#10
はい。
割と急☆展開です。
すみません・・・。
はい。
気がついたらモフモフのベットの上でした。
そしていろんな人が私の顔を白い顔で覗き込み、
精霊さんたちは私が目覚めた瞬間テンションが上がってました。
「えーっと。」
口をあけた瞬間、
「まっ、ますたーーーー!!!」
・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
抱きつかれました。
泣きつかれました、使い魔に。
あー思い出した。
私は今、異世界トリップしてたんだ。
この間、0.3秒。
「乙女?!」
いろんな使用人っぽい人たちも、喜んでいます。
私は、
私は、唖然としました。
本当に、心の底からびっくりしました。
たった一人の、
こんな無力な小娘の体調に、
これだけたくさんの人たちの心を動かすことに。
こんな私の無事を、
こんなに沢山の人たちが、喜んでくれるなんて。
本当に、これは本当に
「ふざけてますよ。」
声は震えていました。
「ありがとうございます。
体の調子を確かめたいので、
すみません、少しだけ一人にしてください。
精霊さん、あなたたちも。ごめんね。」
そうして、納得したように人々は去っていって、
これが本来あるべき姿なのに、
急に寂しくなって、
心細くなって、
うれしくなって。
涙が溢れてきました。
あーあ。
こんなの【漆黒の乙女】なんかじゃない。
ましてや【世界を導く者】なんてもってのほか。
私は、私は、
ただの【おんなのこ】だった。
そうだ。
私は、私の本質は弱虫。
哀れな【おんなのこ】。
報われない【いじめられっこ】。
私なんかが、こんないろんなひとの心を動かしていいわけがない。
あぁ。
いまさら分かった。
私は強くて守られた、乙女ゲームの主人公なんかになれない。
弱いけどハーレムエンドを築けるような、ギャルゲの主人公なんかにはなれない。
だったら、
ダッタラ、ワタシハ、ワタシハモウ・・・。
逃ゲルシカ、ナインジャナイカ。
こんなの、こんなの反則だ。
だって私は、ただの女の子なのに。
「ばかみたい。」
そう。舞い上がってた自分が馬鹿だった。
私のこんな卑屈な性格はまだ消えてくれないし、
私はこの世界にきてまでも弱虫で、
人類最強の力を手に入れても、
私はまだ【弱い】ままだ。
涙が溢れてきた。
おいおい自分急展開ワロタって、つっこみたいくらいに、
私の心は高速で弱っていく。
あーあ。
本当に馬鹿だ。
「もう、いいや。」
私はそういって、前の世界から逃げた。
別次元に逃げ込んで、
楽ちんな世界に居座っていた。
きっと、それを繰り返す。
でも、でも私は―。
「また、繰り返すの?」
もう一人の私に問われたら、
私はどうする?
「そんなの、やだな。」
それが本音、か。
たぶん、これが本音。
逃げたくない。
立ち向かいたい。
向き合いたい。
そう、私は
強くなりたい。
そう思えるくらいにはなった。
「よいしょ。」
すこしばばくさい掛け声とともに、
私は立ち上がった。
あとほんの少し。
強くなろう。
だったらあと少しだけ、
前を向こう。
それでいい。
そして、ちょっとずつ、
ちょっとずつ、
【それ】に気づかせてくれたこの世界に、
恩返しをしていこう。
たぶん、それでいいんだ。
『やっと目覚めたか。』
そのとき、私の内側から声がした。
「・・・はぁ?」
おまえ、だれやねん。
『我は三本柱を助く者。
再び我が眠りから覚めたということは、
三本柱が現れたことのしるし。』
「はぁ。」
なんだろうこれ。
設定的には、主人公に的確なアドバイスをくれる近所のお姉さんでいいの??
『我は三本柱を助け、力を保管する者。
いまからお主に【導く者】の力を解放しよう。』
そういって、私の内側から真っ白な光が現れて、
私はまたまた気絶してしまった。
あー。
やっちゃった。