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フェリシアの魔法の物語  作者: はる
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パパとママ

 俺は孤児だった。


 物心ついた時から親が居なかったので家族と言う物がわからない。


 教会にいる他の孤児達は唯一、俺の家族と言えるのかもしれない。

 一緒にメシを作り食い、一緒に畑を耕し、一緒に寝る。


 寂しさを感じなかったと言えば嘘になる。俺は自分だけの家族が欲しかった。


 孤児出身の冒険者がボランティアで魔物との戦い方を教えてくれるのが楽しみだった。

 俺は将来、冒険者になると決めた。


 教会からは13歳で出される。独り立ちする準備金を渡されて教会に別れを告げて、冒険者ギルドに行って冒険者登録をした。

 冒険者は10歳以上であれば誰でもなれる。準備金で剣を買い、その日暮らしが始まった。


 俺に冒険者は天職だったらしい。食事にも装備にも困る事なく魔物を倒しては金銭を稼いでいた。


 金銭に困らなかった俺は旅をした。旅馬車の護衛を引き受けて安く旅をして、街に少しの間滞在して金銭を稼ぎ、また旅馬車の護衛で旅をする。


 いつしか俺は銀ランクの冒険者になっていた。

 普通の実力の冒険者は大体、銅ランクだ。銀に上がれるのは一握りの人材だ。金ランクなんて国に1人か2人いればいいくらいだ。ミスリルランクが最高だが、今の時代には居ないようだ。


 それでも俺は旅をした。この時は気付きもしなかったが、俺は心に足りない何かを探していた。


 ふと、一つの村に寄った時だ。


 たまたま雑貨屋で一緒になった女の子から目が離せなかった。

 女の子が雑貨屋から出て行ったのを慌てて追いかけて名前だけは聞いた。


 リーザ・フェルン。


 俺は村の宿に滞在しながら、近くの魔物を倒しては雑貨屋に売った。何故かこの村から離れがたかった。リーザの事が忘れられなかった。


 1ヶ月経ち、2ヶ月経った頃にやっと自分の気持ちに気がついた。


 リーザ・フェルンに惚れている。


 俺は行動を起こした。雑貨屋の店主にリーザの家を聞き、リーザに告白に行った。


 家に着いて、リーザが出て来た時は柄にもなく抱きしめたくてたまらなくなった。リーザが好きだ。


「リーザが好きだ」


 心の声が音になって口から出てしまった。リーザはきょとんとしていた。

 親が出て来て「遊びならやめてくれ」と言われて慌てた。


「遊びじゃない。一目惚れだ。結婚して欲しい」


 俺の真剣さが伝わったのか「誠意を見せてみろ」と言われたので、冒険者の仕事の傍らリーザの元に通う生活になった。


 リーザを知れば知るほど俺の心はリーザを愛した。そうだ、この気持ちは愛だ。


 そのうちリーザが心を開いてくれて俺たちは恋仲になった。

 2人で相談して、俺は冒険者を辞めて村でリーザと暮らす事を選んだ。


 リーザの親に2人で報告すると「リーザを幸せにしなきゃただじゃおかないよ」と脅しのような許しをもらった。


 俺は今までに貯めた金を使い、リーザにふさわしい家を建てた。建てたのは村の大工だが。環境魔術や魔道具をつけてもらったら、いい値段になってしまった。今まで貯めた金が少なくなってしまった。


 家が出来たら、リーザを迎えに行き、教会で結婚して家族になった。俺に名字は無かったからリーザの家に入った。


 2人で畑を耕して、家の家具なども揃えていった。


 俺は狩人になって村の一員になった。狩人になっても冒険者とすることは変わらない。魔物の他に動物も狩るようになっただけだ。


 リーザとの家庭は温かかった。その内、リーザが妊娠して初めての事に過保護になったらリーザは笑っていた。


 初めての子供は男の子だった。産まれるまで待っていた時間が地獄のようだった。


 生まれた子供に触ると自然と涙が出てきた。孤児の俺に本当の家族が出来たのだ。

 リーザにお礼を言って、労った。


 次に長女が生まれて、次女も生まれた。子供達が可愛いくて仕方がない。リーザの事も愛してる。


 今はリーザのお腹に新しい家族がいる。俺は幸せ者だ。


 これからも家族を愛していけることが嬉しい。



パパンの生い立ちでした。

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