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CHERRY─彼女が狩人になった理由─  作者: 彩心
第二章 二学期

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第32話 止まらないざわめき

 「は? 嘘だろ?」

 

 俺の鼓動が早くなる。


 「本当だよ。これ見て」


 1人の女子がそう言って俺にスマホを見せてきた。


 確かに動画の女性は、パッと見た感じ音瀬に見えた。


 でも、違う……。


 これは音瀬じゃない。


 なんだろ……雰囲気?


 そもそも童貞としかしないと音瀬は言っていた。


 童貞にこんな動画撮る余裕なんてあるかよ。


 俺なら絶対無理だと断言できる。


 「これ音瀬じゃない」


 俺はキッパリと否定した。


 「は? 何言ってんの? どう見ても音瀬さんじゃん」


 「音瀬さんが好きだからかばってるとか?」


 「くだらない……それ、音瀬本人は認めてんのかよ?」


 「音瀬さんは違うって言ってたけど、認めたくないだけしょ?」


 「それに音瀬さんて男好きじゃん。こんな動画が出てくるのも当たり前じゃない?」


 そう言って女子達は顔を見合わせて笑った。


 「……うるせーな、また好き勝手言いやがってよ」


 「え?」


 「俺からしたら、こんな動画見て笑ってるお前らの方がよっぽど気持ち悪いよ」


 「はぁ!?」


 「藤真君、何言ってんの!?」


 「証拠もないのに勝手に決めつけて、面白がって動画を広めるなんて……お前ら全員人として終わってんな」


 「ちょっと! 音瀬さん庇うにしても言い過ぎだよ!」


 「別にお前らにどう思われようが、俺はどうでもいい」


 俺は冷たい視線を向けると、女子達は気まずそうに視線を落とすと黙りこんだ。


 「おいおいおい、それ俺達にも言ってんのかよ?」


 「藤真ー、女相手にイキってんなよ」


 話を聞いていたのか、クラスメイトの男子達もそう言いながら、俺の方にやって来た。


 面倒くさいなぁー、さっさと音瀬を追いかけたいのに。


 「だったら何だよ。本当の事だろ?」


 「お前は信じたくないから、そう思うだけだろ? 動画はどう見ても音瀬さんだろ」


 「お前が音瀬さんの何を知ってんだよ。逆に何でお前はこれが音瀬さんじゃないって言い切れるんだ?」


 「……なんとなく雰囲気が違う」


 「なんとなく!? それだけ!?」


 「言葉では説明できないけど……でも、違うんだよ!」


 「ハハハハ『勘』だってよ!」


 「何だよそれ。お前なんかが音瀬さんに相手されるわけないんだから、庇った所で無駄だぞ」


 男子達は笑い続けている。


 何でだよ……何で誰も信じないんだよ!


 音瀬はこんな空気の中、ずっと我慢してたのか?


 いつからだ?


 いつからこんな風になってたんだ?


 俺は手のひらに爪が食い込むぐらい、きつく拳を握りしめた。


 「……そんなに面白いかよ」


 「俺達はなぁ、別にそれが本物か偽物かなんてどうでもいいんだよ。オナニーネタになれば何でもな」


 「男子達最低ー」


 「うるせー! 女子には分かんねーんだよ!」


 女子と男子達で言い合いを始めたので、俺は溜め息をついた。


 「どっちも最低だよ」


 俺はそれだけ言うと、音瀬を探しに教室を出た。


 「おい、待て! 逃げんのかよ!」


 「これだから根暗君は。喧嘩できねーなら、黙ってろよ!」


 背中にかけられる言葉を俺は無視して、足を早めた。


 あんな奴等に構っている暇なんてない。


 それより音瀬だ。


 あいつ、どこ行った?


 また中庭かな?


 俺は中庭に向かいながら、朝の音瀬の事を思い出していた。


 1人で居る音瀬なんて珍しいと思ったんだ。


 それに動画の事も気にしてたのに、俺……何にも分かってなくて、自分の事ばっかり考えて……。


 音瀬は自分が大変な状況なのに、それを隠して俺の心配なんかしてさ……バカだよ、ほんと。


 教室の前で音瀬の手震えてたじゃん。


 あれ、教室入るのが怖かったんじゃねーのかよ?


 なんで気づかなかったんだよ!


 俺は走った。


 息を切らして中庭に着くが、音瀬はいない。


 どこに居るんだ?


 また1人で泣いてねーよな?


 泣き顔をすぐに隠そうとする音瀬の顔が浮かんだ。


 「クソッ」


 俺はいら立つまま壁を叩いた。


 その時、朝に言われた事を思い出した。


 『屋上から見てたの』


 「屋上……」


 俺は上を見上げた。


 特に人がいるようには見えないけど、一度行ってみるか。


 他に音瀬が行きそうな場所も思いつかないし。


 俺はまた走った。

  


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