猛攻をかわした。ふぅ、危ないところだっ―――


「―――ガッ!?」


―――かに思われた。


完全に避けきったと思った俺のステップの先には、牛の間接に細かく生やされている棘のようなものがあった。避けた後のことまでは考えておらず、ぼうっとしていた俺の身体にそれが叩き付けられる。


「くっ……! マジかよ……!」


体力ゲージが8割ほど持っていかれる。直撃だったら死んでたけど、掠っただけでもこの威力って……!

俺は力の差を感じた。ここから逃げ出したいほどに。しかし、この《呪われた双手太刀》のおかげでそれは叶わないものとなっている。


モォオオオオ!!


牛がこちらに振り返る。その目は血走っていて、俺に恐怖を感じさせた。すばやさ半減のおかげで、俺はLv1の時とほぼ同じような走力しか持っていなかったのだ。


くそっ、こんな所で死ぬなんて冗談じゃねぇ……!


「……そうだ!」


俺は思い出したようにディスプレイを出した。普通はこんなことやっている場合じゃないのだが、場合が場合だ。今はこれにかけるしかない……!

使用法を確認し、目標の牛を見据えた。効かなかったらここは諦めて、復活の種を使って逃げよう。


俺は先ほど箱型モンスターから入手したばかりの魔法を、牛に向かって叫んだ。


「《降魔ごうまの門/Devil's Gate》!!」


先ほど箱型モンスターを倒したときに習得した闇の魔法だ。。初期魔法は《闇の刃/Darkness Edge》と、《降魔ごうまの門》の二つであった。《闇の刃》は単体を鋭い刃で切り刻む魔法。そして《降魔の門》は――――


モォオオオ?


牛の真下に黒い魔方陣が出現する。不思議と次に何を言うか、頭の中で再生されていく。《降魔の門》は発生場所から中距離までにいる相手に鮮烈な一撃を与える魔法だ。

牛の身体が闇の中に沈んでいく。使うのは初めてだから、どんな技か確認しておかなきゃな……行くぞ!


「―――潰れろっ!!」


グシャァアアッ モァアアアア!!!


俺の声と同時に牛の頭上からもう一つの魔方陣が出現し、まるでプレスするかの如く叩き潰した。少しずつだが牛の体力ゲージが減らされていく。《降魔の門》は俺のようなLvでもかなりの威力を誇るらしい。


「でも、これじゃ勝てないな……」


牛はまだ身動きがとれずにもがき苦しんでいる。《降魔の門》は消費する精神力が多い代わりに、相手の身動きが取れなくなるような特殊効果が付いている。この隙に逃げられるだろう。


俺は先ほど来た道をそのまま戻る。


「危ない所だったな……」


振り返りながら呟く。

俺は危険な牛からこの場から逃げ出し、拠点であるキャンプに戻っていった。


★☆★☆★


「それにしても、腹が減ったな……」


猛牛からの逃亡に成功し、俺は逃げ帰ったキャンプで休憩を取っていた。

キャンプに戻ってくる途中まで全速力だった所為か、お腹が空いた。というか、昨日から何も食べてないじゃないか。通りで力が入らないと思ったよ……


「確かアイテムに《大蛇の巨肉》ってのがあったような気がする」


これは食料アイテムで体力ゲージを回復してくれる物ではないが、プレイヤーの空腹を満たしてくれる。もしかしたら俺にとっては一番重要なアイテムかもしれない。


「食べてみるか……」


ディスプレイを表示し、《大蛇の巨肉》を選択する。すると目の前に光が集まり、大きな肉となって形を変えた。


「おおっ!」


思わずよだれが垂れそうになる。余程お腹が空いていたんだな、俺……


「それじゃ、いただきます」


生肉だろうが気にせずに噛り付く。食あたりとかを気にしたほうがいいのかもしれないが、正直そんなことを考えている余裕はなかった。目の前に肉がある。食べる。それだけでいいじゃないか。


「うわぁっ……!」


口の中に味が広がる。調理済みの馬刺しを食っているような感じで、ちゃんと味付けがしてあった。これには驚いた。だって、塩が効いてて旨いんだもん。

しばらく肉を食べ続け、腹を満たす。ここまで旨いと現実世界よりいいかも、とか一瞬思ってしまう。一つを食べ終えるまでには時間がかかったが、一つでお腹は完璧に膨れた。夜までは何も食べなくて大丈夫だろう。


「それにしても……」


このステージ。敵のLv設定は一体どうなってやがんだ? 明らかに俺よりLvが高い敵が一杯いるじゃねぇか。さっきの牛もそうだし、あたり一体は同じような強さのモンスターで固められているはずだ。

本当に抜け出すことなんかできるんだろうか?


「いや、成せばなる、だ。最初から諦めてたら何も始まらないじゃないか」


ポジティブ、そうだ。ポジティブに考えよう。Lv上げに最適な場所が見つかったと。そう考えれば少しは気が楽に……


「……なるわけないだろ……はぁっ」


そっと、溜息をつく。精神的に疲れた。少し休んで、そこからまた探索に行くか……

キャンプには幸いにも体力ゲージ回復用のベッドのような物がある。快適とはいえないが、無いよりマシだ。俺はそこに横になり、先ほど負った傷を癒したのだった。

魔法には様々な特徴をつけていく予定です。


もしかしたら皆さんに光魔法の案を募集するかもしれませんので、その時はお願いしたいです。


かっこいいのを考えておきたいですね。

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