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魔女と使い魔のバタバタな日々  作者: ルナ
戻ってきた日常
34/39

魔女と使い魔は日常を満喫する

 スピカ=ルーンは目覚めた時、一瞬どこにいるのかが

分からなかった。覗き込んでくるのは、使い魔の

アルト=ハルメリアの青い目だった。

 びっくりして飛び起きる。

ガッ、と頭が彼の顎を捕えたため、悲鳴を上げた

アルトがごろごろとその場に転がってのたうちまわっていた。

「……ううううううっ!!」

「ご、ごめんアルト大丈夫!?」

 アルトはすぐに笑顔になったが、その目には涙が

たまってたままだった。かなり痛かったようだ。

 スピカはひらりとベッドから飛び降りると、魔法を

使って塗り薬を召喚した。

 久しぶりに魔法を使ったので、ある種の

解放感に彼女はホッとする。

「動かないでね」

「いたっ!! いたたたいたいっ!!」

「騒がないの。男の子でしょう?」

「……それ、元凶のあなたに言われたくないんだけど」

 そう言われたスピカはアルトに目をあわさずにスルーした。

アルトが半泣きになるがそのことには触れなかったいう。

 手当てが終わると、アルトは湿布をあてられた位置を

さすりながらスピカに食事を出してくれた。

 今日のメニューは、野菜がたっぷりと入ったスープ、

焼き立てふわふわのパンがたくさん、カリカリに焼いたベーコン、

舌触りのいいスクランブルエッグ、ポテトサラダに蜂蜜まであった。

 デザートには、もちろん『占い喫茶・カッサンドラ』のケーキ

全品がずらずらと並んでいた。昨日メリッサ=ウォーカーが

サービスだと言っておいていったのである。

 アルトのおかげで大食漢ではないものの、それなりに

食べられるようになっていたスピカは黙々と食べ始めた。

 砂糖を入れたミルクをテーブルに置きながら、アルトは

喜んで食べている彼女をほほえましそうに見ている。

「いつか、メリッサに勝てるかな……」

「アルト、何か言った?」

「えっ!? う、ううん何でもないよ」

 一瞬悲しげな顔をしたのをめざとくスピカに見つけられたアルトは、

ごまかすためにスピカにミルクを差し出した。

 いぶかしそうな目で見てくるけれど、アルトは食堂を出て行った。

洗濯や掃除はまだしなくてもいいので、そう言って逃げることも

できなかったのである。仕方なく、アルトはリリアとオリオンに

食事を出すことにした。自分の食事は後だ。

 子供っぽい嫉妬を彼女に知られたくなかったのだった。

彼女はそれを聞いたら赤くなって、それから笑うだろう。

 でも、朝から笑われているのにこれ以上笑われたくなかった。

ともかくも、アルトはようやく戻ってきた日常に喜びを

感じていた。今日からはスピカ達と一緒にまた過ごせるのだ。

 騒がしくも楽しい毎日が待っているのだ。

その時だった――。

『おっはようううううっ!!』

「うわあっ!!」

 昨日別れたばかりだというのに、仲間達が

集結していたのだ。レティかエトワールに

連れてこられたらしい人物がそっぽ向いていたけれど。

(ちょっとは遠慮してほしいんだけど……)

 アルトは思わずそう思ってしまったが、口には出さなかった。

言っても無駄だからである。

 彼らが今更従うとも思えなかった。

「……すみませでしたね。彼らが無理に押しかけて」

 イリアスがため息交じりに言った。

気を使っているのは彼だけのようだ。

 エトワールは気づいていても気を使わなそうだが。

「皆、いらっしゃい」

 スピカが走り出てきたので、アルトは彼らに

帰ってもらうことができなかったという。

 今日もスピカはリイラにもらった星の髪飾りを

つけている。いつか、彼女に自分も髪飾りを

プレゼントしたらつけてくれるかな、とアルトは思った。

 騒がしい事この上ないけれど、今はそれでもいいかと思う。

スピカも、リイラも、エトワールも、メリッサも。

 イリアスさえもいるこの空間が、騒がしい日常が

ようやく帰って来たのだから――。


二か月も投稿してなくてすみません。

ネタを探しまくって少しずつ書いていました。

これからの予定は、日常編を数話書いたら

また少しシリアスを入れる予定です。

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