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『Weapon・Infinity・Online』  作者: 三日月
《Prologue》
2/19

◆2◇

説明的文章が多いので、大変かもしれません。

誤字脱字、意見などがありましたらご報告お願いします。


評価もしていただければこれからの方針も決まりますので、ありがたいです。

俺の名前は朝井あさい 直弥なおや。ゲーム会社の研究員を父に持つ、俺自身は超一般的な高校一年生だ。親の職業を考えると、『超』は抜けて、『一般的』な高校一年生になるが。


体格は173cm、体重は61kg。女顔をコンプレックスに持つ。体重は高校生にしては少ない方かもしれない。


所属はバスケ部、次期キャプテン候補として名を馳せていた。しかし半年前に靭帯の断裂をしてしまい、それをキッカケに退部、父さんの開発しているゲームの虜となった。怪我が治ってからは少しずつバスケの練習をしていて、最初とはほぼ変わらない体力を取り戻している。


しかしまだゲームを続けていたい願望が強く、復帰はしていない。


今回は父さんのチームが作り上げた新しいシステム「PVSパーフェクトバーチャルシステム」についての試験プレイをしてくれとのことだそうだ。新システムなのであまり表沙汰にもできず、テストプレイヤーを誰にしようか考えている時に、開発主任である父さんの息子、俺に白羽の矢が立った。


研究員たちは機械的な目でしかこの「PVS」を見ることができないそうなので、一般の人の意見が欲しいのだとか。


「……脳波安定。ネット接続環境良好。行動パターンはオールグリーンです」


俺は昨日父さんに渡された地図を辿って、この場所まで来た。父さんの息子だとわかると、あれよあれよのうちに準備が行われ、気づけば既によくわからない機械に取り付けられていた。


俺は近くにいる父さんに話しかけた。緊張をほぐすために、この行動は重要だろう。


「……父さん。とりあえず聞くけど、本当に絶対大丈夫だよね?」


「いやー? まだ成功してないからわからん」


マジすかー? 緊張をほぐすどころか、別の恐怖が浮上してきたんだが……でも、自分でもうやるって言ってしまったし、ここまで来たら怖気づいていられない。ドンと来い、だ。


「最終項目です。本人の意思確認が必要となっていますが……主任、よろしいですか?」


「あー、そっか。直弥、やめたいなら今のうちだぞ。どうする?」


「へっ? ……あー」


父さんは本当はやりたくないのだが……的な目でこちらを見てくる。


さっき決心したばかりなのに、そんなことを今更ながら言われては決心も鈍る。どうしたものかと考えていると、父さんが今までの流れをすべてぶち壊すかのようにこう言った。


「もういいや。時間もあまり無いし、さっさとやっちゃって」


「はい、了解しました」


「えっ!?」


父さんの合図を機に、機械の稼働音が大きく耳に響いた。えっ? マジで始まっちゃうの? 俺の意思表示って最初から必要なかったわけ? だったら最初から機械動かしとけやこらぁっ!?


心の中で思い切り罵声を浴びせる。しかしそれはすぐにできなくなった。


「うおっ!?」


「あ、やっぱり痛いのか……」


身体一直線に電流が流れたような感覚に陥った。いや、もしくは流れたのかもしれない。というか、やっぱりって言ったということは痛いのを覚悟で俺にやらせたってことか!? なんなんだこの父親!


もの凄い激痛の後に、父さんがこう付け足した。


「先に言っておくが直弥。向こうに行くまでは気を失うから、着いたあとはマニュアルをしっかりと読んでおけよ。いいな?」


「ま、マニュアル……?」


「そ。着けばすぐに指示も入るから、パニックを起こさないようにしておけよ? それじゃあ、『PVS』の世界を楽しんで来い!」


「う、う、うあぁぁぁっ!!」


そこで俺の意識は途切れたのだった。


★☆★☆★


「……………………」


俺は気づくと、先ほどのような機械まみれのような空間ではなく、何もない真っ白な空間、一言で表現するなら、『無』の空間にいた。


「ここは……?」


さっきとは違う現実味がない世界に、俺は衝撃を覚えた。


ここは一体何処なんだろうか。確か、俺は父さんに新製品の実験を手伝ってほしいみたいなことを言われて……それから機械に繋がれて……そして今に至るわけか。よし、大体の状況は理解できた。


「あんのクソ野郎……! 痛いなら痛いって先に言っておけよ! ビックリしただろうがぁああっ!」


誰もいないのをいいことに所構わず絶叫する。うおぉー……


~五分後~


叫び終えて少し落ち着いた俺は床に座った。それにしても真っ白だ。


「最新のバーチャルを試すっていうから来たのに、何にもないじゃないか……」


そう。実験の説明では、新しいバーチャルシステムの試験運転って言っていたのに、辺りには何もない。この場で何を試せというのだ。


「あーあ。折角楽しそうだと思ったから来たのに、今回はハズレかなぁ?」


前回もこういったことがあって、その時もこんな感じの真っ白な空間だった。だから今回もハズレかな、とか考えていると、最後に父さんが言っていたことを思い出した。


「ん? そういえばマニュアルがどうとか……?」


よくよく考えてみると、真っ白な中に一つだけ立体な感じで盛り上がっている部分があった。もしかして、これのことだろうか? そう考えてその部分に触ってみると、


ヴォン


突如として大きなディスプレイが出現した。そこにはこの装置の様々な情報が詰め込まれているようにも見えた。


「……なるほど、マニュアルっつーのはこれのことか」


ディスプレイには少し業界用語などのものも書いてあったが、右端にヘルプと書かれたボックスを発見した。恐らくここに操作などの方法が書かれているに違いない。


「よし、見てみるか……」


俺はディスプレイの中にあるヘルプの部分をタッチした。


「うわぁっ……!」


思わず、感嘆の声が漏れる。何もしないでもヘルプの中の情報が頭の中に流れ込んでくる。これは凄い……これなら説明書要らずじゃないか。


「また凄いもん作りやがったな、あの野郎……!」


適当な親だとは思うが、ここまで凄いものを作られると関心の一言しか出てこない。ヘルプの内容は大体頭に入ったので、気になっていたものを出そうかな?


「んじゃ、早速……」


その動作をしようと頭に浮かべるだけで、身体が勝手に動く。ポーズまで勝手に……って、これは余計なオプションだろ!? 恥ずかしいからやめたいんだけど!?


そんな俺の恥ずかしさとは裏腹に、身体と口は勝手に動く。まぁいい。これで父さんと喋れるはずだ。


「三次元通信回路、発信!」


当たり一帯に聞こえるくらいの大声を出すと、先ほどとは別のディスプレイが目の前に出てきた。その画面は少しの間は砂嵐だったが、数えられるような時間のうちにさっきの機械まみれの父さんの研究所ラボが出てきた。


「――――お、早かったな。まだお前が気を失ってから数秒も経っていないのに」


案の定、その画面に出てきたのは僕の父親だった。その顔を見るに、実験は成功だったようだ。画面の奥に俺の身体も見える。でも、自分を自分で見るというのは少し気持ちが悪いな。鏡で見るのとはまた違った感じだ。

しかし、不可解な点が一つある。


「数秒ってどゆこと?」


俺はこの空間に着いてから確実に数十分は過ごしているはずだ。なのに向こうではまだ数秒も経っていない。この矛盾は何なのだろう?


「ああ、多分お前のいる世界と、こっちの世界では時間の進み方が違うんだろう。光や電波は一秒間に何万キロメートルと進むからな。その中にお前がいるのなら、そのくらいの時間が経ってもこっちじゃ数秒にも満たない時間なんだ。今お前が俺と会話するために出したディスプレイは、その流れをこっちの時間に合わせて放出できるようにしたものなんだ」


なるほど、そういうことなら納得だな。道理で実際の時間と異なると思ったよ。ならこの空間で何をどれだけしても、今の時間に影響を及ぼさないわけか。それは凄いな。


「ところで、今のところ身体に変化はないか? ないなら少しだけフィールドを作ろうと思うんだが」


「うん、大丈夫みたいだ。でも一言だけ言わせてくれ」


「ん? なんだ?」


「痛いなら最初から言えやゴラァァァァ!!」


キーン……


どうやら向こうのスピーカーがハウリングを起こすほど俺はでかい声で叫んだようだ。周りの研究員の人たちもビックリしてる。父さんは案外普通だったけど。


「……まぁ、過ぎたことは仕方がない。謝るからフィールドを作ってもいいか?」


笑顔で返される。くそっ……怒る気が失せちまったぞ。しょうがねぇな……


「……帰りに焼肉。それで許してやる」


「了解。それじゃ行くぞ……!」


この後様々な実験を行い、機械の調子を確認していった。


こうして無事にネット世界への介入を成功させた俺は、しばらくいろいろなことをした後、元の身体に戻って今日を終えた。後日、父さんに話を聞くとその日はとてもよいデータが取れたそうで、これからもっと実験を重ねて販売レベルまでに至るような物を作るようだ。多分、最初の電撃の痛みとかの軽減などだろう。


かなり時間がかかるだろうが、今からその完成品がとても楽しみだ。


☆★☆★☆


俺の試験運転を行ってからはや1年。俺ももう高校二年生になった。


運転から二ヶ月、初期段階の『PVS』が発表された。初期の値段設定が庶民の手に届くものではなく、買うのは富裕層などの人が集中していた。


そのまた二ヵ月後、『PVS』の改良版が発表された。今度のものは円高のおかげで原材料が安く入手することができたらしく、一般的な家庭でも手が届く範囲になってきた。


そしてそこから六ヶ月の間は他のゲーム企業によるソフトの発表がまるで戦争のように行われた。この機を逃すまいと発表した企業のソフトはどれも会心作が多く、金が大きく動いて市場が潤う形となった。


そこからまた二ヶ月が経ち、最後の『PVS』が発表された。その発明に伴って『PVS』専用の通信回線が新たに作られ、今まで起こっていた通信障害は皆無となった。企業もこの開発が最後だと知り、ソフトの作製に力を注ぎ込もうとしたが、それは叶わなかった。

なぜなら、『PVS』の開発チームの主任である俺の父さんが自社以外でのソフトでは起動できないように『PVS』を改良したからだ。


その代わりに、父さんのチームはかなり前の段階から温めていたゲーム、『WIOウェポン・インフィニティ・オンライン』を発売したのだ。これはネットやバーチャル、すべてを融合させた最高傑作なのだとか。


ちなみに専用のネット回線は午後7時に開く予定で、この時間帯にこのゲームのプレイヤーが一斉に『PVS』を起動させるそうだ。それは全世界で同時に10万人くらいがその回線を使用することを意味していた。


さらに、このソフトが発売された日は俺の誕生日だった。きっと、父さんなりに俺の誕生日プレゼントを考えていてくれたのだろう。今も入手困難な『WIO』を一つ、俺はもらった。だから今日の午後七時の回線が開く時間に、俺もやってみようと思う。


父さんたちが考えたゲームだ。きっと壮大な物なのだろう。


午後7時まで、待ちきれない。

次の投稿予約は17日の0時です。

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