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『Weapon・Infinity・Online』  作者: 三日月
《Event1》
16/19

◆16◇

一週間ぶりくらいの投稿です。

きっとこれからはこのくらいのペースになると思うので、よろしくお願いします。

俺は人に馬鹿にされたまま黙っていられるほど、生易しい人間ではない。


「やっちまえーっ!!」


「「「おぉぉぉぉっっ!」」」


しかし、武器を抜いたからといって直接的に相手をねじ伏せるのには時間がかかる。受付時間までそんなに時間も無いし、ここはやはり太刀で行くべきではないな。


一度抜いた太刀を再び腰に差し、迫り来る不良たちを見据える。


「コイツ武器しまいやがったぞ!」


「よっぽど殺して欲しいんだなぁ?」


「お望みどおり殺ってやらぁ!」


声を荒げて襲い掛かってくる不良たち。武器が無いから攻撃できないと思っていたのだろう。なんという浅はかな考えなんだ。


俺はそんな様子に物怖じもせず、溜息一つ吐いて、


「《降魔ごうまの門/Devil's Gate》」


魔法を発動させた。


フィン!


「がっ!?」


「ぐえっ!?」


「ふがっ!?」


飛び掛ってきた不良たちは発動した魔方陣に足を捕られ、そのまま別の魔方陣によって押さえつけられた。一番これが手っ取り早かったんだよね。


「ぐぁぁぁああっ!!」


「こ、コイツ……魔法が使えたのか!?」


「初期装備だから絶対に弱いと思ってたのに……! しかもこの技はアニキの……!」


強烈な痛みと圧迫感に声を張り上げて叫ぶ不良たち。いやー……まさかモンスター以外に使うことになるとは思って無かったよ。というかこのままだとコイツらのHPが無くなる……


これだとどっちが悪者だったのかわからないな……


流石に悪者になるのはマズイと思い、不良たちに声をかける。


「えーっと……やめて欲しい? 嫌ならここでPKになっちゃうんだけど……」


先ほどまでは威勢の良かった不良たちもこれには本当に命の危機を感じたのか、口々にこういってきた。


「お、お願いしますぅぅぅう!!」


「本っっっ当にすいませんしたぁぁ!!」


「もう二度としませぇぇぇん!!」


最低だ。さっきまで女の子に酷いことしようとしてたヤツらとは到底思えん。マジかよ……コイツらプライドってもんが無いのか? 俺なら絶対にこんなこと言わないぞ。


「《エンド》」


とりあえず魔法を終了させる言葉を唱える。戦闘時には相手を倒さなきゃいけないのが普通だから、今回使うのは初めてだ。


そして魔方陣が消え、不良たちは自由の身となった。すると、


『この人でなし!』


『お前なんか最低だーっ!』


『覚えてろよっ!!』


『あ、ちょっと待ってくれお前らぁ~!』


それぞれ捨て台詞を吐き、どこかに消えてしまった。弱っ!?


あまりにも事態の収束が早すぎた所為か、なんだか物足りないような気がする。


「何だったんだよ一体……」


ボソッと愚痴のようなものをこぼす。やっぱりLvの差がありすぎたのだろうか? 全くと言っていいほど手応えが無い。


つまらなかったなー、と心の奥底で考えていると、


「あ、あの……?」


「へ?」


不意に声をかけられた。思わず間抜けた声が出る。


誰だろうと思って後ろを振り向くと、それは先ほど襲われていた女の子だった。薄暗くて顔は良く見えないが、恐らく整った顔立ちをしていると思われる。


あぁ、そうだった。不良たちに夢中で気がつかなかったよ。


「あの……その……」


女の子は少し怯えたような口調で俺に話しかけてくる。まぁさっきまであんな目に遭ってたんだ。そりゃ怯えていてもおかしくはない。状況を察してこちらから話しかける。


「あ、そういえば大丈夫だった? 怪我とかしてない?」


「へっ!? い、いやその……大丈夫、です……」


「そうか。なら良かったよ」


どうやら怪我はしてないようだ。こんな女の子を拉致しようとするなんて……なんてヤツらだ。


まぁ何はともあれ女の子は助かったんだし、これで万事解決……?


「あれ?」


「?」


俺の頭の中で何かが引っかかった。その様子を見ていた女の子もハテナを浮かべる。あれ? 待てよー……?


何か大事なことを…………あっ!?


「受付!?」


そういえばまだ受付に行ってない!? 急いでディスプレイを確認し、時刻を確認する。


「5時58分!? 後2分しか無いじゃんか!?」


あんな不良たちに何故貴重な時間を割いてしまったのだろう。ここから受付までは本当にギリギリだ。今すぐダッシュで向かうしかない!


「えっと…あの…」


女の子が俺に話しかけてきたが今はそれどころではない。急いで行かなければ!


「ゴメン! 今急いでるんだ! また今度なー!」


「えっ!? あ―――!」


唖然とする女の子を取り残し、物凄い速さで走り出す。間に合うか……?


…………


「――――あ、危なかった……」


受付会場に着いたときは残り時間30秒も無かったが、ギリギリセーフで受付を終えることができた。なんとも危ない所だったよ。うん、ホントに。


「にしても……」


今日はやっとゆっくりできる時間ができた。今まではキャンプでの硬いベッドで首が痛くなるほど寝ていたが、今日は何と宿のフカフカベッドで寝ることができる。


「現代って最高だなぁー…」


俺は部屋に備え付けにされているシャワーでここ二ヶ月間の汚れという汚れを洗い落としていた。いや、ゲーム内でそういった衛生面を気にする必要はあまり無いんだけど、やっぱり風呂のある生活に慣れちゃったら一日でも入らないと気分が悪くなる。それが二ヶ月も続けば大変だ。


「あぁーサッパリしたー!!」


風呂場から出た瞬間思わず叫んでしまう。


あの時は川での水浴びが精一杯だったから、今こうやってシャワーを浴びていることに疑問を覚えちゃうよ。え? こんな立派なもの使っていいんですか? みたいに。


「うーん……ベッドも最高ぉー!」


俺はそのままベッドに倒れ込んだ。フカフカの感触がなんとも心地良い。そうしてしばらくベッドの感触を楽しんでいると、今までの疲れがここで一気にあふれ出したのか不意に睡魔に襲われた。


「…………ぐぅ」


まぁ今日は頑張ったし、早めに寝てもいいだろう。明日にはイベントの説明会みたいなのもあるし、起きれなかったらそれこそダメだ。


俺は意識を闇に沈め、そのまま眠りについた。


☆★☆★☆


ここはとある宿の一室。


一般の人間には手が届かないほどの装飾品がずらりと並んでいるその部屋には、先ほど少女を攫おうとした不良たちと、もう一人上等な服を着た若い男がいた。


男は不良たちより若い風貌をしており、どことなく幼いような雰囲気も醸し出している。自慢の黒い長髪をいじりながら相対するその姿は、部屋にいる不良たちとはかなり不釣合いな感じだ。


「――――んで? なんの収穫も無しにノコノコ戻ってきた、と……」


しかし男は不良たちより若いにもかかわらず堂々としており、上から目線でこう言う。その声には力が篭っており、どこか威圧的な物を感じさせた。


「じゃ、邪魔が入ったんすよ!?」


「そ、そうなんです! メチャクチャ強いヤツが!?」


「俺らのLvじゃ太刀打ちできねーような物凄いのが!?」


不良たちは口々に言う。その行為自体が男は癇に障ったようで、椅子を蹴り倒しながら音量を考えずに叫び散らした。


「うるせぇ! ミスはミスだろうがぁっ!」


迫力のあるその声にはスキルの《威圧》が発動しており、不良たちに一切の動きを許そうとはしなかった。不良たちは男の行動を固唾を呑んで見守る。


「邪魔に入ったヤツの特徴はなんだぁ……?」


ドスの利いた声が部屋に響く。


「ぶ、武器が双手太刀のようでした……」


「あぁ? そんな雑魚武器にテメェら負けたのか? どうしてだ?」


この返答には男も驚いたようで、不良たちにさらなる質問をぶつけた。


「ま、魔法がヤツの攻撃の主流だったようで……アニキと同じ《降魔の門》を使って俺らを……」


「そうかぁ……そいつぁ面白ぇ。まさか双手太刀の癖に俺と同じ魔法が使えるなんてな……」


男はククク、と不敵に笑う。その姿は不良たちには不気味に映ったようで、青かった顔をさらに青くした。


「けどよぉ……いいか? 邪魔が入ろうがお前らが死のうが、俺があの女をここに連れて来いと言ったら連れて来い。それができねぇなら………今この場でぶった斬ってやる」


気が付くと、男はいつ抜いたかもわからない自分の身長ほどある長剣を構えて言った。男は本気でこの不良たちを殺しかねないくらいの威圧的なオーラを放っている。たとえそれがスキルによるものだったとしても、それは不良たちになんとも言えない恐怖を感じさせた。


「返事はどうしたぁ!!」


「「「や、やらせてください黒羽くろばねのアニキ!!」」」


その反応に満足したのか男は蹴飛ばした椅子に座りなおし、踏ん反り返った。


「でも次お前らが失敗したら……俺が直々に行ってやる。覚悟しろよ?」


「…………」


男は最後に不良たちにそう言った後、テーブルの上に置いてあったグラスの水を飲み干した。

キャラの設定をいろいろとまとめておかないとそのうち誰が誰だかわからなくなりそうだな……


誤字脱字、その他意見感想評価がありましたらご報告よろしくお願いします!

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