時空間魔法 1
午前中、教会で春から勉強をして初夏には文字・計算を覚えることが出来た。
前世の日本と同じように、この世界では、ひらがなの表音文字を覚えれば、後は読めた単語の意味を調べるだけ。
漢字に相当する文字がないから簡単ではあるが、意味を相手に伝えるには不向きな文字でもある。それが、ねーねの手紙の書き方を複雑にしてそうだ。
今日からは、スキルの『時空間魔法』を教会2階の図書室で調べようと思う。
私は森にある黄金色に輝く物の正体を知りたいから、準備は万全にしておくのだ!
スキルを貰った時にいた青年が図書室で、みんなに分からない所や読めない所を教えているらしい。利用者は結構多いみたい。あ、にーにが居た。椅子に座って本を読んでいる。
「図書室は初めてなので教えて欲しいです。名前はフェリシアと言います。よろしくお願いします」
「はい、よろしく。1階には司祭・父が居ただろう?先生と呼ばれている人だよ。僕は息子の助祭だ。分からないことがあれば教えるから、声をかけてね」
「はい、ありがとうございます。時空間魔法の本はどこにありますか?」
「時空間魔法ね。レアだね。一応書籍はあるけど少ないよ。ついて来て」
優しそうな助祭についていき、奥まった所、あまり使われてなさそうな本棚についた。
「棚が高いからね。時空間魔法の本は1番下に固めて並べておくよ。ここからここまでだからね」
「ありがとうございます!」
ふすーふすーっと鼻息が荒くなってしまった。いかん、興奮してしまった。
「まずはこれから読んでみなさい」
1冊の本を渡された。『はじめての時空間魔法』か。ちょうど良いや。
お礼を言ってあいている椅子に座る。ぱらりと本をめくると、絵と文字が書いてあった。
『時空間魔法を初めて勉強する君へ』
うん、初めてです!
『時空間魔法は難しく、とてもイメージがしづらい魔法だ。だが、便利で怖い魔法でもある。君が危ない使い方をしないように祈っておくよ』
祈っておいて!
『まずは時空間魔法は目に見えづらい魔法だと覚えておくといい。とても便利だけどね。まずは代表的な魔法・時空間倉庫だ。使い方は魔力を身体に巡らせてから、目に見えない倉庫がそこにあるのをイメージしてごらん。入り口を想像するといいかもね。ようは時空の裂け目に入れ物、鞄なんかを想像してもいい。中の容量は魔力を注げば注ぐほど大きくなる。時空間魔法が上手い人は時間を停止させて肉や野菜などを新鮮に保存しているね』
こ、これは、あれじゃないか?アイテムボックスやストレージなどと呼ばれている魔法じゃない?絶対時間停止がいい!
漫画・アニメ大国の日本で培われたイメージ力を見よ!
身体に魔力を巡らせて、目に見えない倉庫があるのをイメージする。時間停止で大きいのがいい!入り口と言うよりは入れたいと考えた物を瞬時に入れたり思うだけで出したり出来るようになりたい!任意の場所で!
む〜〜〜ん!!!
頭の中ですぽっと穴が空いたような気がした。ちょっと力みすぎて頭がくらくらする。
時空間倉庫出来たの?出来なかった?目の前の本を時空間倉庫に入れると想像してみるとぱっと本が消えた!!
成功だー!!
あれ、身体を起こしてるのが辛い。どうしたのかな?頭を机の上につけると意識が飛んだ。
ぱちっと目が覚める。ゆさゆさ揺れてる。あったかい。でも、手がちょっと痛いかな?
「あっ!ふーちゃん起きた!シャル兄、ふーちゃん起きたよ!」
「フェリ、頭痛くないか?身体は痛いか?大丈夫か?」
にーにがおんぶしてくれているらしい。揺れてたのはそれが原因か。ぼーっとするけど痛い所は無い。
「大丈夫だよ。ありがとう。にーに、あったかい」
「僕は暑いよ。もうすぐ家だから、このまま行くね」
子供達がみんな帰る時に机に伏せて動かない私はちょっと顔色が悪かったらしい。成長したにーには多分150cmくらい身長があるから、私をおんぶして帰ってくれたようだ。
10歳で150cmくらいってにーにパパの血が出てるね。
家に帰ってママンににーにが説明すると昼食を食べた後は子供部屋で寝かされた。アンリの笑顔が眩しい。
「ねーね、ねんね。アンもねんね」
と隣で横になってくれた!らぶ!
アンリを抱きしめてたら、ママンがきて「アンリお姉ちゃんのおやすみの邪魔しちゃダメよ」って子供用の柵を立てられてしまった。のう!アンリが遠い。
そういや私は時空間倉庫の魔法を成功したのだろうか?成功してたらしまったはずの本が出てくるはず。
本よ出ろ!
パッと寝ている私の上に現れた。やったぁ、出来てた。あ、本持って来ちゃった。時空間倉庫にしまっておこう。
あとは、魔力を時空間倉庫に送り込めばいいんだよね。何処が入り口かなー。頭がすぽんと穴が空いたような気がしたんだよね。多分その辺りが入り口〜。
自分を鑑定しながら魔力を注ぐ。あっ、MPが減ってる魔力が注げてるんだ。
0にしたら眠気が来た。アンリおやすみ〜。




