こんばんわ、赤ちゃん
冬になる前のちょっと寒い秋。
ママンが産気づいた。
パパンも仕事を休んで、いよいよ子供が生まれそうなママンの今にもはち切れそうなお腹にママンと私といつも一緒に居たけど、ママンの足に水が垂れてきた時にタオルで拭いてママンを子供部屋に寝かせて、外に出て行った。
私は破水したママンの隣で、お腹が痛そうなママンを見るのが辛くて、でも離れたくなくて一緒に居た。
確か1人目を産むのは辛いけど、2人目からは短い時間で産まれるはず。
ママンの片手を1人で握っていた。
パパンがお医者さんを連れて来て、お湯を沸かしていた。
布をママンのお尻の下に敷いて、シーツをママンにかけて、慣れている様子だった。
パパンと2人でママンを見守っていると、にーにやねーねが帰ってきてパパンが2人にクリーンを掛けていた。本当は身体を洗って、服を着替えた方がいいんだろうけど、ここの文化水準じゃこれが出来る精一杯だし、私が言っても聞いてくれないと思う。
にーにもねーねもママンに寄り添って、ママンが苦しむたびに励ました。私達にはママンを励ますしか出来ない。
パパンが簡単だけど、食事を作ってくれたからにーにとねーねと食べて、またママンの側についた。
眠くてたまらなくなってきた時にママンの押し殺した叫びが聞こえて目が覚めた。
ママンの足元にお医者さん。ママンのお股に手を入れている。
ママンは荒い息と押し殺した叫びを何度もあげていた。パパンがママンの手を握っている。
にーにとねーねは不安そうだ。2人で寄り添っている。
私は声をあげた!
「まま!がんばれ!がんばれ!きょうだいがうまれるよ!まま!がんばれ!」
ママンが薄っすらと目を開けて、少し笑ってくれた。またすぐ息を詰まらせる。
パパンがママンを後ろから抱えた。ぎゅっと抱きしめる。
「リーザ、もうすぐだ。もう少し頑張ってくれ。みんな一緒にいるから」
「はっ、ええ、はっ、うっー、がんば、るわ、はっ、はっ、んんううーっっ!」
「リーザさん!力を入れな!子供が出て来るよ!いきみな!」
お医者さんが叫んだ!
私もママンと一緒にうう〜っ!と力を身体に入れる。
ねーねはママンの様子に怯えて、にーにに抱きついている。
私はお医者さんの隣からママンのお股を覗いた。子供の頭が見えてる!
「まま!こどもがみえてるよ!もうちょっとだよ!がんばって!かんばって!」
「リーザさん、もう少しだ!力を入れな!踏ん張れ!」
「ううーっっっ!はぁ、はぁ、んあーっ!うーっ!うーっ!」
「頭が出た!もう少しだ!力を入れて!」
ママンが全力でいきんだ!子供のひっかかっていた肩が抜けた!
ずるりと赤ちゃんが出てきた!あとはお医者さんの腕だ。赤ちゃん!息をするんだ!
「あかちゃん!がんばれ!」
ママンも後産がある。ふんばってる!
赤ちゃんが泣いた!やった!息をした!お医者さんが赤ちゃんをお湯で洗っている。私も小さい手で赤ちゃんの手足を洗う。
おちんちんがついてる。男の子だ!
お医者さんが丁寧に布の上に赤ちゃんを下ろして、臍の緒を切って結んでいる。
綺麗な布でくるんで、私達、兄妹の近くに寝かせる。
お猿さんみたいだ。
「にーに、ねーね、おとーとができたよ!まま!ぱぱ!おとーとだよ!」
にーにとねーねが、恐る恐る近づいてきて赤ちゃんを見る。なんだか不思議そうだ。
私も触ったら折れちゃいそうな弟をじっと見つめて、ママンの元に行く。
「まま!おとこのこ!おとこのこだよ!げんきだよ!」
汗だくのママンは嬉しそうな苦しそうな顔をして、まだ頑張っている。
私は汗だくのママンの握った拳を撫でる。ママン、産まれたよ。頑張ったよ。ママンも早く元気になってね。
全てが終わったら、お医者さんはママンの止血をしてから帰って行った。
ママンはパパンにお湯で全身を拭いて貰って、少し水分と食事を取ったら子供部屋に赤ちゃんと寝かされた。
今日はパパンも一緒に寝るようだ。
気疲れしたにーにとねーねと私は爆睡だ。まだ、子供だからね。きっと赤ちゃんが夜泣きをしたんだろうけど、疲れた子供達は起きずに深い眠りについた。
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