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魔導実技の授業に大魔術師がやってきて教えてくれました

それからもモモンガさんの王太子殿下への付き纏いは続いているみたいだった。


殿下に付き纏っている暇があったら、ヒールの訓練しろよと私は思ったのだが、私の思いなんて伝わるわけはなく。


「まあまあ、エレ。そんなに妬いたりしないで」

マリアンに残念な者を見るように慰められる始末だ。


「マリアン、妬いているわけではないわよ。でもそんな事してる暇があったら練習しろよと思うだけよ」

私は必死に言い訳した。本来ならほっておくのだが、私の王太子殿下だけはダメ。殿下は私の物でもなんでもないけど・・・・。そう思うとなんか悲しくなってくる。私が殿下と話せるわけもないし・・・・


「それよりも、エレ、魔導実技の授業に遅れるわよ」

私はマリアンに急かされて慌ててグランドに向かう。


グランドには既に大半のものが揃っていた。


「遅いぞ、ナイトリー嬢とワイルダー嬢」

私達はカバ先生に怒られた。


「すいません」

二人して謝る。マリアンの白い目が怖い。


「ほっほっほっ。遅刻の常習者のメイプルが注意するとはの」

私達の後ろから聞いたことのある声がした。


「我が師、本日はどうされたのですか」

慌ててカバ先生が飛んできた。


私も慌てて後ろ見るとそこにはレイモンド様が立っていた。


「ほっほっほっ、何でもサラマンダーを倒した者がいると聞いての。見に参ったのだ」

レイモンド様は笑って言った。


「えっ、私」

私は自分を指差した。


「聖女候補の子ではなくてですか」

カバ先生がムカつくことを言った。


「そのようなものがおったかの? ま、そこは貴様らに任せるとして、そこのワイルダー嬢とナイトリー嬢をちょっと借りるぞ」

「はっ。それは全然構いませんが」

カバ先生は驚いていた。剣でサラマンダーを斬り倒したピーターも一緒について来さそうにしていたが、全く無視されていた。ま、秘密を知る者は少ないほうが良いし仕方がなかったのだが。


「レイモンド様。今日はいかがされたのですか」

「これはまた冷たいですな。陛下にもお話したように、久々に面白い生徒を見つけましたからの。指導に来させてもらったまでですぞ」

私達とグランドの端に向かいながら、マリアンとレイモンド様は話した。


「今日はワイルダー嬢にカーブを教えに来ましたのじゃ」

「カーブ?」

それはどんなものなんだろう。


「そう、魔術の軌跡を途中で曲げるのです」

「曲げるのですか?」

「そうです」

レイモンド様は頷いた。


「まず、まず水魔術を真っ直ぐに放出していただけますかな」

「判りました」

私は頷くと呼吸を整えた。


そして、手を挙げると

「ウォーター」

そう詠唱し、水魔術をまっすぐに放出する。


「そう、それを途中で右に曲げるのです」

「右にですか」

右に曲げる?

「そう、カーブをかけるのです」

「カーブを」

「心の中で曲がるイメージをもって」

「曲がる?」

水の流れを途中で曲げるイメージをした。


すると徐々に水が曲がりだした。


「はい、そこまで」

「うーーー」

私は息を吐いた。


「少し曲がりましたの」

「はいっ」

私は嬉しそうに言った。


「水量はもう少し絞りましょう」

「判りました」


「ではもう一度いけますか」

「はい」

私はもう一度今度は水量を少なくして放出する。


「よし、今度は左に」

「はい、左ですね」

「そう、そのまま曲げて」

「はい、曲げます」

グウーーーンと水の流れが曲がった。

「そのまま、メイプルめがけて」

「メイプル先生めがけて」

私はレイモンド様の言うように何も考えず、水の流れを曲げた。


カバ先生はその時、クラスの女の子にデレデレしながら楽しそうに指導していた。


そのカバ先生を私の魔術が当然のごとく直撃した。


「ギャッ」

カバ先生が叫ぶ。


「あれ!」

私は慌てて放出するのを止めた。レイモンド様の言うとおりしただけなのに。


「ワイルダー!」

ずぶ濡れになったメイプル先生が怒って叫んでいる。


えっ、私?


私はレイモンド様が言う通りやっただけなのに。


「愚か者。レジェクトはどうした」

レイモンド様が叫ばれた。


「え、師匠」

メイプル先生はレイモンド様に怒鳴られて、ビクッとする。


「女にうつつを抜かして、デレデレとしておるからじゃ」

「いや、その、は、申し訳ありません」

カバ先生もレイモンド様には逆らえないらしい。


「女の子からカバ先生などあだ名を付けられて喜んでいるでないぞ」

「えっ、我が師、そのような事は知りませんぞ。どこのどいつがそのような名前をつけたのですか」

先生が怒って周りを見る。


何故か生徒たちは全員私を見た。


「えっ、私?」

私は思いっきり首を振った。


「また、ワイルダーか」

カバ先生は怒って言った。


「愚か者。このような魔術も避けられずに、怒っておるでないわ」

レイモンド様に叱られてカバ先生は首をすくめていた。

生徒に水魔術を直撃されて、師匠に怒られてカバ先生も大変よね。


私がポロリと言ってしまうと、


「あんたが全部悪いんじゃない」

マリアンに言われてしまった。


「デレデレしていてレイモンド様に怒られたのはカバ先生が悪いんだって・・・・」

私の言い訳は

「はいはい」

と、マリアンに流されてしまった。なんか解せない!



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ここまで読んで頂いてありがとうございます。

完結

しました

『王太子に婚約破棄されたので、ぶった斬りました!何を?!出来損ない令嬢の波乱万丈恋愛物語 』

https://ncode.syosetu.com/n7882hn/
「貴様との婚約を破棄する!」学園の卒業パーティーにて皆の前で私は王太子に婚約破棄されてしまった。いくら私が出来損ないと言われているからといってそんな!普通は泣き叫ぶか、許してくれと懇願するかそんなところだと思うのだが、「ヤッターーーー。バンザーイ」私は喜びのあまり飛び上がっていた・・・・だってこの王太子、良いのは顔だけ。いろんな女にうつつを抜かす超遊び人なのだ。

しかし、悪巧みを働く力はあるみたいで、あろうことか私を修道院に送る途中で襲わせて慰み者にしようと企んでいたみたいで、ほう、私に対してそのようなことをしようとするとは・・・・。私自身、剣は兄に相手にされず、魔術は姉の足元にも及ばない、辺境伯の出来損ないなのだ。でも、我が武の名門辺境伯の令嬢として、受けた辱めは相手をぶった斬って晴らします!出来損ないの私に出来るのかですって? そんなのやって見ないと判らないじゃない!
南国と国が共同して我が領地に攻めてきたり、帝国皇子がやってきて纏わり付いたりもう大変。でも諦めずに前に向いてがんばります
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