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魔女と使い魔のバタバタな日々  作者: ルナ
逃走する魔女
28/39

友人は店を守る

 リイラ=コルラッジは男たちに睨みつけていた。

だが、彼らは意に介さずにまだ居座って捜索を

続けている。すぐに帰れ、と思ったが、もう

魔女も使い魔もいない。

 安堵しながら椅子に座っていた。

「いたぞ!! 魔法生物だ!!」

 リイラの顔から血の気が引いた。

今現在、魔女と使い魔は確かにいない。

 だが、リイラはここにドラゴンがいることを失念していた。

「オリオン逃げて!!」

 悲鳴のような声を上げるリイラをあざ笑うかのように、

男たちは首をかしげながら空中に浮くオリオンに銃口を向けていた。

「駄目えええええええっ!!」

 響くのは銃声。リイラは体から力が抜け、へたへたと座り込んで

しまった。オリオンはぴくりとも動かない。

「ああああああああ!!」

 悲鳴を上げるリイラには一切構わず、男たちは文句を言いながら

店を出て行った。

「殺しちまったようだな。まあいいんじゃねえか?

 魔女や使い魔よりは料金も安いしな」

「ちっ。それでも少しは金になったぜ?」

「分かったよ。次は殺さねえって……」

 リイラは叫ぶ力も立ち上がる気力も起きないまま、

うつろな目でオリオンを見つめていた。

 かなりの時間が経った頃に、ようやく店に

誰かがやってきた。

「メリッサ、ちゃんと食べてるか~。

差し入れ持って来てやったうわああっ!!」

 最後の叫び声は、倒れた龍の子供と

リイラの姿が目に入ったからだった。

「エト……ワール……」

 エトワールは明らかに狼狽ろうばいしていた。

何を言っていいか、また、何をやってもいいか

分からないのだろう。

「死んじゃった……この子、死んじゃったよ……」

 エトワールは悲痛な声を聞き、かがみこんで

オリオンに触れた。と、カッと目を見開いた

ドラゴンの子供が彼の手にかみついた。

「いいってええええええっ!!」

「オリオン、生きてたのね!!」

「こっちの心配もしてくれよ……」

 慌ててエトワールはオリオンをひっつかみ、

牙を手から放させた。

 じっとりと血がにじんでいるが、

リイラはまったく気に掛けずに

オリオンを抱きしめていた。

 仕方なく、自分で包帯を巻いて止血している。

「……で、あんた何でここにいるんだ?

 スピカやリイラはどこにいるんだ?」

「あなた、魔女狩りのこと知らないの!?」

「魔女狩り!? 俺は何も聞いていないぜ」

 リイラは首をかしげながらも、何も言わずに

オリオンの様子を見た。ただの拳銃だったのが

良かったのだろう、軽傷ですんだようだった。

 聖水だったら、こんなに小さいのだから

ひょっとしたら本当に死んでいたのかもしれない。

「よかった、本当によかった……」

 オリオンは警戒するようにエトワールに

唸り声を発していた。リイラはそれをとがめるように

軽く頭を叩き、お茶の準備をするために彼に背を向けた。

 オリオンはさらに大きく唸り、リイラは困惑しながらも

放っておく。エトワールはにっこりと笑うと、

きらりと光るものを取り出し、それをリイラの背後

に向けて近づけ、彼女は一切気配には気づかず、

オリオンが唸る声と、リイラがかちゃかちゃと

カップを探す音だけがその場に響くのだったーー。

最近シリアスなシーンが多くなってきました。

ほのぼの系なのを楽しみにしていた方は

すみません。もう少ししたら

単調に戻ります。

何故かリイラを狙うエトワール。

彼の目的は!?

次回もよろしくお願いします。

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