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魔女と使い魔のバタバタな日々  作者: ルナ
戻ってきた日常
35/39

魔女と使い魔は忙しく仕事をする

 スピカ=ルーンとアルト=ハルメリアは、

せっかく二人がそろったというのに

楽しんでばかりもいられなかった。

 仕事がたくさん舞い込んできたのである。

それに、アルトにはメリッサの店での

仕事もあったし、スピカは帰ってすぐに

ドレスの仕立ても始めることにしていたから

その仕事も立て込んでいてとても遊びに

いけるような状況ではなかったのだった。

 たまにリイラも手伝ってはくれたが、

彼女にも仕事はちゃんとあるから

毎日と言う訳にはいかなかった。

 スピカの方は、忙しい日々に

なれてしまっていたので、

大好きな服作りの最中は

得に何も考えずに出来たが、

アルトはスピカと話したり

のんびりしたりもしたいので

ちょっとストレスがたまったのだった――。


 二人が忙しく働きはじめてから

一週間ほどがたったある日。

 かわいらしい水色のローブに

白い小花の刺繍をした涼しげな恰好の

スピカは、今日もちくちくと針を

動かしていた。

 アルトは、メリッサのケーキ屋が

定休日なので、スピカのために

かいがいしく世話をしていた。

 スピカは仕事に没頭すると

寝食を忘れる癖はまだ治っていなかったのだ。

 アルトが仕事に行っている間、昼食も

朝食も取らなかったことが判明し、

スピカは長時間アルトにお説教されたらしい。

「だって、私料理できないし」

「練習してよ!!」

「アルトの料理がいいんだもん」

 このようなやり取りがあり、朝食と

お弁当を作ってからアルトは

これ以降出かけるようにしたのだった。

 スピカが言葉もなくただひたすらに

針を動かしているのがアルトには少しさみしかった。

 チクチクチクチク。

……チクチクチクチク。

 スピカの針を動かす音だけがその場に響く。

やがて、糸を鋏で断ち切るような音がすると、

スピカはふうと息をついて、アルトが入れた

アイスティーになりつつある紅茶を飲みほした。

「……ぬるい」

「スピカが早く飲まないからです!!」

 むぅと頬をふくらまされたので、

アルトもムッとして叫んだ。

 スピカは釈然としないような顔をしながら、

仕上げた服を袋にしまおうとしててこずっていた。

 魔法をたびたび使うせいか、スピカは

あまり器用な方ではない。

「……アルト、入れて」

 仕方ないと言いつつも、アルトは服を袋にしまった。

スピカはぐちゃぐちゃにしていたので、きっちりと

服をたたんでからである。

 それが終わると、スピカはなおも布と糸と針を

取り出して縫おうとしたので、さすがにアルトはその手を取った。

 スピカがパッと赤くなり、手に持っていた作業道具を落としてしまう。

「あ、アルト……!?」

「少し休憩にしようよ。僕、スピカと二人きりで出掛けたいな。

珍しく誰も来ていないし……」

 いつもなら、友人たちが押し掛けたりする時間なのだけれど、

今日は誰もが忙しいのか訪ねては来なかった。

 こんなチャンスはしばらくないかもしれない。

「お弁当作って……あ、メリッサが置いていったケーキもまだあるよ」

「行く!!」

 メリッサのケーキにまだ勝つことができないことを悔しく思いつつも、

彼はスピカの好物を利用して出かけることを承諾させた。

 スピカはとてとてとゆっくり部屋に入ると、しばらくの後に

いつもはツインテールにしている白い髪をほどき、腰のあたりまで垂らしていた。

 それだけのことなのに、アルトには彼女が妙に大人びて美しく見える。

神秘的という言葉は、彼女のためにあるのではないかと心から思った。

 服はアルトが以前褒めた、桜色のかわいらしいローブになっていた。

「アルト、行こう」

「かわいいね、スピカ。よくにあってるよ」

 以前言った言葉を彼女に言うと、からかうなと軽く胸のあたりを叩かれた。

その顔は耳まで真っ赤になって、まるで火を噴きそうなほどだ。

 アルトは少し笑ったけれど、それ以上は何も言わずに

たくさんの料理を詰め込んだお弁当のバスケットを持ち直した。

 和やかな二人きりの時間が過ぎて行く。

アルト達は何もしなくても、ただ座って見つめ合うだけで幸せだった。

 バスケットも開けられ、色とりどりのサンドイッチや、焼いて

辛めのソースをつけた鶏肉、水筒に入れた温かいスープなどを

二人は笑顔で平らげた。アルトは食後のデザートはチョコケーキ一個しか

食べなかったけれど、スピカはアルトが持ってきた全てのケーキを

一人で食べてしまい幸せそうな顔だった。

「スピカ、キスしてもいい?」

「いちいち、聞かないで」

 食べ終わった後、アルトは彼女の白い手を取りながら耳元で囁いた。

スピカはそっけなく返しながら恥ずかしそうにうつむく。

 しかし、拒絶はしなかったので、アルトは彼女の背に手を回し、

彼女を自分の方に引き寄せた。

 さらに恥ずかしがって目をそらすのがかわいらしい。

アルトは彼女の桜色に染まった唇に自分の唇を重ねると、

深い深い久しぶりのキスをした――。


 長らく甘いお話を書いていなかったので、

最後の方だけ少し甘くしてみました。

 スピカとアルトの日常のお話です。

少し執筆が遅れましたが、絶対に

完結させますので。

 最後まで見捨てないでやってください。

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