ねーねのスキル
特に変わらない日常を過ごして、一年が過ぎようとしていた。
身体も成長して歩くのと走るのが大分上手くなった。話すのも成長したよ!
もう、年末だ。
年始にみんな歳を重ねる。
ねーねが5歳になるから、年始に何か行事が有るらしい。
「カトリーヌが5歳になるから、明日は朝食を食べたらみんなで教会に行くぞ」
パパンが夕食の席で言った。
「きょーかい?なに?」
「おお、フェリは初めてだったな。子供は5歳になると神様に認められて、スキルと言う物を教会で貰うんだ。カトリーヌは5歳になるから神様にスキルを貰いに行くんだよ」
おお!そうやってスキルを貰うのか!ねーねにスキルが無い訳が分かったぞ。明日貰うのか。ねーね、いーなー。
「今日は1年、みんなが無事に過ごせた事を感謝して夕食をいただこう!」
「「「神に感謝を」」」
夕食が始まった。
私の食事はまだ薄味だけど、ママンのごはんは美味しい。いまはスプーンとフォークで食べる練習だ。
手が小さいからフォークとスプーンが飛んでったりする時がある。慣れない事だからと怒られないのが嬉しい。ママン、パパン好き!
食事を食べたら、今日はみんな早く寝た。
翌日、朝食を食べたら、寒いからみんなもこもこに服を着て、私はパパンに抱っこされて、他のみんなは歩きで教会に行く。私が歩いたら遅いからね。抱っこは好きだからいいんだ。
教会は子供の足だと、ちょっと遠い場所にあった。この村、どれだけ広いんだ。
初めて見る教会は白い壁だったんだろうけど、少し汚れて経年劣化の跡が見えるが立派な建物だった。扉だけ木製で、あとは石造りに見える。村の教会にしては大きいと思う。
5歳になった子供と家族だろう。結構沢山の人達がいた。みんな思い思いに話して、にぎやかだ。
教会の扉が開いた。
「リーヌ、行って来なさい。静かにするんですよ」
「はい、ママ」
ねーねは興奮したような顔をして他の子供達と一緒に教会の中に入って行った。
子供達がみんな教会に入ったら、扉が閉まった。
教会の中で何してるんだろう?私は5歳までお預けかな。
寒いなかでパパンとママンに、にーにと一緒に相手をしてもらいながら結構待ってたと思う。
教会の扉が開いたと思ったら、わっと子供達が出て来た。みんな自分の家族の場所まで走って行く。
ねーねが来て、紙切れみたいなのを振っていた。
「パパ!ママ!私、スキルが貰えたよ!」
「そうか!よくやったな!リーヌ、偉いぞ!家に帰ってからゆっくりと見ような」
「うん!」
ねーねとにーには、ママンに手を繋がれて、私はやっぱりパパンに抱っこされて、みんなで家に帰った。
みんな服を脱いでから食事を食べる椅子に座って、ねーねが持っていた紙をパパンが貰ってスキルの発表を待っている。
「カトリーヌが神様から貰ったスキルは3つだ。1つは『生活魔法』もう1つは『風魔法』もう1つは『子守り』だ。魔法は教会で教えて貰おうな、カトリーヌ」
「はい!パパ!」
「カトリーヌ、フェリを撫でてみなさい」
え、私?
「はい!」
ねーねが椅子から降りて、私を撫でに来たからママンが私を椅子から降ろしてくれた。
ねーねが私の頭を撫でる。
なんか、ねーねに撫でられるとぽっぽっと心があったかくなって眠くなってくる。何故か安心する。
よろめいたら、ママンが支えてくれた。
「フェリ、どうだった?身体に変化があったか?」
「なんか、ぽっぽっして、ねむくなった」
「カトリーヌ『子守り』の効果だ。喧嘩している子供がいたら撫でてあげなさい」
「はい!パパ!」
ねーねは新しい力に大分と興奮してるみたいだ。心が凪いだ私とは正反対だ。
私は子供部屋に連れて行かれて寝かされた。横になったら意識が飛んだ。
起きたらお昼で、気持ちのいい眠りだった。ねーね凄い。毎晩寝る時に撫でてもらいたい。
それからは寝る前にねーねに撫でてもらうのが習慣になった。
「ねーね、なでて」
「いーよ、ふーちゃん。ねんね、ねんね」
「リーヌ、僕も撫でてくれる?」
「いいよ、シャルにい」
にーにも子供だから、撫でてもらってる。
でもいつから子供じゃなくなるんだろ?
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