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【完結済】伝説の「龍覚者」に覚醒した俺、大切な居場所を守るためなら手段を選ばない 〜始原の森から始まる、現代知識チートによる最強建国記〜  作者: シェルフィールド
4章:帝国大侵攻と龍覚者の反撃 〜裁かれる罪、王女の決断〜

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第130話:グラニット・ベース防衛戦(後編) - 星脈砲、吼える


ズ……ズン……!!


地底の工房を揺るがす、重く、腹の底に響く足音。


森を裂いて現れたのは、絶望そのものだった。


ヴェルガント帝国の超大型魔導兵器『ギガント・ゴーレム』。


全長20メートルを超えるその巨躯は、鉱山の岩盤すら削り取って作られたような、荒々しくも堅牢な装甲に覆われている。


関節部からは高圧の蒸気が噴き出し、胸部には赤々と燃える魔力炉が、心臓のように脈打っていた。


「オォォォォォォッ!!」


ゴーレムが、咆哮のような排気音を上げる。


その丸太のような腕が振り上げられた。


ドゴォォォォォンッ!!


一撃。


たった一撃で、防衛ラインとして築かれていた都市外周のミスリル合金製の壁が、飴細工のようにひしゃげ、粉砕された。


「ぐわぁぁぁっ!?」


破片と共に、前衛のドラグニア兵たちが吹き飛ばされる。


「くそっ……! バケモノかよ!」


バリンが瓦礫に身を隠しながら叫ぶ。


通常のオートマタなら通じたクロスボウの矢も、魔法攻撃も、あの巨体の前では豆鉄砲ですらない。


表面に展開された多重防御結界が、あらゆる攻撃を弾き返しているのだ。


「……あれは、整備したことがねえ」


ドルゴが、震える声で呟いた。


彼の顔からは血の気が失せ、目にはかつてのトラウマ――帝国の圧倒的な力への恐怖が浮かんでいた。


「規格が違いすぎる……! あんな出力の魔力炉、どうやって冷やしてるんだ!? あんな装甲、どうやって動かしてるんだよ……!?」


技術者だからこそ分かってしまう、絶望的な性能差。


帝国の最高技術の結晶。


それが今、自分たちをすり潰そうと迫ってくる。


工房内に、パニックが伝播しかけた。


その時だ。


「ひるむな若造共ッ!!」


ゴードンの一喝が、轟音をかき消すように響き渡った。


老ドワーフは、逃げようともせず、仁王立ちで巨大な敵を睨みつけていた。


「ここを抜かれたらどうなる! この後ろには、首都エルムヘイムがあるんじゃぞ! レンが、民が、ワシらの家族がおるんじゃ!」


「親方……!」


「技術で負けたとて、心まで負けるな! ワシらはエルム公国の職人じゃろうが!! 持ちこたえろ! ティアーナ嬢ちゃんが撃つまで、一歩も通すな!!」


その言葉に、ドルゴがハッと顔を上げた。


そうだ。


自分たちの背後には、巨大な砲身が――希望が鎮座している。


混乱と破壊が支配する戦場の中。


ただ一人、静寂の中にいるかのように冷静な女性がいた。


ティアーナだ。


彼女は、爆風で白衣をはためかせながらも、一歩も退かずに『星脈砲』の制御コンソールに向かっていた。


彼女は耳元のイヤーカフ型に加工された『遠話の魔石』に触れ、呼びかける。


「……レンさん。聞こえていますか?」


『ああ、見えているぞ、ティアーナ』


魔石を通じて、クリアな夫の声が届く。


首都で指揮を執るレンが、その超感覚マッピングと演算能力を共有してくれているのだ。


『敵の構造、解析完了だ。 装甲厚は3メートル。だが、胸部中央の魔力炉……冷却サイクルの瞬間に、防護結界がコンマ数秒だけ薄くなる』


レンからの情報が、ティアーナの手元のモニターに青写真として展開される。


敵の弱点、魔力の流れ、そして狙うべき一点。

全てが見えた。


「ドルゴさん、ゴードンさん! 座標特定しました! 『星脈砲』、起動準備!」


ティアーナの凛とした声が響く。


「充填率120%! 冷却装置リミッター、パージ!」


その指示に、我に返ったドルゴが吼えた。


「おうよ! やってやらぁ!!」


ドルゴがレバーを全力で引き絞る。


ゴードンがハンマーで安全弁を叩き飛ばす。


「魔力バイパス、全開ッ! エルフの術式に、帝国の排熱機構……そしてドワーフの魂を喰らいやがれぇッ!!」


師弟が顔を見合わせ、ニヤリと笑った。


言葉はいらない。


鉄を打ち、技術を語り合った者同士の、阿吽の呼吸。


ブォォォォォン……ッ!!


星脈砲の砲身に刻まれた魔力回路が、眩いばかりの青白色に輝き始める。


周囲の空気が振動し、工房内のマナが渦を巻いて吸い込まれていく。


ゴードンの鍛造技術が作り上げた強靭な砲身。


ティアーナが組み上げた緻密な魔力回路。


そして、ドルゴが帝国の技術を応用して組み込んだ、強制冷却バイパス。


三つの叡智が、今、一つになる。


『……ふん。悪あがきを』


指揮車両の上で、セラフィナが冷笑した。


『ギガント・ゴーレムの装甲は、城壁を超える防御力。 そんな急造の大砲で、貫けるものですか』


ゴーレムが、とどめを刺そうと巨大な拳を振り上げた。


その影が、ティアーナたちを覆い尽くす。


だが、ティアーナは眼鏡の奥の瞳を、強く光らせた。


「……いいえ、貫きます」


彼女は、照準器ごしに敵のコアを見据えた。


「エルム公国の技術を、私たちの絆を……侮らないでいただきましょう!」


魔力が臨界点に達する。


ティアーナは、レンと共に叫んだ。


「――撃てぇぇぇッ!!」


カッ!!!!


世界が、青一色に染まった。


轟音すら置き去りにする、極太の閃光。


それは一本の直線の光となり、空間を焼き焦がしながら疾走した。


ギガント・ゴーレムの防御結界が、紙のように触れた瞬間に消し飛ぶ。


分厚い装甲が、飴のように溶解し、蒸発する。


そして。


光の矢は、吸い込まれるように胸部の魔力炉へと突き刺さり――その背中へと貫通した。


一瞬の静寂。


ズゴォォォォォォォンッ!!!!


ギガント・ゴーレムの内側から、紅蓮の爆炎が噴き出した。


魔力炉の崩壊。


巨体が内側から破裂し、手足が千切れ飛び、溶解した鉄の雨となって降り注ぐ。


その衝撃波は凄まじく、周囲に展開していたオートマタ部隊をも巻き込み、なぎ倒していく。


「きゃぁぁっ!?」


後方の指揮車両にいたセラフィナも、爆風に煽られて吹き飛ばされそうになり、無様に手すりにしがみついた。


彼女の顔には、煤けた汚れと共に、信じられないものを見る驚愕が張り付いていた。


「ありえない……! バカな……!」


彼女は、燃え上がる自身の最高傑作を見つめ、わなわなと唇を震わせた。


「あの出力……あの貫通力……! 私の錬金術を……帝国の科学力を超える技術があるというのですか……!?」


プライド。自信。技術への過信。


それら全てが、あの一撃で粉々に打ち砕かれたのだ。


砲身は反動の高熱で赤熱し、一部は溶解して歪んでしまっている。


(……やはり、ミスリル合金でもこの出力には耐えられませんか)


ティアーナは、撃てなくなった砲身を見ながら、冷静に分析していた。


(でも、データは取れました。 次はオリハルコンの配合比率を変えて……冷却術式を多重展開すれば、連射も可能になるはず……!)


勝利の余韻に浸るよりも先に、彼女の頭脳は既に次の開発へと向かっていた。


まさに、一撃必殺の切り札だった。


「……やったか」


ゴードンが、煤だらけの顔で呟く。


目の前には、残骸となって燃え盛るギガント・ゴーレムと、機能を停止したオートマタの山。


「……へっ。ざまあみろ」


ドルゴが、へたり込みながらも、快哉を叫んだ。


「見たかよ、帝国! これが俺たちの『傑作』だ!」


「おぉぉぉぉぉッ!!」


工房の隅で耐えていたドラグニア兵や職人たちが、一斉に歓声を上げ、勝利の拳を突き上げる。


技術的敗北。


そして、戦力的壊滅。


セラフィナは、ギリと歯ぎしりをすると、燃え盛る戦場を背に、屈辱に顔を歪めたまま指示を出した。


「……撤退です! この借りは……必ず返しますわよ!」


逃げるように去っていく“紅の錬金術師”。


グラニット・ベースの工房に、勝利の凱歌が高らかに響き渡った。

「面白かった」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後はどうなるの?」


と思ったら、


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面白かったら☆5つ、つまらなかったら☆1つ、正直に感じた気持ちで勿論、大丈夫です!

皆さんの応援が、本当に作品を書く、モチベーションに繋がります。


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何卒よろしくお願いいたします!

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