日常
朝起きて、1人で学校に行って、授業を受けて、昼休みは1人。それが僕の当たり前の日々。成績は良くも悪くもない。友達はいない。僕の名前を覚えてる人なんて、親しかいないと思う。家に帰ってきたらネットに潜る。僕はいわゆる陰キャというやつだ。陰キャといったら、「頭が良い」「スポーツ出来ない」というイメージを持っている人が多いと思うが、実際はそんなことなんてない。みんながみんなそうじゃない。同じ人間なんてこの世に居ないのだから、みんな十人十色なんだから。
これは、陰キャである僕が、世界を救うのかもしれない話。陰キャが漫画やゲームの主人公みたいになれるかもしれない、そんな、奇跡みたいなお話。誰にも予測できないであろう、そんな話だ。
中学2年の夏のある日。僕は騒がしい教室で本を読んでいた。
誰にも話しかけられることなく、今日も1日を終えるんだろうと思っていた。教室のドアが開いた。先生が入ってくる。いつもなら先生だけ入ってくるのだが、今日はもう1人いた。見たことない顔だ。転校生だろう。
「えー転校生が来た。みんな、仲良くしろよ」
「えっと、[夜奏凪 夜白 (よかなぎやしろ)]です。よろしくお願いします。」
転校生、夜白は黒板に綺麗な字で名前を書いた。夜白は背が小さく、髪は肩より少し短くて白く、サラサラしてそうで、いかにも可愛い女の子、そんな感じだ。
「夜白の席は、えーと、あそこだ」
僕の隣か。
「は、はい」
夜白は自分の席に着くと、僕の方を見てニカッと笑って言った。
「よろしくね」
「.......よろしく」
話しかけてくるのは最初だけだろう。どうせなれたら話しかけてこないだろう。
「ねぇ、名前、なんて言うの?」
「.......永崎 冬真」
昼休み、コイツは読書中に話しかけてきた。正直やめてほしい。
「とうまかぁ、いい名前だねぇ」
「.......。」
陽キャとは出来れば関わりたくない。アイツらは馬鹿なことしかしない。騒ぐし空気読まないし走り回るし。静かにしていろよ。
「いいなぁ、とーまって名前、男の子の名前らしいもん。僕なんて女の子みたいな名前だよぉ。声もあまり低くないし女の子に間違えられるんだぁ」
「ゴホッゴホッゲホッ...!?!?!?」
??????????
はい?????????
「とーま!?どしたの!?」
いや、え?
「ちょちょちょちょ待って」
は?
「とーま?」
「えッおまっ........男!?」
夜白はきょとんとして言った。
「僕、男の子だよ?」