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フェリシアの魔法の物語  作者: はる
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パルグライド辺境伯

 ーパルグライド辺境伯ー


「なに?人攫いの盗賊団を壊滅させただと?それは朗報ではないか」


「ですが、貿易都市ミルンから、人攫いの盗賊団と仲間であった奴隷商がグレイター子爵の直営店であったのが問題となっています。奴隷商の従業員は全て取り押さえており、尋問も行っています。奴隷達にも話を聞いており、保護しております。奴隷商にあった書類から、どうやらグレイター子爵が黒幕のようです」


「なんてことだ。グレイター子爵ごときにパルグライド辺境伯家が舐められるだなんてっ!戦争だ!グレイター子爵家を取り潰しにするぞ!怒りが収まらんわ!」


「そのように申されると思いまして、兵と食料の準備は出来ております。王家はどうなさいますか?」


「王家など後でよい!どうせ何もしてはくれないのだからな。奴隷商の従業員を押さえておいて、後から実行犯で証人の犯罪者だと王家に突き出せばよい。パルグライド辺境伯領の損害額を記載した書類を持ってな。結果、子爵領を渡されて管理せよと言われるだろうよ。損害の賠償としてな。今の王家は争いを好かんからな。

 して、貿易都市ミルンでよく人攫いの盗賊団が見つかったな?どうやって捜査して壊滅させたのだ?」


「人攫いの盗賊団ですが、実質、カザルーン村で壊滅いたしました。カザルーン村が襲撃され、16名の村人が死亡したそうです。迎撃したのは村の警備隊と狩人ということがわかっておりますが、約200人いた人攫いの盗賊団を壊滅させたほどの実力は無く、不可解な首切り死体が150人ほどあったようです。村の警備隊も治癒魔法をかけられたように傷が無く、証言では「警備隊は皆殺しにあった」と言う者もいたそうです。それに、ミルンでの奴隷商人達を捕まえるきっかけになった人物ですが、今年、飛行魔法のスキルを授かった狩人の娘の5歳の子供が攫われた村人を追って、ミルンの奴隷商に村人が運ばれたことで発覚したようです」


「ふ〜む、人攫いの盗賊団を壊滅させた者は分からず、謎の治癒師がおり、5歳の女児が攫われた村人を救ったと。狩人の親子が怪しいではないか。なぜ正直に自分が倒したと言わんのか?」


「村の狩人ですが、元・銀ランクの冒険者であり、狩りの腕は良いとされています。今回の襲撃では傷も負っておらず、自分が戦った相手は盗賊の残党だと言っているようで、ミルンにいる兵士からは、この親子と警備隊に「人攫いの盗賊団討伐の懸賞金を渡してほしい」との言が記載されております。どうされますか?」


「……被害者遺族に見舞金と盗賊団討伐の懸賞金を渡すことを許す。金額は適当になるようにしてくれ。

 まぁ、わからんことがあるが、盗賊団が壊滅して手柄をひけらかす者がいないのは良いか。

 よし!戦争じゃあ!パルグライド家をコケにした分は命で贖ってもらう!準備を急げよ!グレイター子爵家だけ滅ぼして、領民には手を出すなよ!多分領地は貰うからな!」


「はっ!」


 なんともスッキリせんが、余計な費用がかからんなら良い。子爵が無罪だと言い張っても、捕らえてから、ゆっくりと証拠の書類を探せばよいしな。あそこに我が領地の間諜はおったかのぅ?


「グレイター子爵家に我が領地の間諜はおったか?」


「……いえ、いなかったはずです。いれば、もっと早くに事件が解決していたでしょうから」


「そうだな。電撃戦をするぞ!抵抗する気も起きないほどに素早く捕らえていけよ!ミハイルを連れて行け。良い刺激になるだろう。指揮は領軍隊長が取れよ!」


「ミハイル様ですか。分かりました。伝えて参ります」


 家令のダンリが出て行った。これで、ミハイルも成長して帰ってくるであろうの。さて、被害場所と被害総額をまとめておくか。




 真面目に書類をまとめておるのに騒がしいのう。廊下か?


 トントントン!


 ドアのノックがされた。役人が声を掛ける。


「誰ぞ!?」


『エイルミラー様です』


「奥方ですな。どうなさいますか?ハインツ様?」


「急用かもしれん。入室を許す」


「入ってよし!」


「失礼しますわ、貴方。面倒な挨拶は抜きにします。ミハイルを戦いに連れて行くとは何事ですか!あの子は大切な跡取りなのですよ!」


「跡取りだからだ。時には領地の為に非情だと思われる事もせねばならん。今回の戦ではこちらに死人はほぼ出ないであろう。安全に戦いの空気を感じれるなら今まで剣の訓練をしていたミハイルも良い経験になるであろう」


「貴方の言い分は分かりました。保険はかけているのでしょうね?」


「指揮は領軍隊長がとる。もう引退時だが、ミハイルを守るだろう。何かあるか?」


「ありませんわ。ありませんけども、あ〜〜!心配ですのよ!わたくし!心配ですの!わかりまして!?」


「わかる、わかる。が、子は成長するものだ。いつまでも腕の中に囲ってはいかん。おまえも子離れせよ」


「子供は親の前では、いつまでも子供です!わかりまして!?」


「あ〜、混乱しておるな。よしよし、大丈夫だ。落ち着きなさい。ミハイルは大丈夫だ」


 混乱している妻を抱き寄せる。役人達はいつものことと見ないふりをしてくれるだろう。


「ふ〜ふ〜っ」


「落ち着け、落ち着け」


 これから戦いに行くミハイルの方が大変なんだがのう。愛情深いばかりに心配を抱えて。いつも上手く吐き出せん妻じゃ。


「ハインツ様、奥方を部屋までお連れしては?」


 おー、気がきくのう。


「エイル、部屋まで行こう。一緒に行くからの」


「ふーふー」


 まだ興奮しておるの。仕方ない付き合うか。




適当

1 ある条件・目的・要求などに、うまくあてはまること。かなっていること。ふさわしいこと。また、そのさま。


2 程度などが、ほどよいこと。また、そのさま。

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