#12
「ぁ・・・?」
私はまたまた倒れてしまって、
どうやらまたまた皆が心配してくれているみたいです。
いつもの私が復活したのと同時に、
三本柱のなんたら~ってやつも甦って…。
ここまでは私の頭の中の状況確認。
そこで、そこでここにいてはいけない人がいた。
ここにいるはずのない人。
現実の世界の住人が。
「・・・は?」
そこには、こちらを睨んでいる某義弟と、
気まずそうに目を伏せている某幼馴染がいました。
「ミィ様、この方たちは・・・その、
ミィ様の知人だと言い張っていまして・・・。」
メイドさんAが言い終わる前に、義弟君が動きだしました。
「すみません、俺たちは姉ちゃんと積もる話があるので、
しばらく退席願います。
ね、姉貴?」
私はこくこくと頷くしかありませんでした。
それを見て、不安そうに使用人さんたちは出て行きました。
(そりゃ、さっきと同じパターンですから)
「ますたー、ぼく・・・。」
イオもこちらを見ています。
「大丈夫。なんかあったら、呼ぶから。」
そして、私たち以外の全員が部屋を出て行ったところで、
義弟君がはぁ、とため息。
「姉ちゃん、なんで言わなかったの。」
「なっ、なにを?」
私はついビビッて声が裏返ってしまいました。
だって、哉斗は、面影はあるけれど、
なんか前よりも成長してるんです、全体的に。
細マッチョになってるww
「なにをって、わかってるだろ。」
「どうしてこの世界にいるのかって?そりゃ、こっちがききた・・・。」
「ちげーよ!」
私はがんばってはぐらかそうとしましたが、
途中でさえぎられてしまいました。
「姉ちゃん、なんで言ってくれないわけ?
不登校だって。引きこもりだって。
姉ちゃん食事と風呂以外全部ネットしてんじゃん。
学校も行かずに。
んで俺にも、父さんにも義母さんにも嘘ついてさぁ。
なんでだよ―ッ。」
哉斗は、私のことなのに悲しそうで、つらそうで、苦しそうで
何より悔しそうだった。
普通なら、ここで『ごめんねっ、かなくん・・・。』
みたいな展開になるのであろう。
しかし私は究極に卑屈なんだよ、哉斗。
だから今の私の中には苛立ち。
怒りが爆発しそうだった。
「そんなに俺のこと信用できないのかよッ!!!!」
その一言にプッツンと、私の堪忍袋の緒が切れたよ。
「・・・ぇんじゃねぇ・・・。
ふざけんじゃねぇよ、哉斗。
信用?
してんに決まってんでしょうが!
私たちは血がつながってなくても家族なんだよ。
なんで言ってくれなかった?
言えるわけないじゃん。
あんたたち、それしったら間違いなくそのこたちシバくでしょ。
女の子にてぇあげるなんて、サイテーよ。
んなこと身内にさせられるわけがないでしょ。
それくらい考えなよ。
なんのためにその頭がついてるわけ??
なんのためのチートなわけよ?」
私の剣幕に押されたのか、哉斗はしょぼんとしていた。
「だからって、姉ちゃんが傷ついていい理由になんてなんねぇだろ。
それにそいつらは姉ちゃんにありえないことしたんだぜ?
それに、その理由が俺やコイツなら、それは俺の・・・。」
「違うでしょ。
それは『俺たちの責任』とかいったら殺すわよ。
いい。
それだけは言わないで。
いっちゃいけないでしょ。
あんた、失礼だよ。
なに他人の責任背負おうとしてるわけ?
偽善者きどりもいいところよ。
私は好きであんたたちと一緒にいるの。
学校に行け、ううん、行かなくなったのも、
全部私が決めたこと。
これからも、全部私が決める。
私のやること奪わないでよ。
私の十字架、勝手に背負わないで。
これは私が一生もって行くの。
私は乙ゲーの主人公じゃない。
守られるアホで可愛らしい主人公なんか、だいっきらい。
私は強くなる。
もう、逃げないから。」
そして私は自然に微笑むことができた。
久しぶりに、哉斗と、疾風に向かって。
「あんたたちも、逃げんなよ。」
私は、未来の私に宣戦布告をした。