裏世界(リバース)
無事、卒業式を終え、束の間の休暇を楽しんだが、いかんせん高等学校のことが気になりゆっくりするどころでは無かった。
毎日学校に関して調べていたがいつの間にかホームページが消えていた。
どゆこと…。
そんなこともあり不安はどんどんと大きくなっていたが、書類を出した手前いまさらやっぱり行きませんは難しいだろう。
そわそわとしながら日々は過ぎていき、気づけば入学式の日となってしまった。
説明会も無く怪しさだけが増した学校へと向かっていった。
家の最寄りの駅からバスが出ているらしく、それに乗り学園へと向かっていった。
しかし、自分以外人が一人も乗っていない、運転手と俺だけだった。
バスは結構立派なものでそれなりの人数を乗せることはできるものだ。
なのに誰も乗ってこない…おかしい、怪しすぎる。
俺はいったいどこに連れていかれてしまうんだ…
「あの~、すいません…後どれくらいで着きますかね~」
不安を紛らわすために運転手へと質問を投げかけた。
「…心配ない、もうすぐ着く」
低い声で帽子を深めにかぶった男の運転手は答えた。
「あっ、そうなんですか…」
再び沈黙に包まれる空間、気まずい空気が流れている。
話しかけたの失敗だったかな…この空気嫌。
不意に周りが暗くなる。
トンネルに入ったようだ。
?なんだろうか、一瞬空気が変わった気がした。
いや、気まずい空気が変わったわけではなく、なんかこう冷たいというかピりついているというか…なんとも形容しがたい空気になった。
それに気のせいなのかバスのスピードも上がっている気がする。
・・・
いや、気のせいじゃない!
「ちょっ、ちょっとぉ!運転手さん!?」
バスの運転手から返事はない。
やばいやばい、人生最大の危機が不意にやってきた。
いまだあたりは暗く何も見えない、故に恐怖をさらに掻き立てる。
あぁ、死ぬんか俺は…何が起きてるかも解らずに死ぬんか、神様ぁ…
目を瞑り天井を仰いだ。
すると瞼の上から光が射した。
ゆっくりと瞼を開けるとあたりは海に変わっており、一本の橋の上を走っていた。
少し間をおき息を整えると思考が冴えてきた。
?おかしいぞ、バスが出てそんなに時間は立っていない、せいぜい30分やそこらだ。
そしてバスが出た場所は内陸側…海なんて見えるはずがない。
「どぉなてんのぉ…」
ついつい言葉が漏れてしまった。
「ようこそ、裏世界へ…」
不愛想な運転手はそう呟いた。
「はい?」
裏世界?なんだそれわけがわからん。
「詳しい話は魔都についてから案内係に聞きな…」
案内係?魔都?やばい頭がパンクしそうだ、いやした。
バスは目の前に見える都市へと遠慮なく進んでいた。