牛のお乳
春だ。
にーには教会にお勉強に行った。午前中だけらしい。
パパンも狩りに出かけた。パパンいってらっしゃい。
ママンのお腹は少し膨らんだらしいけど、ちょっとぽっちゃりしたママンのお腹だから分からない。ごめんねママン。
畑でねーねとママンのお手伝い。
今日は種まきだよ。ママンに教えてもらってねーねと競争するみたいに種をまく。
ふーっ、身体を動かすと春でも汗をかくぐらい暑くなる。種まき、一つの畝でも長く感じる。
ねーねもママンも汗をかいてる。
んーっと背伸びをしたら、頭の重さにひっくり返りそうになった。私は幼児。私は幼児。思考が出来るもんだから、すぐ身体が小さい事を忘れちゃう。
多分1時間くらいたったら、ママンが「休憩するよー!」と呼んでくれたので、コップに入った水を貰う。
ぷはーっ!生き返る。ママンもねーねもごくごくと水を飲む。
ちょっと休憩したら、また畑仕事。
畑仕事結構大変。ママン妊娠してるのに大丈夫かなぁ?ちょっと心配。ママンのぶんも頑張らねば!教えてもらったとおりに種をまく。
穴を開けて種を入れて、土をかぶせる。間を開けて、また同じ。
私の小さい手じゃ、沢山種を持てないから器に入れてある種を取って、またまく。
私達の食事になるんだもんね!頑張らないと。
税金とかってどうしてるのかな?麦で納めてるのかな?まだ謎。子供には難しいことを教えてくれない。早く勉強も魔法もしたいのに!
にーにとねーねが羨ましい。私も鑑定以外の魔法が使えないかな?毎日、魔力切れにするのもMPが増えて大変になってきた。鑑定、1回に1しかMP減らないからね。
何度か休憩して、にーにが帰ってきたらお昼ごはん。この文明度で昼食があるのが嬉しい。よく動いたからお腹ぺこぺこだよ。
ママンが簡単そうに、ささっと作ってくれるけど、美味しいんだなぁー。
子供達とママンで昼食を食べる。
冬の塩漬け肉を使っちゃいたいみたいで、塩味の炒め物と私は水でふやかしたパンみたいなの。他の家族のパンは薄切り。ちょっと固いみたい。
食事の改善もしたいけど、ママンのごはん美味しいんだよね。改善はパンと調味料くらいかな?でも、普通の会社員だった私には、小さい頃にしたパン作り体験くらいしか記憶にない。もっと詳しい情報を持てたら良かったのに。
訳にたたないな、私。
「フェリ、どうしたの?お腹痛い?」
暗い顔をして、食べる手も止まっていたようだ。笑顔を作ってママンに否定する。
「だいじょうぶ!かんがえごとしてただけ」
「そお?ごはん食べれる?」
「たべれる!おいしい!」
「あら、ありがとう」
大きくなったら、いろんな事にチャレンジしてみたい。まずは丈夫で柔軟な身体作り!畑仕事を頑張って、遊びでいろいろ鍛える。
あーん、でも牛乳飲みたいなぁ。飲み物、水だけだもんなぁ。
「まま、ぎゅーにゅーのみたい」
「ぎゅーにゅー?何かしら?」
「うしのぱいぱい」
「あら、フェリは本当にお乳が好きね。牛のお乳ね。朝早く雑貨屋に行けば売っているでしょうから、いってこようかしら?」
「ある?おちち?」
「あるわよー。ただ、家畜を飼っている場所が村の中でも遠いだけ」
「ぱいぱい!」
「はいはい、明日行ってくるわね」
「ママ、牛のお乳ってー?」
「何ー?」
「あら、みんな飲んだことなかったかしら?明日買ってくるからね」
「明日ね」「明日」
楽しみが増えた。
翌日、私は雑貨屋までついて行くと邪魔になるから、ねーねとお留守番。眠くない時にねーねに撫でられるとぽわーんとして多幸感が溢れてくる。
ねーねに抱きつくと背中を撫でてくれる。優しいねーねで大好き!
ふにゃ〜んとしてると、ママンが帰ってきた!
なんか、大きい入れ物を持ってる!ママン大丈夫?
「まま、おもい?」
「う〜ん、ちょっと重いかな?」
「まま、たいへん!たいへん!」
「これぐらいなら大丈夫よー。みんなが帰ってきたら飲みましょうね」
「うん!」「楽しみ!」
ねーねと手を繋いで笑顔。
ママンが帰って来たから、畑仕事。頑張るぞー!
夜になってパパンが帰ってきたら、牛のお乳をみんなで飲む。
「おいしー!」
「これ好きー!」
「美味しい!」
「子供達、牛のお乳、初めてだったのよ」
「そうか、飲ませてなかったか。生活も安定したし、これからは5日に一度くらいは飲ませてやれるだろう」
「そうね」
牛のお乳は濃厚で少し生クリームみたいにまろやかだ。もしかしたら、バターと生クリームを分離してないのかもしれない。凄く美味しい!ちょっとだけ野生的な香りがするけど。
今度からは5日に一度は飲めるんだ!嬉しいな!
ブックマークありがとうございます。




