フェリシアの帰宅
馬車の進んだ方向に飛ぶ。もう、お昼だ。お腹は空かないけど。
村の外、初めて来た。帰り道を覚えておかないと。多分帰りは私だけじゃない。私だけなら瞬間移動で帰れるけど。
残りのMPを見ておかないと。
名前 フェリシア・フェルン
年齢 5歳
職業 賢者
HP 12
MP 11981
状態 健康
称号 知識と魔法の神の加護 愛し子
スキル 鑑定 生活魔法 結界魔法 時空間魔法 知識の泉 全魔法適正 状態異常無効
大丈夫だ。半分は残ってる。さて、馬車はどこまで行ったかな。
飛ぶけど見えてこない。ずいぶんと遠くに行ったようだ。
この辺は緑豊かだなぁ。あ、ひらけた。え、海が見える!遠いけど海だ!
え、もしかして漁村にでも連れて行かれたの?敵対者が分からなくなる。
(知識の泉、敵対者が分かる魔法ってある?)
『探索魔法で索敵があります』
索敵かぁ、直ぐに使えるかなぁ。魔力を身体に巡らせて、索敵!ん、虫が青色に見える。敵対者は何色?
(知識の泉、敵対者は何色?)
『赤色に見えます』
そうかぁ、っていうか人間を見つけないとね。
途中に村があったけど、敵対していなかったから、また海を目指した。
飛んでたのを門番のおっちゃんにびっくりされたけど「馬車が2台通った?」て聞いたら「さっき通ったよ」と教えてくれたのでお礼を言って去った。
もうすぐ助けに行くよ!
漁村かと思ったら貿易都市?だった。私の村人ルックが目立つぜー。というか飛んでるのが目立つ。
貿易都市に入る前に門番の人に「何で来たの?1人?」って聞かれて「村が盗賊に襲われて、村人がこっちに馬車2台で攫われてきた」と言ったら、心当たりがあったのか、なんか偉そうな人達に付き添われて馬車を探している。
奴隷商の馬車だったみたいで、疑問に思わずに通してしまったらしい。
『兵士の失態だ!』てなことで探すのを手伝ってくれている。
村人のおっちゃんが「さっき通った」って言うだけあって、兵士が奴隷商に集結して馬車を取り囲んでいる。ありがたい。
「これは仕入れてきた奴隷だよ!営業妨害するのかい!?」
「いや、攫われて来た村人だって話だ。確認がしたい。奴隷と話をさせてくれ」
「いや、駄目だ駄目だ!まだ、奴隷達は反抗的なんだ。見せられたもんじゃねぇ!」
「見せられないなら、やましい所有りと取り締まりをするぞ」
「うちのバックに誰がいると思ってんだよ!グレイター子爵だぜ!強行にするなら覚悟するんだな!」
なんか、なかなか話が進まない。助けて偉い人!
「強行してもいい。パルグライド辺境伯から盗賊を討伐するように話が来ている。この馬車は盗賊の物だ。村に証拠品があるらしいから問題ない」
そうなのだ。何故盗賊が電撃的に村に領主の兵士に悟られずに来れたか。何台もの馬車に乗って来てたのだ。空の馬車が村の入り口にたんまりと残っている。盗賊の馬車だ。同じ物だと証明出来れば、ここの奴隷商は終わりだ。
兵士と盗賊が揉み合い、馬車の扉を開けた!
若い女子供ばかりだ。知っている子はいるかなぁ。あ、あの子一緒に勉強したことある。
「兵士さん、兵士さん。知ってる子供が居ました。黒です!」
「そうか!ありがとう。犯罪者集団だ!取り押さえろ!」
兵士さんが奴隷商になだれ込んでいる。ありがたや〜。所で私はいつ帰れるかな?
取調べがあるから今日中に帰れませんでした。
パパン、ママン、心配してるだろうなぁ。あ、食事はもらいました。寝床も。質素だけどね。
村人達を養うのも大変だから、兵士に付き添われて明日、村に帰れるらしいです。いぇい。
今日は疲れたー。
翌日、村人のみんなは、また奴隷商の馬車に乗せられて、私はすしづめは嫌だから飛んで帰る。
付き添いの兵士の人が驚いていた。
馬車の上を飛んでいたら、正面から馬が走ってきて、それがパパンだった。
「パパー!」
「フェリか!?」
バッチリ目が合った。パパンが馬首を返して、感動の再会。しばらく離してくれませんでした。
パパン心配して追いかけて来てくれたんだね。パパンの愛情を感じるよ。
馬の上に乗って、パパの前に抱っこ状態で乗ってる。なんか、新しい乗り物みたい。馬車について行く。
お昼を過ぎた頃に村に着いた。
襲撃の跡は残ってるけど、村人達は普通に生活していた。
いや普通とは違うかな。死体が並べてある。助けられなかった村人だ。盗賊の死体はどうしたのかな?
馬車から降りてきた村人が自分の家族の死体を見つけて泣いている。
ごめんよ。ごめんよ。殺したのは私じゃないけど、助けられなかった。ごめんよ。
パパンが抱き寄せてくれる。どこまでも優しい。
馬は盗賊の馬だったみたいで兵士の人に渡していた。
パパに抱っこされて帰る。大きくなってからは抱っこは初めてじゃないかな?あ、昨日もされたか。
「パパ、自分で歩くよ?」
「ダメだ。パパが捕まえておかないと、フェリは飛んでいってしまうからね」
昨日のことで信用がないもよう。飛んでっちゃったもんね。
懐かしの我が家。帰って来たよ。
パパンが鍵を開ける。昨日の今日だもんね。
音が聞こえたのかママンが来た。私の顔を見て、くしゃりと綺麗な顔を歪ませる。
「フェリ。フェリシア。駄目よ、一人で行っちゃ。パパとママがどれだけ心配したと思ってるの?無事に帰って来てよかったぁ〜!」
ママンが泣いちゃった!あ、抱きついてきた。よろけないパパンが好き。ママン心配かけてごめんね。




