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あの星に煌めきを  作者: そーら
第六章 全てのはじまり
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私の光

 



 翌日、蘭たち十二人は煌プロダクションに集まっていた。こうして一同が集まるのは雛たちのライブ以来で、賑やかな雰囲気が漂う。


「今日のお話ってなんだろ〜。」


「このメンバーが集まるってことは、大事なことなんじゃないっすか?」


「ちょっと歌唄、後ろの髪が跳ねてるわよ。」


「え、マジ?奈帆〜直して〜。」


「んもう…仕方ないなぁ。」


 それぞれ仲の良い人たちと会議の開始を待つ中、蘭と奏空だけは真剣に今日話すべき内容をノートパソコンに向き合いながら考えていた。


「…星屑さん、やはり学園長が話したくても話せなかった部分は私たちから言うべきでは無いと思うのですが…。」


「うん…そうだね。肝心なのは学園長のお願いを叶えること…それと、一族のことはあまり公にしない方が良いよね。」


 昨日の麗生の話を分かりやすく図解したものを蘭が作ってきたが、伝えるべきこと、公にすべきでは無いものの判断が難しく奏空にも確認してもらっていた。


「すまない、待たせたね。」


 すると秀一郎と結弦、その他マネージャー陣が集まり、会議の準備が進む。プロジェクターが用意され、蘭はパソコンを繋いだ。


「…どんなお話なんでしょうね?」


「さぁ…蘭ちゃんたちは何か知っているみたいだけど…。」


 ワイワイと話していたが、大人たちの真剣な空気にシン…と静まり返る。


「それじゃあ、始めようか。駿河くん、早速任せてもいいかい?」


「はい。」


 蘭が立ち上がり、会議が始まる。挨拶を簡単に済ませ、本題に入る。その間、奏空は昨日の麗生の言葉を思い出していた。


 ・


「蘭さんと奏空さんにお願いがあります。」


「…何ですか?」


「私に出来ること、なら…。」


 麗生の真っ直ぐな瞳に魅入られながら、彼女の次の言葉を待つ。


「煌めきの夢を見た皆さんに、大きなライブをして頂きたいのです。」


「大きな…ライブ?」


「はい。皆さんが生み出す煌めきは特別です。どうしてあなた方がその力を持つのかは不明ですが、あなた方が広めた煌めきの力があれば、あの子たちを救うことが出来るという算段です。」


 麗生はずっと考えていた実現不可能だった話をした。一人ではどうしようも出来なかった理想が、突然降ってきた強い煌めきを持つ少女たちによって叶えられるかもしれない。

 そう思うと、話さずにはいられなかった。


「そして、煌めきの力を最大限にする一族の言い伝えのようなものがありまして…。」


 そして麗生は再び絵本を取り出して、最初のページを開いた。そこには有葵と命のような姉妹が寄り添っている。


「我々皇一族は、神と人間の間に生まれた存在。神と人間のどちらも欠けては成し得なかった存在。

 そこからどうやら二人、というものには不思議な力が宿るとされています。」


「二人…つまり、デュオということですか?」


 奏空の問いに麗生は静かに頷く。蘭がこれまでの出来事を思い返してみると、有葵と命が常に一緒にいることや夢の中で導かれた時、その世界には蘭と有葵しかいなかったこと。

 二人という状況が何かと多く感じた。


「デュオと言っても組み合わせはどうなるんでしょう?今のチームは煌さんが決めたものですし、また彼に…?」


「組み合わせなら最初から決まっていますよ。」


 そう言って麗生は美しく笑った。


 ・


「えっと…つまり………?」


「煌さんと学園長の娘がアリアさんとミコトさんで…。」


「アリアさんとミコトさんをこの世界に戻すために、デュオでライブするってことっすか?」


 各々、戸惑いを隠せずにいるがなんとか状況を飲み込もうと蘭が話した内容を咀嚼する。


「はい。そしてその組み合わせというのが、最初に煌めきの夢を同時に見た者同士。

 私と星屑さん。ゆずちゃんと水野さん、莉愛ちゃんとアイリーンさん。そして、雛先輩と伊織先輩。涼風さんと響木さん、弥生ちゃんと夢心さん…という事になります。」


 それを聞くと、お互い不思議と顔を見合せた。当初、謎に思っていた同時に導かれた意味がここで花を咲かせる。


「………。」


「…ゆず?」


 しかし、柚希だけはボーッと蘭の方向を見ており、楓はそんな彼女を不思議そうに見つめるが、二人の様子には誰も気付く事は無かった。


「私たちが学園長から聞いた話は以上です。所々説明不足ではありますが…ここは公にするべきでないと判断致しましたので悪しからず。ご理解頂けると幸いです。」


 蘭は礼をして、奏空の隣に座った。

 すると、それまで黙って聞いていた秀一郎は組んでいた手を解き、皆の前に立った。


「駿河くん、お話ありがとう。私からも話があるのでそのまま聞いて欲しい。」


 秀一郎は目で結弦に指示をし、結弦は用意していた用紙を全員に配る。それはライブの企画書だった。


「丁度私もライブの準備を進めていてね。先程駿河くんの話にあったデュオライブをそこで行おうと………。」


「えっ!音代(おとしろ)テンペスタースタジアム!?」


 秀一郎が説明に入ろうとすると、会場を見た歌唄が声を荒らげた。そんな彼女に驚いてその場にいた全員が歌唄を見た。


「あっ…すみません…。」


「いや、構わないよ。音楽に精通する響木くんが驚く程の大きな会場だ。

 夏には大型ロックフェスがあり、他にも有名なアーティストたちがライブを行う場所…文字通り、大規模なライブになる。麗生の望んだ形にはなるだろう。」


 会場の他にも、これ以上無いほどの環境でライブが出来るよう手配されている。秀一郎が今まで積み上げてきたものを存分に使っているのが窺える。


 さらにいくつかライブについての要点を話し、それぞれの要望を今出来る範囲で話し合う。


「本番は来月末…か。あんまり時間無いね。」


「…というか、これだとスケジュールがほとんどライブの準備で埋まりそうですね。」


「え〜!夏休みが潰れちゃうってこと!?無理…。」


「それは一大事だなぁ…。」


 いくら彼女たちが大きなライブを任されようが、夏休みのスケジュールを危惧するところは普通の学生らしく、その場が和む。


「確かにいつもよりはスケジュールを頂く事になってしまうが、出来るだけ休みを確保しよう。」


「煌さぁ〜ん!神!ほんとにありがとうございますっ!」


「ふふ、柚希ちゃん凄く嬉しそう。」


 その後も気になる点を割り出し、次の打ち合わせまでにそれぞれやるべき事をまとめる。

 活気溢れる会議室内に、秀一郎は感極まり言葉が溢れる。


「…長かった。娘たちの行方が分からず、手がかりの無いまま諦めかけた時もあった。だが、どうしても有葵と命の色を探そうとしてしまう自分がいた。

 何年もそれが続いた時、君たちが私の前に現れてくれた。君たちは私にとっても光だ。ありがとう。」


 そして秀一郎は深々と頭を下げた。それは今までの感謝とこれからの期待を込めた彼の気持ちの表れだった。


「…こちらこそ。私たちは煌さんが居なかったらどうする事も出来ませんでした。」


「そうですよ!社長はいつも私たちのことを気にかけてくれて…楽しく活動が出来てるのは社長のおかげです。」


「最初は不安だらけだったけど…素敵な仲間に出会わせてくれてありがとうございます。」


「あなたの的確な采配が尽く功を奏した結果ですわ。誇って下さいまし。」


 秀一郎がその言葉を聞いて頭を上げると、そこには彼にしか見えない鮮やかな世界が広がっていた。

 様々な個性の表れのその色は美しい調和で混ざり合い、言葉に表せないくらい綺麗だった。


 その中には有葵と命が彼女たちに与えたものもある。


「あぁ…君たちに出会えて、本当に良かった。」


 ボソリと呟いた秀一郎の言葉は、しっかりと全員の耳に届き胸に小さく響いていた。

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