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『Weapon・Infinity・Online』  作者: 三日月
《Event1》
19/19

◇19◆

ちゃんとした女性キャラの登場です! ここまでが長かった……!


誤字脱字、その他意見や感想などがありましたらご報告よろしくお願いします。

俺に声をかけてくれたお姉さんはどうやら武具を作れる類のプレイヤーだったようで、料金と素材を提示してくれれば防具や武器、アクセサリーを作ってくれる超絶やっっっっさしい人だった。


「にしても、本当に助かりましたよー……」


俺はお姉さんの作業場であり、武具の販売場所である小屋の中に招かれた。中には様々な工具やらなにやらが並んでおり、どれも素人の自分には理解できるような代物はなかった。


「あははっ! だってキミ、さっきから初期装備でうろついてるもんだから、もしかしたらなーって思って。声かけて大正解だったよー」


「…………」


「あれっ? 傷ついちゃった? ゴメンゴメン! 嘘だから!」


お姉さんは明るく微笑むと服の上からつなぎを着始めた。作業に入るのだろうか? どうにも彼女の長髪は作業の邪魔になると思うんだけどなー……


「そーいえばさ、君の腰に差している双手太刀って……」


お姉さんは俺の双手太刀を見て、何か言いたそうにしていた。俺にはどうにもその視線が不愉快に感じてしまい、心にも無いことを言ってしまう。


「……お姉さんも俺が双手太刀だということを馬鹿にするんですか?」


そう言うとお姉さんは慌てて言葉を付け足した。


「あ、いや! 違うのっ! その武器は私が考えたのじゃないっぽいから、どういうのか気になっただけで……!」


「そうなんですか……えっ? 私が考えた?」


それは……どういう……?


「ち、違う違う!! 今のは、わ、私の想像と違うっていうことを言いたかっただけで!!」


お姉さんは俺が聞き返すといきなりオロオロしだした。この様子は明らかに動揺している。まるで何かを隠しているかのように……


「お姉さん、一体何を隠しているんですか?」


俺がさらに問い詰めると、お姉さんは観念したように両手を挙げて降参のポーズを取った。


「う、うぅっ……しょうがないなぁ……これだけは言いたくなかったのに……」


お姉さんはブツブツと独り言を言い始めた後、俺に向かってディスプレイを見せてくれた。ステータス欄にはお姉さんの名前とLvが表示されている……って、これが何か……あ。


「プレイヤースキル《創造の始祖》……? こ、これって五大スキルのヤツじゃ……?」


お姉さんのプレイヤースキルの欄には《創造の始祖》と書かれていた。これは確か俺と同じ五大スキルの一人じゃなかったっけ……?


「あー……バレちゃったなー。また面倒くさいことになるー……」


「お姉さんも俺と同じ始祖系のスキルだったんですね……意外でした」


「そうでしょー……って、え? キミ、今なんて言った?」


「えっ? あっ!? あー……」


言わないほうが良かったのかな? 今のは流れでサラッと言っちゃっただけなんだけど……


「ほら、私も言ったんだからキミも言ってよ?」


「……えーと、じつはかくかくしかじかで……」


まぁ別に言った所で俺が損するわけじゃないからいいか。


こうして、俺は自分のプレイヤースキルを説明する羽目になってしまった。


☆★☆★☆


「――――へー……私と同じ始祖系スキルと会えるなんて思えなかったよ……」


「お姉さんも元開発者側だとは……意外すぎて何も言えないですよ」


お姉さんは細かい武具の設定や、スキルや魔法の考案を一人で行ったゲーマーの一人だそうだ。ちなみに年齢は21歳という若さである。


プレイヤースキルの効果はこの人だけの超超超特殊なもので、ゲーム内の様々な道具を駆使してゲーム内にはない新たな効果を及ぼす武器を作り出すことができるそうだ。


「開発者側とかそんな大したものじゃないわよー。ただ単にこんなスキルとか武器とか防具とかあったらいいなーってのを一杯考えてデータにして、それをゲームにしてくれませんかー? ってお願いしただけなんだから」


「十分凄いと思うんですけど……」


話を聞く限りだと俺の武器は彼女の考案に含まれていなかったようで、初めて見たそうだ。だからさっきも気になって口が滑ってしまったのだろう。ゲーマーって大変だな……


「お姉さんも大変ですねー……」


「あ、お姉さんはやめて? なんかその呼ばれ方は慣れてなくてさ……」


あ、そうなのか。さっきからお姉さんって呼んでたんだけど、嫌だったのか。じゃあなんて呼べばいいんだ? お姉さま? いや、それは流石にふざけすぎだ。


「私の名前はミヤコ。そう呼んでね?」


「ミヤコさんですか。わかりました」


なるほど、そういえばさっきステータス見せてもらったときもミヤコって書いてあったな。よし、そう呼ぶとしよう。


「さんもいらない! “ミヤコ”で大丈夫だからね!」


しかし即座に訂正が入る。な、なんだと……女性を下の名前で呼ぶのには抵抗があるんだが……ええい! この際別にいいか!


「わ、わかりました。み、ミヤコ……」


「それでよろしい! キミの名前は?」


「あ、えと、紅蓮って言います」


「そっか。覚えておくね、同胞の紅蓮よ!」


ど、同胞って……テンション高すぎだろ。俺はそんな重たい関係にまで持っていくつもりはなかったんだけど……まぁいいか。防具も作ってもらえるみたいだし。


「そんじゃ、そろそろ商談と行きましょうか!」


「あ」


「ん? どうかしたの?」


そういえば俺お金、持ってないんだった。どうしよう……


……ま、何とかなるか! いざとなったら身体を売ろう! 嘘だけど!


「お願いします!」


「んじゃ決まりだね! 机の上に片っ端から素材出していって!」


テキパキと指示を出されてその通りにしていく。蛇の皮やらイノシシの牙に蝶の羽根だったり……流石に全部出してみるとかなりの数があるなー、うん壮観だわ。


その様子を見ていたミヤコは段々と目を丸くしていった。


「キミ……初期装備の癖にかなりの熟練者だったりする?」


「へ? いや、そんなことは無いと思いますけど……」


確かにLvは少しばかり高いと思うけど、それでも上位陣のプレイヤーと比べたらまだまだだと……


「この素材は私でも見たこと無いのばっかりなのよ……? それは「そんなこと無い」ですってぇ~?」


あ、やべ。ミヤコの目の色が変わった。なんかスイッチ入ってるぞ。


「どこでゲットしたのよ!?」


「ぐるぇっ!? (首がしまるぅぅぅぅ!)」


不意打ちで全く反応ができなかった。


ミヤコは俺の襟首をグイと掴んで持ち上げた。なんて怪力だろう。この人も相当Lvが高いんじゃないか? さっきも苦労したなぁとかボソボソ言ってたし。


「さぁ吐け! 吐けば許してやる!」


「ハ、ハジマリの森の……崖の下……」


俺は素直に場所を白状した。白状したというのもおかしな話だが、なんか細かいことを考えていると意識とか全部持っていかれそうなので白状ということにしておこう。


「本当かなぁ?」


「ほ、本当ですから……下ろして……」


このままだと呼吸困難で死ぬ……HPゲージが減ってないから死ぬかどうかはわからないけど。


「しょうがないなぁ……ほらっ」


「プハァッ!? ……はぁっ、はぁっ、はぁーっ……」


俺の襟首から手が離れる。そして俺はそれと同時に落下した。命の危機から脱した俺は大きく息を吸い込む。この人……俺のこと殺す気か!?


「むー……こんなにあると、パーフェクトなのを作りたいよねー……」


ダメだ。話を聞くどころじゃない。素材に目がいっちゃってる。やっぱり武具を考えてただけあってそういう物には目がないのだろうか?


「あの「邪魔しないで!」は、はい……」


俺の素材なのに……俺への扱いが酷すぎじゃないのか?


ミヤコは俺のことなんかいないも同然に作業を進めていく。職人って怖えぇ……


「よし! 素材の性質はわかったから作ろうかな! あ、そうだった……」


ミヤコは何かを思い出したかのようにディスプレイを開いた。俺がその行動に疑問符を浮かべると、ミヤコは笑顔でこう言ってきた。


「フレンド登録、しとこっか?」


「え? 本当ですか?」


これでクラウン以外に初めてフレンドを登録したことになる。いやー、長い間人と接していなかったのに、いきなりこんな嬉しい出来事があるなんて、人生やっぱり捨てたモンじゃないな!


「やっぱり勲章の《幸運》って、意味あるのかも……」


「ん? なぁに?」


「あ、いや! なんでも!」


はぐらかすように急いでミヤコとフレンド登録する。ディスプレイには先ほどまでクラウンしかいなかったが、その下にはミヤコと表示されるようになった。やっぱ嬉しいなぁ……


「それじゃ明日の10時くらいにはできると思うから、できたら連絡するね」


「わかりました!」


ミヤコの話によると、防具やら武器やらはどんなに熟知していても作るのには半日はかかるようで、しかも今回は知らない素材で作るらしいので一日はかかってしまうのだとか。大変だな、生産側って。


なにはともあれ、これで明日の決闘は万全の状態で挑めそうだ。


俺は上機嫌で小屋を後にしたのだった。


★☆★☆★


宿に戻ってきてから俺はあることを思い出していた。俺は受付から部屋の鍵を受け取り、階段を上る。


「そういえば、猫はどうなったかな?」


そう、今朝天井から落下してきた猫である。


今朝は残ってた回復薬やら何やらで半分くらいまでは回復させたが、まだ動けるほど回復はしてないはずだ。


部屋には何故か包帯とかがあったので一番傷が深い腕に巻いておいたが、あのくらいの応急処置で大丈夫だったのか今更になって不安になる。


鍵を鍵穴に挿し込み、回す。ガチャリという音と共にドアを開くと、そこには先ほどの黒猫の姿が……


「あれ? いないな……」


部屋を見回しても、猫の姿はなかった。ベッドの上でまだ寝てると思っていたが……もうどこかに旅立っちゃったかな?


「猫って気まぐれだもんなぁ……ん?」


そんなことを考えながら部屋に入ると、隣にあるシャワーの部屋で水音が聞こえてきた。


あれ? ちゃんと栓閉めてきたはずなんだけどな……


そう思ってシャワーの部屋の扉を開けた。するとそこには――――


「…………ん?」


「は?」


黒髪の女の子が、シャワーを浴びていた。


「「…………」」


シャァァァァァァ…………


しばしの沈黙が訪れる。聞こえてくるのはシャワーの水音だけ。


今この現状を把握するかのように互いに顔を見合わせる。そして状況の理解ができたのか、その沈黙を打ち破るかのように黒髪少女が大声を上げた。


「にゃぁぁぁぁぁっっ!!?!?!」


「うわぁぁぁぁぁっっ!!?!?!」


俺もこれにはパニックだ。


なななななななんで!? なんで俺の部屋で女の子がシャワーを浴びてるの!? どうして!? なんで!? 教えて神様ぁぁぁぁぁぁあ!!


と、そんな具合で俺が錯乱していると、女の子の方からアクションを起こしてくれた。


「この……バカぁあぁっっ!!!」


「がふっ!?」


アクションといっても、強烈な右ストレートだったが。


世界を目指せるその右ストレートは俺の顔面に直撃し、脳を揺らした。軽い脳震盪のうしんとうを起こした俺はそのまま意識を刈り取られ、床に倒れ伏せたのだった。


なんで、こんな目に……

最後に出てきた黒髪少女は後々紹介します。お楽しみに。


それにしても、バトルシーンが欲しくなってきましたね……

次々回くらいにはいけますかね?


今章から色々キャラが増えていくと思いますが、これからも応援よろしくお願いします!

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