金色の森へ 1
午前中の勉強が終わって昼食を食べている。
今日は金色に光る森に行くんだ!
気がはやる。せっかくの昼食の味が分からない。
落ち着いて。結界で身体を覆って、動物や魔物が出たら次元斬で切り裂く。ふぅ、イメージはバッチリだ。
昼食が終われば家の裏に回って外柵を登る。
「こら!フェリ!何をしてるんだ!なんかうわの空だと思ったら森に入るだなんて。戻ってきなさい!」
にーにに、見つかってしまった。でも私は行くんだ!
!良い事思いついた!にーにも巻き込んでしまえ!
「にーに、私は戻らないよ!結界もあるし攻撃手段もあるから大丈夫。私、金色の森が見たいんだ。だから行くよ。にーにも一緒に行こう?」
「ダメだよフェリ。危ないじゃないか。パパにもママにも森に入ってはダメだって言われてるだろう?フェリは悪い子になっちゃったのか?」
「きょ、今日だけ悪い子になるよ!お、怒られても行くんだ!」
ちょっとビビってしまった。パパとママに怒られるのは怖い。で、でも!行くって決めたから!
「ふーちゃん、何で柵の外にいるの?危ないから戻っておいでよ」
ねーねまで来た!これもう強行突破だ!
「私は結界を張って行くからね!ばいばい、にーに、ねーね」
「えー、ふーちゃんどこ行くの?私も行くー」
ねーねが柵を登り出した。にーにが慌てて止めている。
「危ないからリーヌが行くのはダメだ!」
「えー、ふーちゃんはいいの?」
「ねーねも一緒に行くなら結界で守るよ!」
ねーねに結界を張るとにーにが遠ざけられた。
「ふう、ふーちゃん行こう!」
「あーまてまて、ダメだ!行くな!ママを呼んでくるぞ!」
「にーには行かないなら待ってて!ねーね行くよ!」
「うん!」
ねーねと2人で金色の森に向かって歩いていると、にーにが追ってきた。
「2人じゃ行かせられない。僕も行くから結界を張ってくれ」
「いいよ!3人で探検だ〜!」
にーにがため息を吐いた。もう、ここまで来たんだから行くよ!
森歩きは慣れないから躓きそうになる。でも、慎重に歩けば大丈夫。
金色の光は私以外に見えないみたいだから私の目が頼り。
ねーねは私のちょっと後ろを歩いていて、にーにはその後ろで警戒している。
途中で森の中からガサッて音がしたら飛び上がりそうなほど驚いたけど、にーにが抱きしめてくれたから安心した。ねーねも一緒に抱きしめられてたよ。
にーにの抱擁力に安心する。いざとなったら守るのは私だけどね!
30分くらい歩いたかなぁ?森歩きは結構体力を消耗する。
時空間倉庫から私のコップを取り出して、みんなで地面に座って水を回し飲みする。
夏も終わりだけど、森の中でもまだ暑いからね。森の中は森林浴みたいで空気が澄んでて美味しいけど。
空を見るとキラキラの金色の光が大分近くにある。もう半分くらい歩くかな?
休憩を終えて、また歩き出す。にーにとねーねと私に新しい結界を張り直して。
1回結界を張ったら、多分1時間くらいは待つけど念のためにね。
「フェリ、大分と森の奥に来たけど、まだ目的地に着かないのか?」
「あともう半分くらいだと思うよ。安心してよ。結界は張ってあるからさ」
にーには落ちていた木の枝を持って剣の代わりにしてる。草をはらうのにも役立ってるみたいだからいいなぁ。
草を掻き分けたら、小動物みたいなイタチみたいな動物がいた。けど、逃げないでこっちを威嚇している。
「フェリ!」
にーにが枝をイタチみたいなのに叩きつけた!イタチが鋭い牙を見せつけて襲いかかってくる!結界で弾かれた。
「にーに!私がする!」
弾かれて蹲っているところに首に狙いをつけて次元斬を使う!
「次元斬!」
気合いが入りすぎたのか、すっぱりと首が切れた。首なしイタチ、ぐろい。
「わぁ、ふーちゃんもシャル兄もすごーい!」
ねーねが喜んでいる。
私は死体を時空間倉庫に入れておいた。首はそのまま。ぐろい。
「にーに、ありがとう。行こう!」
「ああ」
にーにはイタチもどきの首を見て難しい顔をした。
それから頑張って歩くと、やっと金色の壁が見えた!目的地に到着だ!いつもなら昼寝してる時間だけど、疲れて眠気が無い。
「にーに!ねーね!着いたよ!金色のきらきらの壁が見える?」
「本当に着いたのか?何も無いけど……」
「ふーちゃん本当にここ?」
「うん!このまま真っ直ぐ行けば着くよ!」
走り出そうとした私をにーにがひょいっと抱えた。手足がぶらんぶらんしちゃう。
「何があるか分からないから僕が行く!」
にーには決意した顔で言った。
「ダメだよ!私がみんなを連れて来たんだから私が行く!」
「リーヌはフェリを捕まえておいてね。危ないかもしれないから」
「うん!」
なんだか、探検がシリアスになってきてしまった!




