寝ぼけたフェリシア
翌日、また雪が積もった。昨日のリベンジで何かクリエイト魔法で作ろう。
でも、何を作ろうか?小さいもので複雑ではないもの。う〜ん?雪……雪だるまだ!雪だるまを作ろう!簡単だし、クリエイト魔法で作って練習にもなるだろう。
それでは着替えて。
「ママー!外で遊んでくる!」
「暖かくしたー?」
「したよー!いってきまーす!」
家の横に来た。雪の中に昨日の雪兎の残骸があると思うと複雑だ。
気分を切り替えて。魔力を身体に巡らせて。
「クリエイト魔法!雪だるま!」
手のひらほどの小さな雪だるまが出来た。丸が2個乗ってるだけなので、帽子とか腕とかも作りたいな。
「クリエイト魔法、雪だるま!」
う〜ん、なんかよくわからんもんが出来たぞ。次はもっとイメージして。
「クリエイト魔法、雪だるま!」
おお!いいんじゃない!?ちゃんと雪だるまに見える!小さいけど。この調子。この調子。
「クリエイト魔法、雪だるま!クリエイト魔法、雪だるま!」
いい感じ!どんどん練習するぞー!
MPを使い切ったし、満足、満足。石を何個か頂戴して家に帰って昼寝するぞー。
「ただいまー」
「あら、おかえり。楽しかった?」
「うん!楽しかったよ!今からお昼寝するね」
「そう。アンリも一緒にお昼寝させてあげてくれる?」
「いいよー。一緒に寝る」
着膨れした服を脱いで、布団を敷く。
「アンリー。お昼寝だよー。ねーねと寝ようね」
積み木で遊んでいたアンリがぽてぽてと歩いてくる。
私に倒れ込むように抱きついてきたので、何とか潰されずに、アンリを布団に横にさせる。
「ねーね。寝かしつけしてくれる?」
「いいよ、ふーちゃんも?」
「うん、私も寝る」
ねーねが頭を撫でてくれたら、子守りが発動してアンリも私も夢の中。おやすみ。ぐぅ。
昨日に続いてまた、ママの叫び声がした。私は嫌な予感に目を覚そうとするが、身体に力が入らない。まだ、寝てたい。
「フェリ、フェーリ、起きなさい。また雪で何か作ったね?」
「ゔー、ゔー、ぱぁぱぁ?」
「そうだよ。パパだよ。ママがおかんむりだ。起きなさい」
半分寝ぼけながらパパが着替えさせてくれる。だんだんと目が覚めてきた。
パパに抱っこされて、外に出る。
「ゔー、さむいよぅ」
「フェリシア!小さい中年おじさんばかり作ってどうしたの!?昨日の今日で」
「ちがうも、ゆきだうまだも」
「また違うものでおじさんを作ったのね!フェリには造形美がないの!?」
雪だるまが、中年のおじさんになっている。不名誉な称号までいただいた。ママ怒りすぎ。
「まあ、まあ、子供のした事だし、驚いたんだろうけど大目にみてやりなさい」
「いいえ、今から美的感覚を鍛えないとフェリシアが大人になった時に困るわ。フェリシアいい加減起きなさい!」
「おきてるも」
「パパに抱っこされて目が閉じてるわ。寝てるわよ」
「おきてるも!」
むむう、目よ開け!眩しいよぅ。パパあったかいよぅ。むぅ、寝てると言われるのは不名誉だ。私は起きている。
「パパ、おりる」
「え、大丈夫か?まだふらつくんじゃないか?」
「おきてるも」
「そうか、おろすぞ」
ちょっとふらついたが、私は起きてるから大丈夫だ。
「さぁ、フェリ、この始末はどうつけるの?」
「しまつ?」
やばい、まだ寝惚けている声だ。始末はつけようがない。そのままでいいじゃないか。
「小さいおじさんばかり作った始末よ!昨日と同じでパパとシャルルに壊してもらいましょうか?」
「わるいものつくってないも。こわさないも!」
「人を驚かせるのは悪いものです!ママは昨日と同じくびっくりしたわ。フェリは悪い子なのかしら」
「いいこだも!」
「いい子なら遊んだお片付けを出来るわね?」
遊んだお片付け?雪だるまの像を片付けろってことか?昨日に続いて悲しいことを!
「ゆきだうまはげいじゅつだも!」
あっ、ふらついた。パパが支えてくれる。
「いいえ!太ったおじさんです!太ったおじさんばかり何個も何個も!数を数えてみなさい!」
作った雪だるまを見てみる。なんか一斉にこちらを向いて微動だにしない小さな雪だるま、たぶん1万個ほど。なるほど、ちょっと不気味かもしれない。ママの言い分は分かった。小さくなければいいんだ。大きいものは……。
「くりえいとまほう!パパ!」
寝起きの魔力満タンがごそっと減った。パパは出来たかな?
家と同じ大きさのパパが出来た。元のパパも大きいけど、雪のパパのほうが大きい。
これにはママもパパも驚いたようだ。
小さい頃から見ているパパだから、造形美は確かなはず。私から見ても、かっこいい雪像だ。
「エリックが大きくなったわ!」
「いや、俺はここにいるぞ!それよりもフェリが使った魔法だ。凄いぞ!」
パパとママがわちゃわちゃしてる。私もう、家の中に入っていいかな?
ふらふらと家の中に入って、布団に横になった。眠気がまたピークだ。おやすみ。
フェリシアは回復した魔力を使い切って夢の中。
大きい雪像は危ないとのことで、エリックの像だが、シャルルが壊す事になった。
エリックの像を壊すのに、シャルルもエリックもリーザもみんな複雑な顔をしていた。
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