#1
異世界トリップ―。
まぁよくある乙女ゲームの展開ですねわかります。
っていう感想くらいしか持てない駄目人間。
それが私、篠原未依だったりします。
でもね、全国の乙女ゲームのユーザー様
ごめんなさい。
乙女ゲームの魅力がわかりません。
絶対にギャルゲーの方がいいと思うんだ。
18禁でもいいんだよ。
ぜったいに切れ長の男の人の絵よりも萌え絵の方がすきなんだ。
だからこそ謝っておきます。
こんな自分が異世界トリップしてごめんなさい。
☆☆☆☆★
まずは、ことの経緯を話そうではないか。
それは入浴中でした。
明日発売のギャルゲーのことを考えてハァハァしてました。
そしたら、なんとまぁ気絶してました。
ここからは乙女ゲームちっくかな。
天使だか神様っぽい人に聞かれました。
「助けてください。」
なんでですか。つかなにをですか。
「私は、この世界とは違う【異世界】の神です。
神は、直接世界に干渉することは出来ないのです。
だから、お願いです。
私の世界を助けてください。」
なにを言ってるんですかこの人は。
どこの厨二ですか。
「では、貴方を強制的に飛ばします。
貴方は今日から【導く者】です。」
なにこの人。
どこまでも人の話を聞かないおっさんですね。
せめて萌えキャラの姿で登場しろよ。
そんなことを考えていたら、
ぱちんっ!
意識を失っていました。
☆☆☆★☆
「ここどこ?」
はい。
意識が戻りました。
なんですか。フツーはもう少し前ふりがあるでしょうね。
つか自分はさっきまで風呂に入ってましたのに、
髪もかわいてて、ローブっぽいもの着てて、なんですかどこの中世魔導使みたいな服は。
「みんな、にんげんさんがいるよー。」
あらあら、なんだかかわいらしい声が聞こえます。
「ほんとだー。」
「しっこくのおとめだー。」
ちょっとまてや。
なんだ【しっこくのおとめ】って。
「えっと・・・。」
私は呆然とするしかありませんでした。
だって小人みたいな半透明なひと(?)達がたくさんいらっしゃるよ。
さすが異世界!
まじでぷりちー。
「皆!漆黒の乙女が怖がっていますよ。
落ち着きなさい。
始めまして、漆黒の乙女。
私は【始祖精霊】の一人、空間の精霊です。」
「はい。はじめまして?」
なんか空間の精霊さんがお辞儀をされましたよ?
「貴方は、まだ何も知らないのでしょう。
あのヘボ神め。ったく適当に飛ばしやがって。人をなんだと思ってんだ!?」
空間の精霊さん。貴方とは気が合いそうですよ。
「私達は、精霊―。
この世界では神以上に尊い存在とされています。
精霊は存在するすべてのものに宿ります。
そして貴方は【漆黒の乙女】。
私たちを司る、精霊にとっては【神】同等の存在。」
「はっ?」
そのとき私の口は大きく開いていたことでしょうね。
異世界にきて早々、神様よりも強い存在から、【神】っていわれました。
「えーっと。人違い、ですよね?」
「いいえ。
私たちの姿は神官以外の一般人は見えませんし、貴方のその黒髪と黒い瞳はこの世界ではありえません。
つまり、漆黒は特別ー。
漆黒の乙女だけが、私たちを駆使して戦えます。
その魔法を【夢魔法】というのです。」
なんですかとりあえず異世界ってこんなに厨二くさいんですか?
「まぁ簡潔に言えば、
貴方はヘボ神に選ばれてこの世界にトリップして、さらに【漆黒の乙女】という精霊を司る役割を与えられました。
あなたはその力―【夢魔法】―を駆使して、この世界を救わなければなりません。
その3本柱、
【導く者】、【繋げる者】、【伝える者】の一つとして。」
「えーっと、辞退は?」
「無理です♪」
ですよねー。
長々と説明ありがとうございました、空間の精霊さん。
「全ての元凶は、あの神様にあるんですよね?」
「はい♪」
・・・次あったらボコル。
「はぁ。」
とりあえずさけんでいいですか?
「異世界トリップしちゃったよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」