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転生龍覚者と導きの紋章 〜始原の森から始まる英雄譚〜  作者: シェルフィールド
2章:星脈の鍛冶師と亡国の姫君 〜始原の森に集う新たな絆〜

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第31話:レンの治政と温泉掘削

「はぁ……はぁ……。くそっ、体が……鉛みてえだ……」


その日、村の西側で進められている新たな農地開墾の現場で、ボルグが地面に膝をつき、荒い息を吐いた。彼の顔色は悪く、その体は見るからに疲労困憊している。彼の周りでは、他の自警団の若者たちも、汗と泥にまみれ、その動きは明らかに精彩を欠いていた。


「おい、ボルグ! 無理するな、少し休め!」


副隊長の任にすっかり板がついたカイルが駆け寄り、彼の肩を叩く。カイル自身も、額に汗を滲ませ、その体には疲労の色が隠せない。


開墾作業、防壁の増強、リーフ村から受け入れた避難民のための住居建設、そして日々の防衛任務と訓練……。エルム村の住民たちは、休む間もなく続く重労働に、肉体的にも、そして精神的にも限界を迎えつつあったのだ。


「すまねえ、カイル……。だが、やらねえと……もっと村が豊かになるために、少しでも畑を広げねえと……」


「頑張りすぎだ。気持ちは分かるが、倒れちまったら元も子もねえだろ!」


俺は、二人のやり取りを少し離れた場所から見守りながら、眉間に深い皺を刻んでいた。

防衛隊長として、そしてこの村の事実上の盟主として、俺は村の発展計画を主導してきた。その結果、村は豊かになり、安全になった。だが、その過程で、住民一人ひとりにかかる負担を、俺は見過ごしていたのかもしれない。


「レンさん……」


俺の元へ、ティアーナが心配そうな顔でやってきた。


「開墾作業に従事している者たちの疲労が、かなり蓄積しているようです。このままでは、怪我人が続出しかねません。それに……」


彼女は言葉を選びながら、別の懸念を口にした。


「村の人口が急激に増えたことで、衛生環境の悪化も懸念されます。特に、共同の洗い場は常に混雑しており、十分な清潔を保つのが難しくなってきています」


「うん……私も、気になってたんだ」


ティアーナの話を聞いていたアリシアも、深刻な顔で頷く。


「最近、肌の調子が悪かったり、ちょっとした体調不良を訴える人が増えてきた気がするの。薬草で対応はしてるけど、根本的な解決にはなってない……」


疲労と、衛生環境の悪化。この二つは密接に関係している。体力が落ちれば免疫力も下がり、病気にかかりやすくなる。一度、村の中で本格的な病が流行すれば、その被害は計り知れない。


(技術や食料だけじゃない……。村の発展には、そこに住む人々の健康と、そして心の余裕……士気の維持が不可欠だ……)


俺はこの世界の常識に囚われず、前世の記憶を頼りに、様々な問題を解決してきた。今回も、何か手があるはずだ。疲労を癒し、体を清潔に保ち、そして……皆が心からリラックスできるような何か。


「……そうだ。あれがあるじゃないか……!」


俺の脳裏に、前世の記憶が鮮明に蘇った。仕事で疲れ果てた体を湯船に沈めた時の、あの極上の解放感。湯気の中で仲間たちと語らい、心身ともにリフレッシュした、あの時間。


「レン? どうかしたの?」


俺が突然、何かを閃いたように顔を上げたのを見て、アリシアが不思議そうに尋ねる。


「……皆、少し手を止めて、俺の話を聞いてくれ!」


俺は作業中の仲間たちを集め、そして、村の中心へと戻り、ゴードンさんにも声をかけた。皆が訝しげな顔で俺を見つめる中、俺は一つの提案を切り出した。


「皆の疲労を癒し、さらに衛生環境を劇的に向上させるために、温かい湯に浸かる特別な場所――『温泉施設』を、この村に作りたい!」


俺の言葉に、その場にいた全員が、きょとんとした顔で固まった。



◇◇◇



「……えーっと、レン? 温かい湯に、浸かる……?」


カイルが、全く意味が分からないといった顔で首を傾げた。彼の頭の中では、「水浴び」と「熱い湯」が全く結びついていないのだろう。


「そうだ。ただ体を洗うための水浴びじゃない。体の芯まで温まる、熱い湯が満めされた大きな湯船に、ゆっくりと浸かるんだ。そうすることで、筋肉の疲れが和らぎ、血の巡りが良くなって、心身ともにリラックスできる。前世では、最高の娯楽であり、健康法だったんだ」


「娯楽……? 熱い水に浸かるのがか? それって、鍛冶師の仕事で汗を流すのと、どう違うんだ?」


腕を組んだゴードンさんが、懐疑的な視線を向けてくる。ドワーフである彼にとって、「熱」は仕事の道具であり、わざわざそれに浸かりに行くという発想が理解できないようだ。


アリシアも戸惑いの表情を隠せない。


「いつもの水浴びとは違うの? それに、村人全員が入れるほどの熱いお湯を用意して、それを遠くから運ぶとなると……薪も水も、すごくたくさん必要になるんじゃ……」


「魔力的な効果が期待できる、ということでしょうか?」


ティアーナだけが、少し違った角度から興味を示している。


「いや、ティアーナ。俺が考えているのは、魔力的な効果じゃない。もっと直接的な、物理的な効果だ」


俺は、温泉の効能――温熱効果による血行促進、浮力による筋肉の弛緩、水圧によるマッサージ効果、そして精神的なリラックス効果――について、前世の知識を総動員して詳しく説明した。さらに、体を温めて清潔に保つことが、病気の予防にどれほど重要であるかも力説した。


しかし、具体的なイメージが湧かない彼らには、なかなかその素晴らしさが伝わらない。皆、どこか腑に落ちないといった表情だ。


「まあ、百聞は一見に如かず、だ。とにかく、まずはその『温泉』とやらを掘り当てるところから始めよう。そして、今日は作業は休みにして休暇にしよう。みんな、それぞれ体を休めてくれ。解散!」


俺はそう言うと、カイル、アリシア、ティアーナを連れて、村の近くを散策し、以前から目をつけていた場所へと向かった。



◇◇◇



カイル、アリシア、ティアーナを連れてきた場所は、冬でも雪解けが早く、地面から微かに湯気が立ち上っている、地熱の高いエリアだった。


「レン、本当にこんな場所から湯が湧くのか?」


「ああ、多分な。見てろよ」


俺は地面に手を当て、土魔法を発動させた。硬い地面を慎重に掘削していく。数十メートルほど掘り進めた、その時だった。


ゴポポポッ……!

地面の底から、泡と共に熱い湯が湧き出し始めた。さらに掘り進めると、湯は勢いを増し、やがて熱い湯気を立ち上らせながら、小さな泉となって溢れ出した!


「うおっ! 本当に熱い湯が湧き出てきたぞ!」


カイルが驚きの声を上げる。アリシアが恐る恐る指先を浸してみる。


「わっ、熱い! ちょっと熱すぎる??でも、なんだか気持ちいいかも……」


ティアーナも、その湯を少量すくい上げ、魔道具で成分を分析し始めた。


「……なるほど。匂いからして特殊な鉱物が溶け込んでいるようですね。これが、レンさんの言う効能に関係しているのかもしれません」


「よし、源泉は確保できた。問題は、どうやってこの湯を、温度を下げずに村まで引いてくるか、だな」


俺は、この新たな課題を解決するために、ある人物の力が必要不可欠だと確信していた。



◇◇◇



「なんだ、レン。まだあの『熱い水浴び』の話か。ワシは忙しいんでな、そんな遊びに付き合ってる暇は……」


鍛冶場でハンマーを振るっていたゴードンさんは、俺の再度の来訪に、あからさまに面倒そうな顔をした。


「遊びじゃありませんよ、ゴードンさん。村の未来を左右する、重要なプロジェクトです。それに、これはゴードンさんの職人としての腕がなければ、絶対に実現不可能です」


「ほう、ワシの腕がなければ、と。おだてても無駄じゃぞ」


ゴードンさんは鼻を鳴らすが、その口元は少しだけ緩んでいる。


俺は、彼を口説き落とすための切り札を切った。


「ゴードンさんに作っていただきたいのは、ただの湯船や桶じゃありません。この源泉から村まで、熱をほとんど逃がすことなく、効率的にお湯を運ぶための、『温水配管』です」


「おんすい……はいかん……?」


聞き慣れない言葉に、ゴードンさんの眉がピクリと動いた。


「ええ。金属か、あるいは陶器か……どんな材質が良いか分かりませんが、外気で冷やされず、かつ内部の熱で劣化しない、特殊な管を何百メートルも繋ぎ合わせる必要があります。接合部からの水漏れは許されないし、長年の使用に耐える耐久性も求められる。おそらく、この村で、いや、この森でそんな精密なものを作れるのは、ゴードンさん、あなたしかいない」


俺は、あえて技術的な課題の困難さを強調し、彼の職人としてのプライドを刺激した。


「……熱を逃がさん配管、だと……?」


ゴードンさんの目が、変わった。ハンマーを置き、腕を組み、真剣な思考の海へと沈んでいく。


「……ふむ。二重構造にして、間に真空層か、あるいは熱を伝えにくい性質を持つ鉱石の粉末を詰め込むか……? 接合部は、伸縮を考慮した特殊な継手が必要になるな。材質は……耐熱性と加工性を考えれば、ワシが最近見つけた、あの赤銅鉱と粘土を混ぜ合わせた特殊合金が使えるかもしれん……。いや、待てよ、陶管を内側に入れて、外側を金属で覆う方が……」


完全に、職人のスイッチが入った。俺が口を挟むまでもなく、彼はブツブツと専門的な考察を呟きながら、設計図を描き始める。


「……よし! 面白い! やってやろうじゃないか、レン! その『おんすいはいかん』とやら、ワシの傑作にしてやるわい! ただし、中途半端な仕事は許さんぞ!」


「もちろんです! よろしくお願いします、親方!」


俺がそう言うと、ゴードンさんは満更でもないといった顔で、ニヤリと笑った。


こうして、ドワーフの最高の技術者を味方につけた俺たちの温泉掘削、もとい温泉施設建設プロジェクトが、本格的に始動した。


掘削作業は、俺の土魔法で行うことにより、驚異的なスピードで進められた。今回は、疲労がたまっているであろうボルグたち自警団は休んでいてもらう。


カイルたちは、魔法では動かしにくい巨大な岩盤を、共鳴者としての力を込めて砕いたり、運び出したりする。


そして、プロジェクトの要である温水配管の製作。ゴードンさんの工房は、フル稼働で配管の製造拠点となった。彼が選び抜いた特殊合金を溶解し、鋳型に流し込み、寸分の狂いもなく管を成形していく。その手つきはまさに神業で、俺やティアーナも、ただただ感嘆するしかなかった。


完成した配管を、源泉から村まで敷設していく作業も、また困難を極めた。地形に合わせて角度を調整し、水漏れが絶対に起きないよう、ゴードンさん特製の耐熱パテで接合部を完璧に密閉していく。俺は土魔法で配管を保護する溝を掘り、断熱材を敷き詰めて、それを埋め戻していく。


数日に及ぶ大規模工事。それは、少人数ながら一大事業となった。



◇◇◇



そして、ついにその日は訪れた。

村の西側、少し小高くなった場所に、エルム村初の公衆浴場――【エルムの湯】が、堂々たる姿を現した。


建物は、落ち着いた雰囲気の木造建築。俺が設計し、ゴードンさんが腕によりをかけて建てたものだ。内部は、衛生面とプライバシーに配慮し、男女別に分かれている。脱衣所には清潔な棚と籠が並び、洗い場には、ゴードンさん作の湯・水が出る蛇口と、木製の桶と椅子が完備されている。


そして、その奥にある浴場。湯気を立てる大きな湯船は、ゴードンさんが磨き上げた、滑らかな肌触りの花崗岩で組まれている。壁や天井には、水に強い檜に似た香りの良い木材がふんだんに使われ、湯船の縁から溢れ出した湯が、床の溝を伝って静かに排水されていく。大きな窓からは、外の景色を眺めることもできる。それは、前世の高級旅館の露天風呂を彷彿とさせる、まさに癒しの空間だった。


「……できたな。俺たちの、温泉が」


完成した湯船に、源泉から引かれたばかりの熱い湯が、とうとうと注がれていく光景を見ながら、俺は深い感慨に浸っていた。


隣では、ゴードンさんが、満足げに腕を組んで頷いている。彼の顔には、プロジェクトをやり遂げた職人としての誇りが満ち溢れていた。


「す……すごい……! ここが、レンの言ってた温泉……!」


初めて完成した施設を見たアリシアが、目を輝かせている。


「へえ……。ただの水浴び場じゃねえってのは、確かみたいだな。なんだか、すげえ良い匂いがするぜ」


カイルも、木の香りと湯気の匂いに、感心したように鼻を鳴らした。


「素晴らしい……。機能性だけでなく、人の心を落ち着かせるための設計まで計算されているとは。レンさん、あなたの知識は本当に底が知れませんね」


ティアーナも、その空間デザインに感嘆の声を漏らしている。


「よし、お前たち! 最初の客だ! この温泉の素晴らしさを、その体で味わってもらうぞ!」


俺は、皆に施設の完成を披露した後、まずカイル、アリシア、ティアーナに最初の入浴を体験してもらうことにした。


「え、ええっ!? わ、私たちが最初なんですか!?」


「ちょ、待てレン!今からか!?」


俺はまず、服を着たままの状態で洗い場に皆を集め、温泉の入り方をレクチャーした。


「いいか? まず、この『掛け湯』というのが重要だ。いきなり湯船に入るんじゃなくて、桶で湯を汲んで、体の汚れを軽く洗い流しながら、体を熱さに慣らすんだ。心臓に遠い足元から、ゆっくりとな」


俺が実演してみせると、三人は興味深そうに、そして少し戸惑いながら頷いている。


「それから、湯船の中では騒がない。ここは体を休める場所だからな。……よし、説明はここまでだ。男湯と女湯に分かれて、実際に試してみてくれ。洗い場には体を洗うための布と、アリシアが作ってくれた薬草石鹸も置いてあるから」


俺の言葉に、アリシアとティアーナは顔を赤らめながら女湯へ、俺とカイルは男湯へと、それぞれの暖簾をくぐった。


男湯の脱衣所で服を脱ぎ、洗い場で背中を流し合った後、いよいよ湯船へと向かった。


「うぉっ……! 足を入れただけで、なんかビリビリくるぜ……!」


カイルが、初めての感覚に驚きの声を上げる。


「はは、それがいいんだよ。ゆっくり浸かれ」


俺たちは、ざぶりと肩まで湯に浸かった。瞬間、体中の筋肉が弛緩し、骨の髄まで温もりが染み渡るような感覚に、思わず声が漏れた。


「「はぁ〜〜〜……っ!!」」


「なんだこれ……最高じゃねえか……!」


カイルは、湯船の縁に頭を預け、完全に弛緩しきった表情で天井を仰いだ。


「本当に、体の疲れが……じわーっと溶けていく感じがする……! 肩も腰も、羽みてえに軽いぜ!」


「だろ? これが温泉の力だ。体の芯から温まることで、血の巡りが良くなって、疲労物質が流されるんだ」


「へえー、難しいことは分からんが、とにかくすげえってことだな! お前、本当に変なことばっかり思いつくな。だが、これは最高だ! 村の奴らも絶対喜ぶぜ!」


「ああ。皆に、この癒しを届けたかったんだ」


俺たちはしばらくの間、無言で湯の心地よさを満喫した。木の香りと、微かに硫黄の匂いが混じった湯気が、静かな浴場に満ちている。この穏やかな時間は、戦いと開拓に明け暮れた日々の、何よりの報酬だった。


一方、女湯でも、同じような感動の声が上がっていた。


「きゃっ……! あったかい……! ううん、それだけじゃなくて、なんだろう、この……体がとろけるような心地よさは……!」


アリシアは、うっとりとした表情で、湯の中に体を沈めていく。彼女の黒髪が湯気に濡れ、白い肌がほんのりと上気している。


「すごい……! ティアーナさん、見てください! なんだか、お肌がすべすべになった気がします!」


「ええ、本当ですね」


ティアーナも、普段の冷静な表情を崩し、心からリラックスした様子で湯船の感触を確かめていた。


「この湯に含まれる鉱物の成分が、肌の角質を柔らかくしているのかもしれません。それに、この木の香り……故郷の森にあった、月の泉を思い出します……とても、心が落ち着きますね」


彼女の青い瞳が、湯気の向こうで優しく潤んでいる。


「レンって、本当にすごいよね。開墾のことも、建物のことも、それにこんな素敵な場所まで作っちゃうなんて……」


「はい。彼の発想力と、それを実現させる力には、いつも驚かされます。……彼が、この村の盟主で、本当に良かった」


ティアーナの言葉に、アリシアはこくりと頷き、そして少しだけ頬を染めた。二人の少女は、温かい湯の中で、それぞれの胸にある青年への想いを、静かに温めているようだった。



◇◇◇



俺たちが温泉から上がると、外には噂を聞きつけた村人たちが、期待に満ちた顔で集まっていた。湯上がりで火照った俺たちの、満ち足りた表情を見て、皆の期待は最高潮に達している。


「よし、皆! 準備はいいか! エルムの湯、本日開店だ!」


俺がそう宣言すると、ワッと歓声が上がり、村人たちは我先にと暖簾をくぐっていった。

すぐに、浴場からは老若男女問わず、歓喜と感動の声が絶え間なく響き渡ってきた。


「おおおっ! なんじゃこりゃあ! 天国か!?」


「腰の痛みが和らいだぞ!」


「肌がすべすべになったわ!」


「こりゃあ、毎日でも入りてえなあ!」


懐疑的だったゴードンさんも、俺に促されて湯に浸かると、その頑固な顔を驚きと満足で歪ませた。


「……むう……! これは……いかん……。こんなものを知ってしまっては、もう……仕事にならんではないか……! ……レン、小僧……とんでもないものを、作ってくれたな……!」


彼は、心の底から感嘆し、自身の見識の狭さを恥じるかのように、何度も湯を体にかけながら、その心地よさを満喫していた。


その日の夜、エルム村は、いつもとは違う種類の熱気に包まれていた。温泉から上がった村人たちは、誰もが満ち足りた、晴れやかな表情をしていた。湯上がりの一杯(果実水)を手に、皆で今日の労働の疲れを癒し、明日への活力を語り合う。


温泉は、単に体を清潔にする場所としてだけでなく、人々の心をつなぎ、コミュニティを活性化させる、新たな交流の場となったのだ。


俺は、そんな村人たちの笑顔を見ながら、改めて自分の選択が間違っていなかったことを確信した。


強い国、豊かな村を作るには、強力な武力や、進んだ技術だけでは足りない。そこに住む人々が、心から幸福を感じ、健康で、そして明日への希望を持って暮らせる環境。それこそが、本当の豊かさであり、強さなのだ。


(よし。次は、もっと皆が楽しめるような……娯楽も考えてみるか)


俺は、湯気の向こうに広がる、仲間たちの幸せそうな笑顔を見つめながら、次なる計画に思いを馳せるのだった。エルム村の発展は、まだ始まったばかりだ。


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