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ロドニア再建記 2__お転婆姫と無自覚な専属騎士  作者: AKIRA


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4 騎士の溜息(ワーク・バランス)

 レティシア王女との散歩……一般には(何だよ?そのつまらない理由は?)と思われるかもしれない。

あれは「いかにして、自分の安らぎの時間を確保し無駄なエネルギー消耗を避けるか」というユージンにとっての生存戦略(サバイバー)そのものであった。


「……勘弁してくれ」と心底疲れた顔で時計を見る彼の姿が、目に浮かぶはずだ。


(……俺の自由時間は、この王宮で一番貴重な資源なんだ。お転婆を怒らせて、その後の不機嫌な小言と八つ当たりで数時間を浪費するくらいなら散歩に付き合う方がまだマシ……いや、効率がいい)


普通の騎士なら、姫を護らねばならない立ち位置……だがレティシア王女は『取扱い注意の爆弾』として細心の注意を払って扱わなければならないのであった。


最近の『やらかし』はというと……そうそう、『ユージンの黄金の檻』の話だ。


ある晴れた日の午後。王室の離宮で開かれたお茶会の席でのことだ。

レティシア王女は友人たちを前に、扇子を優雅に揺らしながら、まるで新しい宝石や調度品を披露するかのように、ユージンのことを語り始めた。


「……そうなのよ。我が家のユージンは本当に優秀でね、他の騎士たちとは比べ物にならないわ。わたくしが『あそこへ行って』と言えば無言で従うし、重い荷物も武器も、文句ひとつ言わずに何でも持ってくれるの。いかがかしら?……貴方たちの騎士とは比べ物にならないほど『使い勝手』が良いのよ?」


その会話の端々にに混ざる「使い勝手が良い」「まるで家具ね」という無自覚な言葉たち。

たまたま物陰で控えていたユージンはその会話を耳にして深いため息をついた。心の中で何かが切れた。


(……ああ、そうかい。この女、本気で俺を人間だと思ってないんだな。ただの『最高性能のアクセサリー』として、自慢の種にしているだけだ)


その日の夜、ユージンは淡々と、しかし怒りを通り越して冷めきった足取りで自室へ戻り、荷造りを始めた。


「……やってられっか。こんな『所有物自慢』の看板で人生を終える気はない。明日一番で辞表を出し、実家へ帰ってやる」


しかし、荷造りを終えたユージンが王宮の廊下に出た時、レティシアが目の前に嬉しそうに立っていた。


「……え?」

「……あら、ユージン……サプライズのつもりだったのだけど、バレてたみたいね……その荷物を持って、ついて来てちょうだい」

「……はい?」


廊下の突き当り、レティシア王女の私室のすぐ隣にある、王族専用の客間(だった場所)……そこには華美な調度品とユージン専用の真新しい重厚な執務デスクが……一通り揃えられていた。


レティシアの背後には、オーギュスト王の影……あの『古ダヌキ』がこちらの顔色をこっそりうかがっている。


(……クソッ!! あんの古ダヌキ野郎……やっぱり俺の言ったとおりに帰れないじゃんかっ!……こんな豪華な改装、一晩でできるはずがない……俺がいつか辞表を出すだろうという事さえ、最初から計画済みだったということなのか……!)


慌てて目を合わさずに、こそこそとその場を離れるオーギュスト王。嬉しそうなレティシア王女。二人の馬鹿親子に『黄金の檻』に入れられたユージンであったのだった。

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