#6
扉を開けて、私はこの世界に来て初めて後悔しました。
ぷんぷんするんだもん。
フラグの建つ匂いが・・・。
仕方がないので、すたすた歩いていきました。
「ようこそ。【漆黒の乙女】よ。」
・・・。
もうやだ。
えーっと、簡単に説明すると
私が今いる部屋には王様と王子様(×3)がいるわけで、
しかもみなさんハイパーイケメンなわけ。
よくある乙女ゲーム的な展開。
むしろこの世界はもう乙ゲーじゃん。
やだ。
登場人物Aでもなんでもいいからギャルゲーがよかった。
でも来ちゃったもんはしゃーないし、適当に挨拶でもしておこうか。
「はじめまして。私は【漆黒の乙女】です。
【漆黒の乙女】って呼ばれるのは大嫌いです。
名前は篠原未依。苗字が篠原で、名前が未依です。
ミィって呼んでください。
異世界から来た善良な一般市民ですので、マナーとかそういうのはまったく持ってしりません。
どうぞよろしくおねがいします。」
さぁどうだぁ!
ここまで冷たく適当にあしらえばフラグは建たないだろう!
悪いな。
だって家に私の嫁たちがいっぱい待っててくれてるんだもの。
てめぇらみたいな現実にお付き合いしている暇はないんだぜ!
すると王様がお腹を抱えて笑い出した。
「ミィ殿は面白い方じゃのう・・・。」
ちょ。なんだよ。
「わらわには全て聞こえておるのじゃよ。」
はぁ?なんだよこのクソジ・・・。
おっといけない。丸聞こえだった!
「わらわはこのコキノスの国の王。
アーサー=コキノスだ。
ほれ子供達。汝らも挨拶しろ。」
アーサーっていうと某英雄を思い出すなぁ・・・。
つかよくわかんねー。
とりあえずこのひげもじゃが王様で。
「たしかにこのひげはちと邪魔なのじゃよ。」
まだ聞こえてるのかよ!
でもこのじーちゃん個人的に好きだわ。
「私はエドワードと申します。
曲がりなりにもこの国の第一王子を務めております。」
うわっ。
なにこのザ・イケメン(百均っぽいな)。
かっこよく言うと物静かで知的?かしこそーな人だ。
物腰が柔らかい。
あわれもない言い方をすると、流されやすそうな優男ですねわかります。
「っくく・・・。」
じーちゃんにはダダ漏れっぽいよね。
なにも言わないけど。むしろ笑ってるけど。
「俺はアレックスだ。第二王子。
騎士団の隊長をやってる。腕っ節はこの国で一番だぜ?」
うわー。
ドン引き。
熱血そーで松岡修造みたい。
これでゴリマッチョだったら多分吐いてたな。
まだ細マッチョでよかったね。
でも、この人たぶんお腹真っ黒だよ。いろんな女の人を弄んでそう。
「・・・。レンバルト。第三王子。」
それだけ。
この王子様、相当無口みたい。
でもこの王子様のなかで一番好印象だよ。
「ミィ殿よ。よくぞわが国に参った。」
いやー。ただこの国に落とされてきただけですよ?
「そなたはなかなか、いや。かなり面白いのう。
わが子たちを初対面であれだけ罵ったのはそなただけじゃぞ。」
いらんこと言うなよクソジジイ。
「わらわもすこしは精霊と対話できる故、ぬしが異世界から参ったことはしっておるぞ。
身が固まるまでこの城にいたまえ。」
「ありがとうございます。」
私は素直に頭を下げた。
「まてまて。そなたがわらわに頭を下げることなどない。
おぬしは【漆黒の乙女】であり、【導く者】でもあるのだぞ?
わらわがこの国の統治者なら、おぬしはこの世界の統治者にもなりえる。
おぬしはこのせかいの誰よりも立場が上なのじゃよ。
そうだ、レンバルト。
おぬしはどうせ暇じゃろう?
ミィ殿にこの世界について教えてさしあげろ。
ミィ殿。遠慮なくこいつを使ってよいぞ。
それから―ぬしの使い魔―たしかイオリといったな?
そのものにもよろしく頼むぞ。」
それだけ言うとじーちゃんは出て行きました。
これで心置きなく脳内プレイ(※ただしギャルゲーに限る)ができるぜ。
名前適当ですみません。
ちなみにコキノスというのはギリシャ語で赤という意味です。