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フェリシアの魔法の物語  作者: はる
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盗賊の討伐報酬とフェリシアの裁縫道具

 冬になる前に、この地の領主から、盗賊の討伐報酬が支払われたらしい。パパンが村に来た領主の使いから貰ってきたそうだ。


「まあ!大金だわ!エリック凄いわ!」


 にーにやねーねも興味津々に覗いてお金を見ている。もちろん私もだ。


 金貨2枚か。200万円だな。パパン凄い!


 パパンがお金を持って2階に行き、小袋を2つ持って降りてきた。


「シャルルとフェリも頑張ったからな、2人にも報酬をあげるぞ。3人で分けたからな」


「本当!?」

「やったー!」


 パパンから袋を貰って中を見ると、大銀貨5枚が入っていた。わお!私みたいな5歳の子供には大金だ!パパン奮発してくれた!嬉しい!


「無くさないように魔法の袋に入れておくんだぞ。雑貨屋や商隊が来た時に買い物で使っていいからな」


「良かったわね。シャルル、フェリ。大切に使うのよ」


「いいなー」


 ねーねが羨ましそうに見てくる。私は大銀貨を1枚取り出して、ねーねの手に握らせた。ねーねはきょとんとしている。


「ねーねもママとアンリを守ってくれたから報酬!」


 驚いてたけど、手の中のお金を見て、ふにゃりと笑って「ありがとう」と言ってくれた。大事そうに魔法の袋に入れている。これでよし!


「フェリは偉いな。ありがとうな」


 パパンに頭を撫でられた。褒められると嬉しい5歳です。


「なら僕はアンリにあげようかな!」


 にーにが張り切って言う。


「シャルル、アンリはまだお金のことは分からないわ。だから全て貴方が貰っておきなさい。気持ちだけで嬉しいわ」


 にーにはそうかと早った発言をして恥ずかしそうにしている。かわいい。


 でも、これで盗賊の事件は終わりだね!


 パパンもにーにも私も報酬を貰って、ママンはパウエルさんの治療を手伝って報酬を貰ったから、みんなハッピーだ!


 お金を貰ったし、増やす為にママンとパパンに教えてもらおうかな!


「パパ、ママ、このお金で魔法の袋を作って商隊に売ろうと思うんだ!魔法の袋って、作ったらいくらで売れるか知ってる?」


 パパがぎょっとした顔をした。え、聞いちゃまずかった?ママは普通の顔をしてるけど。


「ママは知らないわ。パパが知ってると思うけど」


「知ってるが本当に売るのか?」


 パパが恐る恐ると言うふうに聞いてくる。何か悪いのかな?


「うん!自分で袋を作って、付与をして魔法の袋を作るんだ!ママ!袋の作り方教えてね!」


「いいわよ。一緒にお裁縫の練習をしましょうか。エリックどうしたの?」


「いや、フェリ、魔法の袋はな貴重な物なんだ。作れる人が少ないから一つ最低でもミスリル貨1枚で売れると思う」


「えっ!」


 私とママが驚いた!


「でも、パパ、魔法の袋、持ってたよね?」


「あれはパパがママと結婚する前に冒険者をしていて儲けた金で買ったんだ。あれでミスリル貨1枚と大金貨5枚もしたんだぞ。

 そうだ!フェリ!作るなら手加減して作りなさい。フェリの作った魔法の袋は多分だが、パパの魔法の袋よりかなり高い値段がするはずだ。内容量は家2軒ぶんくらいにしなさい。家族みんなが持っている魔法の袋は、もっと大きいだろう?」


「うん!大きいはず。使用者制限もしてあるからね。盗難された時の保険で。でもなんで?大きければ大きいほど良いよね?」


「フェリのは入れれる量が大きすぎるんだ。フェリが魔法の袋を全力で作ったら、国宝とかにされてしまうぞ。売るなら使用者制限も外しなさい。時間停止は、まぁ、いいか。フェリ、売る時はパパに言いなさい。ついて行くから」


「わかった。パパに言うよ。布は丈夫なのがいいよね?布でいい?皮がいい?鞄の方がいいかなぁ?」


「フェリが作った布の袋で十分だよ。でも丈夫な布がいいだろうね」


「分かった。ママ!布と裁縫道具を雑貨屋で買うから、一緒に来てくれる?」


「いいわよ。フェリがずっと長く使える物を買いましょうね」


「ありがとう!」


 なんか凄い高い値段がするらしいけど、その分、良い布を買って丈夫に作ればいいよね。私の今の懐は暖かいし。


 にーにとねーねが、ほけーとした顔で見てきた。値段が高すぎて想像がつかないんだろうな。私も自分でお買い物した事ないし、自分で作った魔法の袋が売れる保証もないから、まだ実感が湧かないや。




 翌日、ママンと雑貨屋に行った。布と裁縫道具を買うんだ!前世では裁縫というより手芸が好きだった。上手く針も使えると思う。

 でも、この世界の針は少し太いし大きいんだよね。丈夫だけど。使いづらいかもしれない。



 雑貨屋に着いた。扉を開けて中に入る。


「いらっしゃい。リーザじゃないか。また、牛の乳かい?」


「今日は違うわ。子供のフェリシアに裁縫道具を買う為に来たのよ。一生使えそうな物はあるかしら?」


「そうかい、そうかい。リーザの子供が裁縫をね。歳をとるはずだよ。良いのが3つあるよ。選びな」


「見せてもらうわね」


 ママが真剣な顔をして、在庫を持ってきてくれた雑貨屋のおばさんにことわって、裁縫道具の中を見ている。私は隣から覗き込む。


 わあ、大きい箱に入ってる。蓋は装飾がしてあってかわいいのから、ちょっと大人向けのデザインの物もある。


「すみません。お値段いくらですか?」


「おお、かわいいね〜。値段は大銀貨5枚〜7枚で買えるよ」


 えっ!予算オーバーだ!


「ママ大変!私、買えないよ!」


「大丈夫よ。裁縫道具はママからのプレゼントだからね。ママもママ、ばーばに買って貰ったからね。これは親から子供へのプレゼント。嫁入り道具みたいな物だからね。安心して」


「ママ、ありがとう」


 なんか、感動した。そうか、高価だから嫁入り道具になるんだ。私は結婚できるかな?


「リーヌには、まだ内緒よ。あの子編み物しかした事ないからね」


「わかった」


 こくりと頷く。ねーねも今欲しいって言ったら家計が火の車になるかもしれない。


 フェリシアはちょっと見当違いのことを考えていた。


「んー、どれもいいわね。迷っちゃうわ」


「ははっ、変なのは仕入れないよ。ちゃんと見てから買ってるからね!」


「フェリはどれがいい?フェリが選んだのを買ってあげる」


「わあ、本当?」


「遠慮せずに選んで」


 見て触ってみる。引っかかる所なんて無いくらいに綺麗に磨かれている。


 1つはちいさなお花がいっぱいの立体彫刻してあるみたいな綺麗な蓋がしてある。可愛いけど掃除の時大変そうだな。いや、クリーンがあるから想像したら綺麗になるか。


 2つ目は大きなお花が豪華に掘られている。うーん、ちょっと大人向け。私が成長したら丁度いいかもしれない。


 3つ目は、幾何学模様っぽい。芸術って感じだ。



 悩むけど、やっぱり1つ目の小さなお花が可愛いかな。


「ママ!これ!小さなお花のやつ」


「あらー、やっぱりね。小さい子はこういうのが好きだよね」


「分かったわ。これを買いましょうね。フェリはまだ買い物があるんでしょう?」


「あっ!そうだ!布と糸をください!丈夫そうなの!」


「丈夫な布と糸かい?ちょっとだけ、待ってな」


 おばちゃんが居なくなったので、こっそりとママに聞く。


「ママ、高いのだった?」


「あら、気にしなくてもいいのに。うーんとね、真ん中の値段だったかな」


「1番高いのは?」


「これね」


 幾何学模様の裁縫道具だった。そうだよね。難しいよね。


「たくさんあるから中に入っておいで」


 おばちゃんが言うので、ママとカウンターの中に入って行く。


 色とりどりの布が綺麗に並べてあった。


「触っていいですか?」


「いいよ!気に入ったの選びな」


 ママと触っていく。白は汚れが目立ちそう。茶色は私達、家族用に買ったし、別の色がいいな。んー、万人受けするような色は、やっぱり黒かなぁ?


「ママ、私、迷っちゃう。どんな色がいいかな?」


「色もだけど、フェリは初めての裁縫だから、縫う時に難しくない布がいいわね。これなんてどうかしら?」


 灰色の布だ。手触りは良い。これにしようかな?


「冬の手仕事にしたいの。どれくらい布を買えばいいかな?」


「そうねぇ、袋を3つ作れるくらいがいいんじゃないかしら?私が教えるから4つぶんね」


「すみません。袋が4つ分縫えるだけの大きさの布ください!」


「袋の大きさはどれくらいだい?」


 腰に付けてある魔法の袋を見せる。


「これくらいです」


「ちょっと待ってなよ。銀貨1枚ってとこだね。糸も選んで。会計は一緒でいいのかい?」


「別で、お願いします!」


「別って事は、リーザ、小さい子にお金持たせてんのかい?」


「フェリシアが稼いだお金だけ持たせてます」


「そうかい、そうかい、もう1人で稼いでるのかい。お得意様になっておくれよ」


 にこにこ笑っておばちゃんが言う。ちょっと誇らしい気持ちになった。


 糸はママに選んでもらって、お会計をして、大銀貨を出したら驚かれた。「どんな仕事させてんだい!」てね。


 裁縫道具はママが持ってくれて、私は布と糸を持った。魔法の袋は他人には秘密だからね。


 冬に裁縫を覚えるぞ!



キリのいい所が無くて長くなってしまいました。

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